中央区赤坂エリアで至福の一杯を。ひとりで行きたい本格コーヒー専門店
コーヒーの抽出方法といえば、ペーパードリップ、サイフォン式などがありますが、近年提供が減ってきているネルドリップのおいしさに触れたいなら、福岡の赤坂にある「珈琲美美」に足を運んでみて。静かな佇まいの店内で味わうコーヒーは、まさに至極の一杯。舞鶴・大濠公園の付近にあり、落ち着いた時間を過ごせます。
Summary
福岡にある県外・海外の方からも人気のコーヒー専門店
福岡市民の憩いの場所である、舞鶴公園や大濠公園から歩いてすぐ。福岡縣護国神社の向かいにある「珈琲美美」は、1977年福岡市中央区今泉に店を構え、2009年に現在の場所に移転。40年以上、福岡で長く愛されているコーヒー専門店です。
福岡のみならず、国内外からもお客さんが訪ねる、知る人ぞ知る名店。
入口横には、その日淹れたコーヒーがディスプレイされています。「良質なコーヒーは冷えてもコハク色に澄んでいます」の文字通り、そこには美しい色のコーヒーが。
1階は、豆の販売スペース。ドアを開けた途端コーヒーのいい香りに包まれます。自家焙煎された豆は、どれもここでしか買えない味。専門店のネルドリップを再現できる「ねるっこ」など、コーヒー器具の取り扱いもありますよ。
使用する豆は、モカの味に魅入られたオーナーの森光宗男さんが、現地に足を運んで吟味した豆。ブレンド、ストレート等、10種類以上の豆が販売されています。
コーヒーの実や花が描かれたステンドグラス、美しいランプシェード、季節を感じる花、コーヒーカップなどの素敵なインテリアも見どころです。
ネルドリップで淹れる至極の一杯に感動!
2階は喫茶スペースになっており、ネルドリップで淹れるコーヒーが味わえます。最近の主流であるペーパードリップに比べ、オイル分を吸いとってしまうことが少ないネルドリップ。
「滴一滴(てきいってき)」ていねいに、オイル分を残しつつ抽出したコーヒーは、コク、うま味を残した一杯になります。
ブレンド珈琲、ストレート珈琲、デミタス珈琲、バリエーション珈琲のラインナップの中で、1番人気なのは、ブレンド珈琲の中味(ちゅうみ)。40年余り研究されて生み出された至極の一杯です。額の中で微笑んでいるオーナーの宗男さんは、3年前に他界。今は妻である充子さんが店主を務め、味を受け継いでいます。
口に含むとまず苦味が、その後からまろやかさが追いかけてきて、これがコーヒーの甘みなのだなとびっくり。酸味も苦味もコクもバランスよく味わえる一杯です。熱々、ちょっと温度が下がったとき、冷めたとき。どの温度でもおいしいので、温度の変化による味わいの違いも楽しんで。
至福の一杯のお供には、唯一のフードメニューであるフルーツケーキ(400円)を。それぞれ別のお酒で漬け込まれた7種類のフルーツ、仕上げのブランデーとラム酒の香るケーキを食べた後、コーヒーを口に含むとまた違った味わいになるので、ぜひお試しあれ。
シェーカーに入れ冷やすアイスメニューは、目にも美しい
アイスメニューは、抽出したコーヒーをシェーカーに入れ、氷の上で冷やされます。
アイスのメニューやお冷に使用される氷は、氷屋さんから仕入れているそう。
キリリとした苦味が堪らない氷入りアイスコーヒー(700円)。こちらはフレンチローストブレンドで、深い苦味と味わいを楽しめる「趣味ブレンド」を使用。コーヒーを冷やしてから注いでいることで、抽出したコーヒーの味をしっかり感じます。
こちらの珍しいコーヒーは、冷たい美美風マザグラン(700円)。マザグランは、氷を入れない冷やし珈琲。シェーカーで冷やしたコーヒーの上にクリームをのせた、最初から砂糖が入っているデザートのようなコーヒーですが、甘さの中にある深い味わいに驚かされます。
どこをとっても無駄がなく、最上級な時間を堪能できる
ゆったりできる4人がけのテーブル席。
店内には、マスターが修行したという東京・吉祥寺の「もか」から譲り受けたインテリアや備品があり、丸テーブルと椅子もそのひとつです。飾られている植物は、コーヒーの木なんですよ。
特等席は、コーヒーを淹れている様子を眺められるカウンター席。壁には、季節に合わせて飾っているという熊谷守一さんの版画も。
店名にちなんで、おいしい味、美しい仕事をする「美み美ごと(びみみごと)」を大切にしているお店とあって、コーヒーを淹れる仕草や音、コーヒーの香りと味、どれをとっても隙がなく、その全てが感じられる時間は、至福そのもの。最高のコーヒータイムのために福岡を訪れる価値がある、そんなお店です。
text& photo:まつだあや
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