祝!世界文化遺産登録!北海道・北東北の縄文遺跡群 ~青森編~

三内丸山遺跡 秋の風景

祝!世界文化遺産登録!北海道・北東北の縄文遺跡群 ~青森編~

青森県 るるぶ&more.編集部
Twitter Facebook LINE はてなブックマーク Pocket

「北海道・北東北の縄文遺跡群」は2021年7月27日の世界遺産委員会で世界文化遺産に登録が決定しました。 最近賑わっている「縄文」のキーワード。今回は登録決定に合わせて、北海道および北東北3県に所在する 17 遺跡をご紹介します。1万年以上にわたって採集・漁労・狩猟により定住した人々の生活を今に伝える文化遺産に思いを馳せましょう。今回の記事では青森県の遺跡を案内します。

Summary

日本最大級の縄文集落跡/特別史跡 三内丸山遺跡

三内丸山遺跡 全景
三内丸山遺跡 全景

JR青森駅から車で約30分ほどの丘陵地に広がる縄文時代前期~中期の大規模な拠点集落跡です。今から約5900年前~4200年前の縄文時代の「ムラ」を体感できる遺跡で、集落は、竪穴建物、貯蔵穴、掘立柱建物、盛土など多くの施設で構成されています。膨大な土器や石器、日本最多の 2000 点を超える土偶などの祭祀遺物、さまざまな動物骨や魚骨、クリやクルミなどが出土し、ここで長期間定住生活を営んでいたことがわかります。この地域における生業と祭祀・儀礼の多様性を示すとても重要な遺跡です。

敷地内のさんまるミュージアムへ行ってみよう!

三内丸山遺跡 縄文ポシェット(左)大型板状土偶(右)
三内丸山遺跡 縄文ポシェット(左)大型板状土偶(右) 三内丸山遺跡センター所蔵

遺跡の入口にある「縄文時遊館」は出土品の展示や縄文グルメを楽しめる施設。その中に、遺跡から出土した土器、石器、土偶などを展示している「さんまるミュージアム」があります。期間限定で木の皮を編んで作った「縄文ポシェット」や、高さ32cmの十字形の板のような土偶「大型板状土偶」も公開しています。縄文人の心と暮らしを想像しながら見学するのもオススメです。

■特別史跡 三内丸山遺跡
住所:青森市三内丸山

■三内丸山遺跡センター
住所:青森市三内丸山305
TEL:017-766-8282
開館時間:9~17時(6~9月及びGWは~18時)
定休日:第4月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月30日~1月1日)
料金:入場410円
※見学には三内丸山遺跡センター観覧料が必要です。
(三内丸山遺跡センターが休館のときは見学できません)


土偶ファンならだれもが知る「遮光器土偶」/史跡 亀ヶ岡石器時代遺跡

大型遮光器土偶(レプリカ)
大型遮光器土偶(レプリカ) つがる市教育委員会所蔵 ※現品は東京国立博物館所蔵

青森県の日本海側、津軽半島を流れる岩木川沿いで見つかった大規模な共同墓地です。台地上に多数の墓が見られ、その周囲の低湿地には捨て場が形成され、漆塗り土器や籃胎漆器、玉類などが多数出土しています。なかでも国指定の重要文化財である大型土偶(写真)が有名で、その大きな目の表現が、北方民族の使用する雪眼鏡(遮光器)に似ていることから「遮光器土偶」と名づけられました。一度見たら忘れられないその表情がたまりません。

■史跡 亀ヶ岡石器時代遺跡
住所:青森県つがる市木造館岡

複雑な配石構造をもつ巨大ストーンサークル/史跡 小牧野遺跡

小牧野遺跡 環状列石(小牧野式配列)
小牧野遺跡 環状列石(小牧野式配列)

八甲田山西麓にある環状列石を主体とする祭祀遺跡です。環状列石はストーンサークルともよばれ、小牧野遺跡は全体で直径 55mにも及ぶ大型のもの、縄文人の組織力を見せつけられます。内帯と外帯は、まるで石垣を築くように楕円形の石を縦・横交互に配置して円環が形成されていて、全国的にもとても珍しい方法です。また、土偶やミニチュア土器、三角形岩版などの祭祀遺物が多数出土しています。

■史跡 小牧野遺跡
住所:青森県青森市大字野沢字小牧野

■青森市小牧野遺跡保護センター縄文の学び舎・小牧野館
住所:青森県青森市大字野沢字沢部108番地3
TEL:017-757-8665
開館時間:9~17時
定休日:年末年始(12月29日~1月3日)
料金:入館無料

「縄文の美」を感じる高い漆技術は驚き/史跡 是川石器時代遺跡

是川縄文館 縄文の美
是川縄文館「縄文の美」

八戸市を流れる、新井田川で見つかったのが是川石器時代遺跡です。中居、一王寺、堀田の3つの遺跡から構成され、なかでも、中居遺跡は多様な施設を伴う集落であり、土器や土偶のほか、漆塗りの弓や櫛などの漆製品が多数出土しし、963点が重要文化財に指定されています。その鮮やかな色と、美しい模様や形は、芸術作品のような素晴らしさです。今の日本の伝統工芸と同じく、漆を使う技術が、縄文時代から存在したことが分かります。

体育座りしている土偶/国宝「合掌土偶」

国宝 合掌土偶 函館市所蔵
風張1遺跡 合掌土偶 八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館所蔵

約3500年前、風張遺跡の竪穴式住居跡から出土したもので、胸の前で両手を合わせて指を組む面白いポーズの特徴を表すために「合掌土偶」と名付けられました。座った状態で合掌する姿勢の土偶の完形品は国内唯一であり、出土状態が明らかであるなど学術的価値の極めて高い土偶です。2009年、正式に国宝に指定されました。現在は、是川縄文館で常設展示されています。

■史跡 是川石器時代遺跡
住所:青森県八戸市是川

■八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館
住所:青森県八戸市是川字横山1
TEL:0178-38-9511
開館時間:9~17時
定休日:月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月27日~1月4日)
料金:入場250円

岩木山麓に造られた大規模な環状列石/史跡 大森勝山遺跡

大森勝山遺跡 環状列石
大森勝山遺跡 環状列石

津軽富士の異名をもつ岩木山麓の丘陵地にある大規模な環状列石を伴う祭祀遺跡です。ストーンサークル(=環状列石)は、盛土した円丘の縁辺部に 77 基の組石を配置し、長径 48.5m、短径 39.1mのやや楕円形に造られています。環状列石及びその周辺からは、円盤状石製品という丸くて平らな石が約 250 点出土し、環状列石に関連する祭祀・儀礼用の道具と考えられています。

■史跡 大森勝山遺跡
住所:青森県弘前市大森字勝山

■裾野地区体育文化交流センター
住所:青森県弘前市十面沢字轡8-9
TEL:0172-99-7072
開館時間:9~21時
定休日:月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日~1月3日)
料金:入場無料

縄文時代のはじまりを示す遺跡/史跡 大平山元遺跡

大平山元遺跡 最古の土器に伴う石器群
大平山元遺跡 最古の土器に伴う石器群 外ヶ浜町教育委員会所蔵

縄文時代開始直後の遺跡であり、旧石器時代の特徴をもつ石器群とともに、土器と石鏃が出土しました。土器についた食べ物のコゲの年代測定の結果、1万5000 年以上前のものであることが明らかにされています。この発見により土器がまだ作られていないはずの時代に、土器があった可能性が高まったのです。移動に適さない土器の出現は定住の開始を示し、遊動から定住へと生活が大きく変化したことを知る上でとても重要な遺跡です。


■史跡 大平山元遺跡
住所:青森県外ヶ浜町字蟹田大平山元

外ヶ浜町大山ふるさと資料館
住所:青森県東津軽郡外ヶ浜町字蟹田大平沢辺34-3
TEL:0174-22-2577
開館時間:9~16時
定休日:月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日~1月4日)
料金:入場無料

古十三湖に面した貝塚を伴う集落跡 /史跡 田小屋野貝塚

田小屋野貝塚 ベンケイ貝製貝輪未成品
田小屋野貝塚 ベンケイ貝の貝輪 青森県立郷土館所蔵

貝塚は太平洋側の海の近くの遺跡でよく見つかりますが、田小屋野貝塚は日本海側の内陸で発見された貝塚を伴う集落跡です。縄文海進といって、現在より海が内陸に入り込んでいた頃にできたと考えられています。貝塚からは、汽水域に棲息するヤマトシジミを主体に、イルカやクジラの骨で作った骨角器、ベンケイガイ製の貝輪というブレスレットの未製品が多数出土し、内湾地域における生業や集落の様子を示す重要な遺跡です。ベンケイガイの貝輪は、北海道の遺跡からも出土しています。この貝塚からは、北海道産の黒曜石が出土しているので、海を越えて交易していたのかもしれません。

■史跡 田小屋野貝塚
住所:青森県つがる市木造館岡田小屋野

■史跡 田小屋野貝塚(つがる市縄文住居展示資料館カルコ)
住所:青森県つがる市木造若緑59-1
TEL:0173-42-6490
開館時間:9~16時
定休日:月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日~1月3日)
料金:入場200円

貝塚が環境の変化を表す集落跡/史跡 二ツ森貝塚

二ツ森貝塚 鹿角製櫛
二ツ森貝塚 鹿角製櫛 青森県埋蔵文化財調査センター所蔵

太平洋に続く小川原湖に面した段丘上に立地する県内最大級の貝塚を擁する集落跡です。貝塚には、下層にハマグリやマガキなどの海水性、上層にヤマトシジミなどの汽水性の貝殻が堆積し、海進・海退による環境変化への適応を示しています。動物の骨や角で作られた骨角器も多数出土し、なかでも鹿角製櫛は高い精神性と加工技術を伝えています。

■史跡 二ツ森貝塚
住所:青森県七戸町字貝塚家ノ前地内

■二ツ森貝塚館
住所:青森県上北郡七戸町字鉢森平181-26
TEL:0176-68-2612
開館時間:10~16時
定休日:月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月27日~1月4日)
料金:入館無料

縄文時代のはじめに現れた海の民/史跡 長七谷地貝塚

長七谷地貝塚 貝層
長七谷地貝塚 貝層

温暖化による海面上昇(縄文海進)によって現在の五戸川周辺に形成された貝塚を中心とした集落遺跡です。貝塚からは、暖かい場所に棲息するハマグリをはじめ、スズキやクロダイなどの魚骨、組合せ式の釣針や銛頭が多数出土し、活発な漁労活動を伝えています。その代わり、他の貝塚からよく見つかるシカなどの動物の骨はあまり多くありません。貝塚は、気候の温暖化により海水面が上昇した時期に形成されており、人々が海の暮らしに適応していたことを示しています。

■史跡 長七谷地貝塚
住所:青森県八戸市桔梗野工業団地


※掲載写真はJOMON ARCHIVES(https://jomon-japan.jp/archives)を加工して作成しております。


●新型コロナウイルス感染症対策により、記事内容・営業時間・定休日・サービス内容(酒類の提供)等が変更になる場合があります。事前に店舗・施設等へご確認されることをおすすめします。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
●旅行中は「新しい旅のエチケット」実施のご協力をお願いします。


Twitter Facebook LINE はてなブックマーク Pocket
記事トップに戻る

この記事に関連するタグ

編集部のおすすめ

ページトップへ戻る

検索したいキーワードを入力してください