食・グルメ
2021.07.22
奈良・春日庵のかき氷が絶品！古都奈良の銘菓「さつま焼」でおなじみの老舗和菓子店
昔ながらの、地元に愛される和菓子屋さん。そんな佇まいを見せる「春日庵」。こちらのかき氷が今ゴーラー（かき氷愛好家）さんたちの間で大評判なのです。人気の秘密は自らもゴーラーという茶房店主の手腕。老舗和菓子伝承の技と「かき氷好き」が相乗した絶品かき氷をいただいてきました。
Summary
世界遺産「元興寺」の隣、奈良銘菓「さつま焼」でおなじみの「春日庵」
目指す「春日庵」があるのは、世界文化遺産、古都奈良の文化財「元興寺」の東隣。今ではお洒落なお店が立ち並び、観光名所となっている"ならまち"は、もともとはこの「元興寺」の境内だったそうです。
歴史を感じさせる店構え。それもそのはず、創業は1897（明治30）年、100年を超える歴史をもつ老舗和菓子店です。控えめに氷旗がかかっているのを発見。
ガラガラと引き戸を開けると、銘菓「さつま焼」をはじめとした和菓子がガラスケースに並びます。
名前から勘違いしてしまいますが、さつまいもは入っておらず、さつまいもの形をした「さつま焼」。職人さんたちが丁寧に焼き上げる様子がガラス越しに見られます。
1個145円とお手頃。控えめで上品な姿が、侘び寂びを重んじるお茶席でも好まれる奈良銘菓です。
かき氷の看板メニューはコレ「かき氷 黒蜜きな粉クリーム」
さて、靴を脱いで2階茶房へ。2階を茶房として開くようになったのは、2016年から。焼きたての「さつま焼」が食べられるようにというのが当初の目的で、かき氷は夏だけのメニューでした。それが口コミで人気が広がり、2020年からは通年提供されるように。広々とした大きなテーブルが備えられた畳座敷は、ほっとひと息つけて落ち着きます。
実は茶房店主は大のかき氷好き。かき氷仲間と一緒に1日何軒もかき氷店をはしごする超ゴーラーで、茶房のかき氷メニューは、ほとんどすべて彼女の経験と舌によって作られています。
足を伸ばして寛いでいると運ばれてきました。「春日庵」イチオシの定番氷「黒蜜きな粉クリーム」。メニューに書かれた「黒蜜氷の中に、口当たりの柔らかいきな粉のクリームと特製わらび餅をしのばせて」という但し書きを読むだけでも、すでにおいしそう。窓から見える緑は、世界遺産「元興寺」のお庭で、眺めも最高です。
スッとふわふわの氷にスプーンをさして、ひとさじ掬い上げます。
細かくすりつぶしてふるいにかけられた、きな粉のなめらかさは目で見てもわかります。異なる食感を楽しませてくれるピスタチオの砕いた粒もこのクリームにベストマッチ。黒蜜のコクのある甘み、香ばしいきな粉と柔らかいクリームの舌触り、ふわふわに削られた氷が三位一体となって調和のとれたおいしさ。「和菓子店らしいかき氷を食べた」という満足感に満たされます。
感動の季節限定氷「キウイ塩ミルク」
以前は夏季だけのメニューだったかき氷を通年提供されることになってから、季節限定の氷を不定期で出されているそうで、取材時（2021年7月12日）の季節の氷は、「桃ヨーグルト」「Wベリーヨーグルト」「キウイ塩ミルク」の3種類。
選んだのは「キウイ塩ミルク」。酸味のしっかりした緑系キウイと甘みの強い黄色系キウイの2種類のキウイソースと塩ミルクのシロップ。第2の味としてカスタードソースが中に入った季節のかき氷です。「キウイに合うシロップを探しに探して見つけた」という塩ミルク。
キウイの果肉ものっておいしそう。いざ実食！ これ、個人的にめちゃくちゃ好み。キウイの爽やかな酸っぱさと塩ミルクの塩味の効いたミルキーな甘さがお互いを高めあっていています。ミルク系のシロップが氷の質感を柔らかくして、洋菓子のデザートのよう。定番メニューに格上げして欲しいですが、夏の間だけの期間限定メニュー。食べられてラッキーです。
季節のかき氷は不定期に変わるので、食べ逃しなく！
この時季のもう1つの季節のかき氷は「桃ヨーグルト」。桃シロップ、ヨーグルトシロップがとろりとかかるフルーティーな味わい。中に潜んでいる桃ゼリーも、カットされた桃の果実がそのまま入っていて新鮮。さらに、お好みでと別添えされた和紅茶のシロップが、絶妙に味を変えてくれます。
今回はご紹介できませんでしたが、テイクアウトできるソフトクリーム形状のかき氷「かき氷ソフト」もあるようです。
ならまちの老舗和菓子店のかき氷好き茶房店主の作るかき氷。噂にたがわぬおいしさでした。お座敷でテーブルも広いので、親戚の集いやグルメ仲間などグループで一緒に食卓を囲めるのもうれしいポイントです。
Photo：photo scape CORNER.大﨑 俊典
text：京都ライター事務所 小西尋子
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