アイヌ民族が案内する心が豊かになるツアーって? いつもと一味違う阿寒湖トリップへ
都会で過ごす慌ただしく張りつめた日常から離れ、ほっとひと息つきたい…。そんな気持ちが膨らんだなら、北海道・阿寒湖へ旅してみませんか?今回は、阿寒湖のアイヌ文化ツアーをご紹介。阿寒湖の大自然と今も息づくアイヌ文化やその伝統に触れ、そこから学び感じることは、さまざまな気づきにつながるはず!そんな貴重な体験ができる旅へ出かけてみましょう。
阿寒湖アイヌコタンからアイヌ民族が案内するツアーへ出発
複数の温泉宿が立ち並ぶ阿寒湖のほとり。その一角に存在する「阿寒湖アイヌコタン」は、北海道最大級の規模を誇るアイヌ民族が暮らすコタン(集落)。アイヌ民族の特徴的な工芸と芸能が息づくこの集落では、訪れる多くの観光客にアイヌ文化を伝えています。
江戸時代以前、北海道は当時の和人と異なる文化を形成する民族が暮らす島国でした。その民族の名が「アイヌ」。アイヌとは彼らの言葉で“人間”を意味します。彼らはこの世のあらゆるものに「魂」が宿り、自然の恵み、人間が生きていく上で欠かすことのできないものや、人間の力が及ばないものは、神が姿かたちを変えて人間の世界にやってきた化身「カムイ(神)」であるとして敬ってきました。
人間とカムイはお互いに関わりあい、影響を及ぼしあって成り立っているというのがアイヌ民族の考え方。それゆえ人は「共に生きる自然への敬意と感謝を忘れてはならない」という精神が深く心に刻まれ、受け継がれてきたのだそう。
人やモノ、自然との関係性を大事に育んできたアイヌ文化をより深く理解できるよう“体験”を通して伝え継いでいくアイヌ文化ガイドツアーの「Anytime, Ainutime!」。
アイヌの人々の考え方や生活に触れ、忘れかけていた気持ちを取り戻す・・・そのような体験ができる魅力的なツアーがたくさん用意されています。 阿寒湖で生きてきたアイヌ民族自身の案内による自然散策、継承されてきた木彫や刺繍の工芸など、五感で感じ取ることのできる貴重なツアーに参加してみましょう!
・日常を離れて、自然や文化に触れたい人
・より豊かな心に出合う旅がしたい人
・体験を通じて何かしら気づきを得たい人
\ いつもと一味違う北海道旅行はいかが?? /
イオルの森をアイヌ民族の案内役と歩く
アイヌ民族が愛する絶景ポイントへ「湖の時間」所要時間 約2時間30分
ツアープログラム「湖の時間」(1名10000円)は森歩きがメイン。“あなたと私の魂が優しく出会えますように”。そんな祈りが込められた「オンカミ」は、アイヌの伝統的な礼拝。ツアーのスタート地点は初対面の案内役と参加者でオンカミを交わします。両手をすりあわせてから手のひらを上に向け、両手をゆっくり数回上下させましょう。
狩りや植物の採取などで、衣食住に関わるあらゆるものを森から得て暮らしてきたアイヌ民族にとって、森は生活に欠かせない大切な場所。その森へ入る前には、“森のカムイ(神)”への挨拶と、自分たちの安全をお願いするため、伝統儀式「カムイノミ」が執り行われます。人と共に生きる自然への敬意と感謝の気持ちを忘れないこと。オンカミ、カムイノミを通じて、アイヌ民族の精神に触れることができます。
背丈ほどの長さのある木の杖「テックワ」もこのツアーには必須の民具の一つ。杖として持ったり、木の実の採取に使ったり、地面に刺して荷物をかけたりと生活の知恵が詰まっています。
1時間ほどの森歩きでは、案内役がアイヌ民族の暮らしや自然との関係性について話してくれます。たとえば、こんな話。「アイヌは木を人体に見立てます。根っこは足のほう、幹は胴体。地面から木が生えているのではなく、“木が地面を掴んでいる”と考えています。山の木を全部切ってしまうと鉄砲水が出るのをアイヌはよくわかっていたのです。だから木を必要以上に切ることはしませんでした」。アイヌ民族ならではの考え方、感覚は、今の時代にこそ求められているのかもしれません。
イオルの森を抜け、そこに広がる阿寒湖畔はまさに圧巻の風景!阿寒湖の東側には、日本百名山にも数えられる標高約1,371mの「雄阿寒岳」がその雄大な姿を現します。絶景を眺めながら、しばしの休憩タイム。山や湖など象徴的なものに伝わるアイヌ伝説もまた、アイヌ文化を身近に感じさせてくれるものとなりそう。
休憩場所では、アイヌ民族の案内役と共にツアー出発前に自作した伝統楽器ムックリの演奏体験も。アイヌ民族はムックリを使い、風の音や動物の鳴き声など、自然のなかにある音色を表現&奏でます。まるで“人も自然の一部である”そんな感覚に包まれる、穏やかで不思議な時間が流れていきます。
人間がこれからも自然と共に生き続けていくために必要なアイデアが詰まっているツアー。ガイドとの会話の節々から、あなたならではの気づきがあるはず。アイヌ文化に深く関わりのあるガイドの導きは、忘れられない貴重な経験となることでしょう。
・アイヌ文化に深く関わりのある「本物」のガイドとの会話は、未だ忘れられない貴重な経験でした…。
・“自然とともに生きる”というアイヌ民族の生き方は、現代の私たちが忘れている大切なものを思い出させてくれるものでした!
アイヌの食文化を身近に感じる「食の時間」
自然の恵みを活かしたアイヌ民族のハレの日の食事をツアーオプションでいかが?肉や魚、木の実や山菜を、動物からとった油脂や塩などで整え、汁物やおかゆ、煮物などに調理して食していたアイヌ民族。無駄なく食材を調理した料理は、どれも素材のうま味を引き出した、優しい味わいが特徴です。
メニューの一つ「オハウ」は、鹿肉や鮭、山菜、野菜など具だくさんの食材を煮込んだ温かい汁物メニュー。塩と昆布だけのシンプルな味付けながらも具材から出た旨味とあいまって、とても奥深い味わいに!ほんのりと感じる甘みがオハウと相性ぴったりの炊き込みご飯「アマム」や、凍らせたヒメマスの刺身「カパチェプルイベ」など、滋味溢れる食材をふんだんに使用したアイヌ料理で体も心もホッと一息。
郷右近好古さん、富貴子さんご夫婦が経営する、アイヌ料理の店「民芸喫茶ポロンノ」。店内には、アイヌ民族の伝統楽器「トンコリ」をはじめとするアイヌ民族の民具が飾られており、より身近にアイヌ文化に触れることができます。
提供されるアイヌ料理は、富貴子さんの母みどりさんの故郷、日高地方のアイヌ料理をベースにした伝統的なものから独自のオリジナル料理まで幅広く、身体に美味しく心に楽しいメニューはどれも満足のいくものばかり!料理に使われる山菜のなかには、好古さんと富貴子さんが山で採ってきたものも。アットホームな空間で美味しいアイヌ料理を堪能しましょう♪
\ もっと詳しく知りたい方は… /
編集部おすすめ!1泊2日の阿寒湖トリップ
13:00 阿寒湖到着!阿寒湖遊覧船に乗船
古くからこの地域の観光資源として活躍する遊覧船に乗って阿寒湖を周遊!阿寒湖随一の景観「滝口」では四季折々の大自然を満喫しましょう。「阿寒湖のマリモ展示観察センター」では国の特別天然記念物に指定されている「阿寒湖のマリモ」の生態に触れることができます。
徒歩5分
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15:00 阿寒湖アイヌコタンをふらりとお散歩
民芸品店やアイヌ料理が楽しめる飲食店などが立ち並ぶアイヌコタンを散策。美しいアイヌ文様の民芸品は、自分使いはもちろん、お土産にも◎。 昨年11月にリニューアルしたアイヌ文化伝承創造館「オンネチセ」では伝統的な衣服、装飾品や生活用具が展示されており、自然とともに暮らしてきたアイヌ民族の生活や文化を知ることもできます。
徒歩15分
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16:00 阿寒湖温泉で日頃の疲れを癒そう
北海道でも有数の温泉地「阿寒湖温泉」。温泉の泉質は、アイヌ民族伝統の織物“アットゥシ”(樹皮衣)の原材料となるオヒョウの木などの外皮を使った糸を作るのにとても相性が良く、昔より温泉が活用されてきたそう!アイヌの人々にとっても温泉は古くから深い繋がりがあったのです。
10:00 「湖の時間」ツアー参加
生命の気に満ちあふれる「イオルの森」を歩き、アイヌ文化を体験しながら進み、阿寒湖畔へ。雄大なる「雄阿寒岳」の姿を仰ぎながら、自然に対する敬意、そして自然と共存するアイヌ民族の精神に触れてみましょう。
13:00 「食の時間」参加
日高地方のアイヌ料理をベースにした、伝統的なアイヌ料理を堪能。滋味溢れる食材をふんだんに使用し、阿寒湖の山の恵みや湖の恵みを活かした料理が味わえます。
- 編集部おすすめの阿寒湖旅ポイント♪
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・1日目は、阿寒湖周辺の観光と温泉でのんびりと。日頃の疲れを癒して。
・2日目は、朝からアイヌ文化ガイド「Anytime, Ainutime!」のツアーに参加。阿寒湖だからこそ出会えるアイヌ文化で新たな発見を!
アイヌ・ネノアン・アイヌ=“人間らしい人間”の言葉通り、自然とともに暮らし、信仰を大切にした生活文化を営んできたアイヌの人々。頭で理解するのではなく、身体で感じる旅を。そこから新たな出発点が見つかるかもしれません。
アイヌ民族には、「カントオロワ ヤクサクノ アランケプ シネプカ イサム=“天から役目なく降ろされたものは何一つない”」ということわざがあります。この旅を通じて、今日まで絶えることなく受け継がれてきたアイヌ民族の芸能や工芸の灯が、明日の生きるヒントとしてあなたの心に点るものになりますように。
\ 心が豊かになるなにかに出合おう。 /
text:伊藤 智子
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。変更される場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
●旅行中は「新しい旅のエチケット」実施のご協力をお願いします。
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