甘縄神明宮は『鎌倉殿の13人』のひとり、安達盛長ゆかりの地。2022年大河ドラマの聖地巡礼に!
『鎌倉殿の13人』といえば、2022年からNHKで放送予定の大河ドラマ。作・脚本を三谷幸喜氏が務め、主人公となる鎌倉幕府第2代執権の北条義時を小栗旬氏、源頼朝を大泉洋氏、源義経を菅田将暉氏が演じるなど、豪華なキャスティングでも話題を集めています。舞台となるのは幕府が開かれた鎌倉。放送に先駆けて、聖地巡礼へと出かけてみてはいかがでしょうか。
Summary
源氏との関係が深い鎌倉最古の神社
江ノ電由比ヶ浜駅から歩くこと5分。あるいは、JR鎌倉駅から歩くこと20分強。鎌倉大仏で知られる高徳院や、鎌倉文士ゆかりの鎌倉文学館など、観光スポットに事欠かない長谷エリアに、鎌倉最古の神社がひっそりと佇んでいます。長谷の鎮守、甘縄神明宮です。
甘縄神明宮の歴史は平城京の遷都と同じ和同3年(710)に遡ります。草創は奈良の大仏建立の責任者として知られる行基。地域の豪族であった染谷時忠によって創建されました。源氏とのゆかりも深く、とくに源頼義や源義家、源頼朝の崇敬を集めました。
鳥居をくぐってすぐ右手には、この地に館があったとの説もある安達盛長の石碑が置かれています。安達盛長は源頼朝の流人時代からの従者。ふたりは厚い信頼関係で知られ、鎌倉幕府では御家人として活躍しました。そんな安達盛長も『鎌倉殿の13人』のひとりに数えられています。2022年の大河ドラマ放映に先駆けて訪れれば、作品の世界観がぐっと身近に感じられることでしょう。
境内には「北条時宗産湯の井」も置かれています。第8代執権の時宗は安達盛長邸で生まれ、産湯に使用したのが甘縄神明宮の井戸でした。そのため子宝の御利益があるとされ、安産祈願に訪れる参拝客の姿も見られるほどです。
その隣には鎌倉で詠まれた万葉集が刻まれた石碑も。「鎌倉の見越しの崎の崩れやすい岩のごとく、あなたが後悔するような浅い心など、私は決して持ちません」といった意味でしょうか。鎌倉ならではの、長い歴史に交差する人間模様がのぞけるような一句です。
社殿の佇む高台から相模湾の水平線を望む
石段を上った先には甘縄神明宮の社殿があります。祭神は天照大神。ひっそりとした雰囲気には、鎌倉の有名観光スポットにはない居心地のよさが感じられます。
社殿のそばには大木もそびえています。山に抱かれた自然豊かな景観は、川端康成の小説『山の音』でも主人公宅の裏山の神社として描かれました。実は甘縄神明宮のすぐそばには川端康成の邸宅(非公開)も構えられています。鎌倉最古の神社は、鎌倉文士にも馴染みのあるスポットなのです。
そこから振り返れば、長谷や由比ヶ浜の街並み、相模湾の水平線までもが遠くに見えるでしょう。山と海、鎌倉ならではの豊かな自然を堪能できる点も、鎌倉最古の神社の魅力といえます。
社殿右手の石段を進めば、その先には秋葉神社が佇んでいます。「火防御守護」を祭るように、御利益は防災。社殿で引き返さず、ここまで足を延ばして参拝しましょう。
初夏の境内ではアジサイも見られます。青、紫、赤……色とりどりな季節の花を静かにのんびりと楽しめるのも、甘縄神明宮ならではの過ごし方です。
『鎌倉殿の13人』で安達盛長を演じるのは野添義弘氏。『麒麟がくる』や『いだてん~東京オリムピック噺~』など近年の大河ドラマでも活躍している名バイプレイヤーです。甘縄神明宮を参拝してからドラマを鑑賞すれば、その演技もいっそう身近に感じられるかもしれませんよ。
Text & Photo : minimal
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