京都名物”玉子サンド”を食べるなら、名店の味を受け継ぐ「喫茶マドラグ」へ
京都で「玉子サンド」と言えば、ゆで玉子にあらず。熱々ふわふわのオムレツを挟んだものがこの街の定番なのです。なかでも「喫茶マドラグ」で味わえるのは、惜しまれつつも閉店した洋食店「コロナ」のご主人仕込みの味。分厚くて、なめらかなオムレツ入りの絶品サンドイッチは、ビジュアルのインパクトも大。こだわりのコーヒーとの相性も抜群です。
新しくて懐かしい。京都の名喫茶のDNAを受け継ぐ店
うわさの玉子サンドを味わえるのは、世界遺産・二条城の近くにある「喫茶マドラグ」。この場所で半世紀以上営業していた「喫茶セブン」から、生粋の喫茶店好きである山﨑三四郎裕崇さん夫妻が建物を引き継ぎ、2011年にオープンしたお店です。
元の雰囲気を生かした店内では、濃いめのドリップで淹れる「喫茶セブン」のコーヒーも再現されています。
店内の家具や食器、カトラリーは、「喫茶セブン」のほか、山﨑さんが常連だった名曲喫茶から譲り受けたものも。どれも長年使い込まれた味や愛着がにじみ出ていて、この店の居心地の良さを作り上げています。
木屋町の洋食店「コロナ」の玉子サンドを復刻!
2012年に閉店した洋食店「コロナ」から受け継いだ玉子サンドは、卵4個と牛乳をたっぷりと使い、ふっくら蒸し焼きにしたオムレツ入り。これを折り重ねてパンに挟んでいくため、驚きのボリューム感! なめらかでふるふるとした玉子の食感もたまりません。
パンに塗り込んだ秘伝のソースもおいしさの秘密。コクのあるデミグラスソースに、マスタードやマヨネーズを効かせているそうです。
この味を引き継いだのは洋食店「コロナ」のご主人たっての希望だったとか。「喫茶セブンの味を受け継いでいる方にお願いしたいと」と、御年98歳のご主人自ら店を訪ね、作り方を伝授したそう。
その後も、かつてのお客さんの話を聞きながら独自のアレンジで進化させ、人々の「思い出」や「記憶」を再現した山﨑さん。今や全国のファンに愛される名物になりました。
ザ・喫茶メニューも充実。おいしいコーヒーと過ごす時間
マドラグの名物はサンドイッチだけではありません。「鉄板ナポリタン」880円など、ボリューム満点の喫茶メニューもたくさん。鉄板に半熟の玉子を敷くのは、山﨑さんの奥さまの出身地・三重県スタイルです。
コーヒー400円は「喫茶セブン」のほかに、東京・新宿にあった美術学校「セツ・モードセミナー」の食堂のブレンドも引き継いでいます。深めのローストがたまらない一杯。
常連さんと談笑中のスタッフたち。「喫茶文化を次世代に伝えていく」という夢を共に叶えるために集結。マドラグを支える頼もしい仲間たちです。
店名の「マドラグ」は、女優ブリジット・バルドーがこよなく愛した南仏の別荘の名前から。彼女にとってのマドラグのように、「町の人々がいつでも気軽に帰って来られる場所でありたい」という想いが込められているそう。
肩肘張らないムードのお店は、いつ訪ねてもほっと寛げる心地よさ。新しいのに懐かしい、「ただいま」が似合う愛すべき街の喫茶店なのです。
※食材がなくなり次第オーダーストップとなる場合あり
photo:マツダナオキ
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