6~9歳前後の遊びや関わり方が重要!原坂先生に聞く「非認知能力」を伸ばすポイント

2020年からはじまる教育改革をきっかけに、注目されている「非認知能力」。実際の新学習指導要領においては、目指す資質・能力の1つとして「学びに向かう力、人間性等」と表現されており、これが「非認知能力」にあたるものと解釈されています。
では、非認知能力とは具体的にどのような力なのか、また、非認知能力を伸ばすには、いつ頃、どんなことをすれば効果的なのか。こどもコンサルタントの原坂一郎先生にお聞きしました。

原坂一郎先生プロフィール
KANSAIこども研究所所長、関西国際大学教育学部非常勤講師。23年間の保育所勤務時代に、どんな子どもでも笑顔になれる保育が注目され、スーパー保育士と呼ばれる。現在は、こどもコンサルタントとして、子育てに関する研究、執筆、講演を全国で展開中。

目次(index)

「非認知能力」って、どんな力?

「非認知能力」とは、「感情や心の豊かさ」!

偏差値やIQテスト、学力テストといった「数値で測定できる力」は「認知能力」と呼ばれます。
対して、「数値化できない力」を「非認知能力」と呼びます。

具体的には、意欲的に物事にとりくむことができる力、人と協力しあえる力、自分で考えることができる力、新しい発想ができる力、根気強くやり抜くことができる力、人の気持ちを思いやることができる力……などなど。つまり、非認知能力とは「感情や心の豊かさ」に深く関連する力なのです。

「非認知能力」を育むことが、知識や技能の習得にもつながる

これまでは、進学でも就職試験でも、偏差値やテストの点数が重視され、いわゆる頭のよい人、学力が高い人が評価される傾向にありました。

しかし、グローバル化の進展、AIなどの科学技術の進歩といった激しい社会変化を背景に、ますます多様化していく未来の社会を生き抜くためには、「非認知能力」つまり「心の豊かさ」を育むことが重視されるようになりました。

子ども時代に非認知能力を育むことによって、認知能力も高められ、さまざまな知識や技能を習得し、「未来に生かせる力」となっていくのです。

「非認知能力」は、いつ頃、どんなふうに伸ばせる?

6~9歳前後は、子どもの「心」がぐんぐん伸びる時期!

小学校に通いはじめる6歳頃から、子どもの「心」は大きく成長します。幼児期まではどこへ行くにも親がつきっきりだったのが、子ども同士だけで遊んだり、行動範囲が広がったりして、世界が大きく広がるんですね。それに応じて、好奇心や発見力、洞察力、想像力など、さまざまな力もぐんぐん育まれていきます。

その分、自己主張や意見を言う場面が増えてくる時期でもあります。たとえば、幼児期の子は交差点を赤信号でわたってはいけないと言われたら、決してわたりません。けれども、小学生になると「赤信号なのにわたってる大人がいる、どうして?」と疑問を持ち、「わたってもいいんだ」と考えたり、「赤でわたっている人もいるじゃない」などと理屈を言うようになったりもします。

しかし、これは観察力が発達している証拠。成長のあかしです。親は少々面倒くさいと感じてしまうこともあるかもしれませんが、立派な力の芽生えだと捉え、決して頭ごなしに否定せず、受け止めてあげましょう。
そうした親子の関わりが、この時期に、子どもの心をいろいろな力を伸ばす大切なポイントです。

大切なのは「あそび」と「親子の関わり」

非認知能力には、好奇心、創造力、協調性、洞察力、コミュニケーション力などさまざまなものがありますが、どんなスキルも「親子の関わり」と「あそび」のなかで育まれます。
ですから、親子で一緒に「体験あそび」に出かけることはとてもおすすめです。

何をしていいか迷うときは、「日常と異なる場所へのお出かけ」がいいでしょう。たとえば、都会にすんでいる子なら、自然が多い場所へ。自然が多い場所に住んでいる子なら、交通量や人が多いところへ。日常とは異なる場所には、発見の目がたくさん落ちています。

また、自然体験もとてもいいですね。自然というと、大人はどうしても「海・山・風・雲・植物」というイメージを持ちますが、子どもにとっての自然は「岩・石・土・水・落ち葉・草・虫」。遠出をしなくても、身近な場所でも大いに楽しむことができます。
どんな路線のどんな電車に乗っていくか、時刻表を調べたり、荷物は何を持っていくか、どの鞄に入れていこうか……などと、準備から一緒に楽しむと、さらに子どもの好奇心や探究心を刺激できるでしょう。

予定外の寄り道も、子どもの力を伸ばす芽に

「体験あそび」のいいところは、体験そのものもそうですが、「親子で一緒にお出かけする」というところにもあります。お出かけ先では、「これがしたい」「これはしたくない」と、子ども自身が考え、要望したり、選択する機会が増えますね。そうした経験は、提案する力、自分の気持ちを表現する力につながります。

もし、子どもが「疲れたからやりたくない」などとネガティブなことを言ったとしても、それも自分の気持ちの表現です。その時、親は決して否定せず、まずは受け止めてあげましょう。

また、どんな体験をしにいくにしても、ぜひ忘れないでほしいのは、「子どもの能力を伸ばす芽は、目的以外のところにも、たくさん落ちている」ということ。大人はつい、計画や目的を達成することを優先してしまいがちですが、予定外の寄り道や発見も、子どもと一緒に楽しむ気持ちを持ってほしいと思います。

能力アップのポイントは?

ポイント(1):体験後の「振り返り」で、思考力や表現力をアップ!

「体験あそび」に出かけたあとは、ぜひ親子で「振り返り」の会話をしてみましょう。たとえば「電車の乗り換えがうまくいったから早く着いた」「あそこで土いじりをしたから、洋服が汚れちゃった」といったことでいいのです。楽しかったこと、うまくいったこと、失敗したことを思い出し、どうしてそうなったかなど原因と結果が分かる会話に導くといいですね。

体験ごと、1日単位、行き先ごとでもいいでしょう。この振り返りによって、思考力や表現力など、さまざまな能力がさらに刺激され、よりいっそう子どもの好奇心が広がっていきます。

ポイント(2):三大否定言葉と疑問否定は、今日から封印!

子どもの能力を伸ばすために、私が一番大切にしてほしいと思うことは、親の「声かけ」です。親のほめ方、しかり方次第で、子どもを伸ばすかダメにするかが決まるといっても過言ではありません。

まずよくないしかり方ですが、「ダメ」「違うでしょ」「やめなさい」の三大否定言葉。また、案外使っているのに気付かない疑問否定が「いつまでやっているの!?」「何しているの!?」「だれが騒いでるの?!」などの疑問文の否定言葉です。親は指導したつもりでも、子どもは言葉どおりに捉えます。

ある小学1年生は、「どこに上がってるの!?」としかられ、「机」と答えたそうです。しかったほうは「下りなさい」と言いたかったのに、疑問文になっていると、伝えたかったことが子どもには届かないんですね。

しかり方のポイントは「1.させたいことを 2.普通の言い方で 3.理由も添えて 4.繰り返し伝える」の4つ。特に「3.理由も添えて」はとても大事です。「下りなさい」でなく「危ないから下りてらっしゃい」と言えば、子どもも納得しやすいはずです。

ポイント(3):「良い行ない」をそのまま言葉にしよう

ほめ方も、とても大事です。ほめるのは簡単と思いがちですが、歯の浮くようなお世辞は言ったところで効果がありません。むしろ、子どもがほめられようと思って行ったのではない何気ない行動を、そのまま言葉にして伝えるのが効果的です。

たとえば、あいさつができたときは「ちゃんとあいさつができたね」、玄関で靴をそろえて脱いだら「きちんとそろえたね」など。「良い行ない」を言葉にしてあげると、「ママ・パパはちゃんと見てくれている」と、子どもはうれしくなって、やる気を伸ばすことにつながります。

今日からでも、決して遅くありません。今まで無意識に使っていた否定言葉を封印し、子どもを上手にほめてあげましょう。親に否定ばかりされていたら、話す力、聞く力はもちろん、どんな能力も成長しにくくなってしまいます。

親は子どものあるがままを受け止め、興味関心のあるものを認めて感心する。これだけで、子どもの能力がぐんと伸びることでしょう。

親からの言葉と楽しかった体験が、未来を生きる力に

これからの時代、IT能力は黙っていても身についていくかもしれませんが、人との関わりやコミュニケーション力などのアナログ的な能力を伸ばすことの方が難しくなります。それには、6~9歳前後の時期の「親子の関わり」と「あそび」がとても大切です。

親子で一緒にお出かけしたり、いろいろな体験あそびが楽しめるのは、小学校中学年くらいまでかもしれません。この時期に、親からかけてもらった言葉や楽しかった体験は、必ずや「未来に生きる力」となっていくことでしょう。

●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。変更される場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。

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