ファッションモデル・田中里奈さんにインタビュー後編「旅が気付かせてくれたこと」
幅広い分野での活躍が注目されている、人気ファッションモデル・田中里奈さん。旅が大好きな田中さんは、時には年の半分以上、海外旅行に行くことも!旅先での過ごし方もファッションも、田中さん流のこだわりがたっぷりです。そんな田中里奈さんへのインタビューを前編「旅を始めたきっかけ」、後編「旅が気付かせてくれたもの」をテーマにお届けします。
Summary
旅が教えてくれた!自分の「好き」に気付いた、きっかけのカンヌ旅行
今回お話を聞くのは、数多くのファッション誌に出演する、人気ファッションモデル・田中里奈さん。現在はファッションモデルの枠を超え、さまざまな分野で活躍されています。実は大の旅好きでもある田中さん。ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルス、台湾、ダナン…田中さんのインスタグラムを見ると、世界中の素敵な旅の記録がいっぱいです。後編記事ではそんな田中さんが旅を通して気付いたことや、旅先での過ごし方について伺いました。さらに田中さんにとって旅とはどんな存在か、旅への思いについてもたっぷりインタビューしてきました!
―田中さんはたくさん旅行をされているとのことですが、その中でも特に思い入れのある旅について教えてください。
27歳の頃に行ったカンヌ旅行で、とても大きな気付きがありました。それまで私は、丸一日のお休みをほとんど取らなかったんです。当時、旅行は仕事の場合以外はあくまで「娯楽」だと思っていたので、長期休暇なんて考えられませんでした。そんな中、たまたま友達が「カンヌの広告祭に行くんだけど、みんなで勉強がてら行ってみない?」って誘ってくれたんです。勉強になることだったら自分を許せる気がして、それだったら行ってみようかなと思いました。
―なるほど。初めての出張以外の海外旅行がカンヌ、それも余暇ではなく勉強が目的だったのですね。
はい、でもそれが自分が旅好きになる転機となりました。どんな服がカンヌに合っていて、自分が心地よく着られるか考えてコーデを組みながら準備をしていたら、いつもの自分よりずっと大人っぽいファッションになったんです。「私、こんな服似合うのかな」と不安になったんですけど、現地で着てみると意外にもそれがすごく心地良くて。
―とても大人っぽくて南フランスの雰囲気にも合っていますね!
それまではお仕事の関係でガーリー系やカジュアル系の服をずっと着ていて、「自分はそういう服が好き」と思い込んでいた部分があったんです。でもこの旅行を経て、実は全く異なるジャンルの服も似合って、こういう服も好きなのかもと思うようになりました。この時のカンヌ旅で、「求められている田中里奈」に合わせた服を着ていた自分と実際の自分とのギャップに気付いて、それまでの価値観が壊されたような気がしました。この旅がきっかけで「本当の自分は何が好きで、どんな存在なんだろう」と考えるようになりました。
海外で見つけた本当の自分-「モデル・田中里奈」から離れて
―前編記事で「旅をすると決意してからは1年の半分以上を海外で過ごした」とおっしゃっていましたが、海外に出てみたことで、何か学びはありましたか?
そうですね。カンヌ以来、旅をたくさんし始めたことで「本当の自分の姿」が見えてきました。日本にいるとき、私は自分のことを人見知りだと思っていました。例えばショッピングする時は、あまり店員さんに話しかけてほしくないタイプなんです。だけど海外にいるときの私はいつもニコニコしていて、言葉が通じなくてもコミュニケーションが取れていて、そんな自分に驚きました。
―わかります!海外って、言葉が違うだけですごく開放的な気分になれますよね。
旅を通して、海外にいるときの自分が本当の自分なのかも、と思うようになりました。日本にいると社会的役割があって、年齢、性別、職業等いろいろなしがらみのある自分を演じている部分があると思うんです。でも海外に出ると「モデル・田中里奈」の肩書から解放されて、本当の自分に戻れるような気がして…そんな瞬間が心地よいと感じました。自分を見直すきっかけとなり、自分を知っていく機会になっていきましたね。
旅の目的は「ロンドンでお茶をする」だけ!?田中さん流・余白を楽しむ旅スタイル
―田中さんはいつもどのように旅のスケジュールを立てていらっしゃるんですか?
現地での予定は詰めない派ですね。分刻みの予定を立ててしまうと、スタンプラリーみたいな旅行になってしまう気がするんです。でも私は「その瞬間に何をしたいか」という感覚や感性を大切にしていて、いつでも予定を変更できるくらいがちょうどいいと思っています。いざ旅行となると、たくさん予定を詰め込む人が多いと思いますが、私は最低限の行きたいポイントだけ抑えています。
―たしかに海外旅行だと欲張った予定を立ててしまいますよね。田中さんはゆったり楽しむことを大切にしているんですね。
そうですね、一つ行きたい理由があったら余計なことは考えずに行くようにしています。例えば「ロンドンにお茶しに行く」とか。理由を一つに定めてしまえば、長期でいく必要もないんです。「気に入ればもう一度行けばいい!」くらいの気持ちで旅に出ています。
―なるほど!田中さんの旅がいつも自然体で女子から憧れられているのは、その心の余裕なのかもしれないですね。そんな田中さんが何度も行く、お気に入りの場所はありますか?
以前は台湾が多かったけど、ここ数年はアメリカのセドナが好きでよく行きます。もちろんロンドンもお気に入りの旅先で、実際何度かリピートしています!
―ロンドン旅の目的がお茶ならば、セドナ旅の目的は何ですか?
セドナに何度も行く理由は、「好きな川で昼寝をするため」です。それがすごくすごく気持ちよくて!あと「Elote Cafe」っていう好きなメキシカン料理のお店があって、そこのご飯を食べたいっていうただ二つだけの理由で旅に出るんです。こんな具合に、好きな場所を世界中いろんなところに作るようにしています。好きなものと好きなことを意図的にちゃんと意識して作ると、人生が豊かになると思うんです。旅でもその考えが生きているような気がします。
―旅を通して自分を見つめ直せるからこそ、「本来の自分が好きなもの、好きなこと」が意識できるようになって、田中さんの人生を豊かにしてくれているんですね!
田中里奈さんにとって旅とは、「自分をフラットにしてくれる存在」
―最後の質問になりますが、田中さんにとって旅とは?
私にとって旅とは、私自身をフラットにしてくれる存在です。自分も相手を知らない、相手も自分を知らない場所に行くと、社会的肩書から解放されて「モデル・田中里奈」としてではない、ただ一人の「人」として存在できます。そういう環境で、自分自身でも知らなかった「本当の自分」を知れるのかなと思います。まっさらになった自分で「本当に今何をしたいのか、何を伝えたいのか」を考えることは、プライベートでも仕事でもすごく必要ですし、だから私は旅に出るんだと思います。
田中里奈さんの旅を動画でチェック!
異国の地で過ごした経験が「本当の自分」に気付くきっかけになったという田中さん。旅に出る時間が、田中さんのお仕事・プライベートどちらにとっても大切だということが伝わってきました。田中さんが撮影された旅の記録、旅でのエピソードは冒頭の動画で詳しく紹介!
- 【プロフィール】
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田中里奈
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原宿系のトレンドに興味を持つ若者たちから、コーディネートセンス、ヘアスタイルなどで絶大な人気を誇る。多彩なファッション誌に登場し、ブランド広告・キャンペーンガールなどでも幅広く活躍。現在は企業ブランドとのコラボやプロデュースを中心に活動している。
田中里奈公式インスタグラム:@tanakaofficial
text:中村美咲 Photo提供:田中里奈
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。