【編集部員レポ!】「TOKINOHA Ceramic Studio」で本格的な陶芸体験。おうちごはんをスタイリッシュにする器の選び方って?
京都を代表する伝統工芸品のひとつ、清水焼。山科区にある清水焼団地は、京焼・清水焼の問屋、窯元、作家が集まる陶芸の郷です。今回お邪魔した「TOKINOHA Ceramic Studio」は、人気のカフェなどから器の制作を指名される陶磁器の専門店。2021年5月に全面的にリニューアルし、器の展示販売と工房、体験スペースを併設したスタイリッシュな複合施設へと生まれ変わりました。
おうちごはんを格上げする器選び指南
「TOKINOHA Ceramic Studio」がある清水焼団地は、JR山科駅から京阪バスで10分強の場所。毎年10月の第3金曜日から日曜日まで催される「清水焼の郷まつり」では、界隈一帯に焼き物がずらりと並び、全国から器好きが訪れます。
「TOKINOHA Ceramic Studio」は団地の一角にある、ひときわスタイリッシュなお店。
店内の真ん中に工房がある不思議な造りになっていて、職人さんがショップに並ぶ器を制作している様子がガラス張りになっています。
京都駅にある、いちごたっぷりの断面萌えパフェ「いちご山」で有名なカフェ「FUKUNAGA 901」をはじめ、多くの飲食店がオリジナル器の制作を依頼するほど、食事をおいしく見せる器づくりが得意な陶芸工房。
サイトでは、「休みの日の朝ごはん」や「おやつの時間」など家で簡単に取り入れられる食卓のコーディネイトを提案されています。今回は、おうちごはんを格上げするための器の選び方を教えてもらいました。
最初の一枚を選ぶなら、少し広さと深さがあって、汁物をよそっても大丈夫な皿が家庭では使いやすいそう。盛るときのポイントは、皿の真ん中に盛って高さを出すことと余白を残すこと。
こんなふうに、大皿と豆皿を組み合わせるのもオシャレ。TOKINOHA Ceramic Studioの器は「料理が盛られて完成する」ように作られているので、どんな風に使っても絵になります。
モノも思い出も両方欲しい!特別な陶芸体験
「モノより思い出」という人も、「思い出はカタチに残したい」という人も、どちらの欲求も満たしてくれるのがTOKINOHA Ceramic Studioの2つの陶芸体験。
一つはろくろ体験で、もう一つは楽焼体験。実際に体験させていただけるとのことで、楽焼の色付けと焼成を体験させていただきました。
「楽焼(らくやき)」は、お茶で有名な千利休の好みにあわせて楽長次郎が始めたとされる焼き物。こちらでは約900度の低温で焼き上げます。低温で焼くと発色がよい代わりに、釉薬(ゆうやく)がどう変化し、どんな色と模様が浮かび上がるのか? プロでもわからないくらい偶発に左右されるそう。陶芸を極めた人が最後に戻ってくるといわれるほど、予測不能を楽しめるツウな焼き物が「楽焼」なのです。
さて、器は植木鉢、美術品のような色合いが出る青い釉薬と黒い素地の組み合わせを選んで、体験スタート。(他にお皿やおちょこ、釉薬などを選べます)
体験では、職人さんが最初から最後までマンツーマンでレクチャーしてくれます。釉薬を薄めに塗れば、緑がかった色に、濃く塗ると青く、釉を塗らずに燻した部分は素地の黒が出てくるそう。見本を見て、個人的にすごく気になったいぶし銀に輝く部分は、最後に燻すときに新聞紙に触れていた部分なのだとか。
口のあたりは強度を強めるために釉を厚めに塗ったほうがいい、釉薬は熱で溶けて流れるというアドバイスを受けて、釉薬の液垂れを生かしたデザインに挑戦。
素地の部分を残して、塗り終了。しずく部分が溶けてどうなるのやら…。
温度を設定した楽焼専用の窯に、脚をつけた器をいれて焼きます。この作業は職人さん。
窯の中はこんな様子。真新しい窯に作品を置き、蓋をして熱すること10分ほど。その間に、窯から焼き物を取り出す練習をします。
窯出し作業は自分で。しっかりと掴んでそのまま真上に持ち上げて、指示された場所に器を移します。
新聞紙の上に着地させるやいなや燃え上がる炎。
器の中にも丸めた新聞紙を突っ込みます。この作業はもちろん職人さん。
燃え盛る炎にバケツをかぶせて、仕上げ。
パカーン。感動の瞬間です! 用意していた水につけて、土を引き締めたら完成。所要時間50分ほどで完成するので、出来上がりの喜びをそのまま持って帰れます。
こちら同じ釉薬を使って色付けした器。素地の色の違い、最後の仕上げをするかどうかでこんなにも色や仕上がりが違います。楽しい!
出来上がりの器。カメラマンさんがとても素敵に撮ってくれました。けれど、心の中は後悔でいっぱい…。もっと濃淡をつけたらよかった。薄く1度塗りして緑色出して、そこに雫を垂らせばよかったし、もっとムラを作ればよかった…。色の出方が美しいだけに、時間があればもっと上手にできたのに…と後悔が残ります。きっとみんな、こうやって楽焼にはまるんでしょうね。
液体「トキノドロ」「トキノスミ」など意表をついたドリンクでちょっと一服
体験が終わったら、特製のドリンクで休憩。
墨汁に炭の塊を置いたかのような見た目のこちらは液体「トキノスミ」(ドリンクです)。味がまったくもって想像できません。おそるおそる口をつけてみると、なんと爽やかなザクロの風味。「視覚では黒く、味覚で赤い印象を受ける」というアーティスト発想なドリンクです。炭の塊に見えるものは、氷ではなくて陶器なので、かじらないように要注意。
「陶芸スタジオで粘土を飲む体験ができたら面白そう」の思いつきで生まれたという液体「トキノドロ」。素人にはわからない感覚ですが、普通においしいです。
フォトジェニックな花草茶は液体「トキノハナ」。特製ドリンク3種類は陶芸体験された人またはショップで1万円以上のお買い物をされた方へのおもてなし用ですが、カフェとしての利用も可能(スタンディングです)。実際に使ってみると器の良さもよりわかりますので、気になる方はお試しを。
ショップにならぶ器は、手を出しやすい価格帯で、家にある器とも馴染みそうなシンプルなデザインだし、楽焼体験は楽しいし何度でも足を運びたくなります。楽焼体験は少し値段が張りますが、かなり面白いので行く前にどんな作品にしたいか脳内シミレーションしてからの予約をオススメします。
Photo:Photo:photo scape CORNER.大﨑 俊典
text:小西尋子
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