札幌駅から徒歩約10分。「北海道大学」で豊かな自然と開拓の歴史散策
札幌駅から徒歩圏にありながら豊かな自然に包まれた北海道大学、通称「北大(ほくだい)」。明治9年(1876)開校の札幌農学校を前身とする、北海道で最も歴史ある大学です。札幌キャンパスは東京ドーム38個分という広大さで、構内には数々の歴史的建造物も点在します。11月上旬までは、黄金色に輝くイチョウ並木も必見です。
Summary
北海道開拓を支えた歴史ある大学。探索前にまずインフォメーションセンターへ!
140年を超える歴史を持ち、北海道開拓に貢献する数々の人材を輩出してきた北海道大学。JR札幌駅北口から徒歩10分弱で、正門に到着します。多くの学生が構内を自転車で移動するほど広大な敷地内には、歴史的建造物や心癒される自然などみどころ満載です。
大学に到着したら、まずは正門そばにあるインフォメーションセンター「エルムの森」を訪れるのが正解。案内カウンターではキャンパスガイドマップを受け取り、構内散策の参考にしましょう。自然、歴史などの興味や、所要時間に合わせたコースづくりの相談にも乗ってもらえます。
大学産野菜を使ったカレーやお洒落なスイーツなどがいただけるカフェのほか、文房具やアパレル、ワインなど個性的なみやげとしても喜ばれるオリジナルグッズを販売するショップも併設されています。
明治、大正、昭和。時の流れを感じる貴重な建物がそこにもここにも!
インフォメーションセンターを出たら、いよいよ散策のスタート。
まずは歴史的建造物から見ていきましょう。「中央ローン」と名付けられた水辺の向かいに立つ白い木造2階建ての建物は「古河講堂」です。明治42年(1909)に林学教室として建てられたこの建物、洒落た洋風建築で玄関の上のらんまには「林」という文字がデザインされています。
さらに進んで構内中央を南北に貫くメインストリートに着くと、すぐそばに「クラーク像」があるのでチェックを。「Boys be ambitious (少年よ大志を抱け)」の言葉で知られるウィリアム・スミス・クラーク博士は、札幌農学校の初代教頭を務めた人物です。
ちなみに北海道大学にあるのはクラーク先生の胸像。全身像があるのはさっぽろ羊ヶ丘展望台なので、合わせて訪ねてみるのも楽しいですね。
クラーク像のそばには、昭和10年(1935年)建築で翌年には陸軍特別大演習大本営が置かれた「農学部本館」、明治34年(1901)建築の札幌軟石づくりで現存する建物のなかでは最古の「旧昆虫学及養蚕学教室」もあります。古河講堂はじめこれらの建物は内部非公開。一般客の立ち入りは禁止です。
メインストリートを北に1㎞ほど進んだ突き当りにあるのは、国指定の重要文化財でもある「札幌農学校第2農場」です。クラーク博士の構想によって造られたこの農場は、北海道初の近代的畜産経営実践の場となりました。
「モデルバーン」の名で親しまれる家畜房や穀物庫は明治期の建物。日本最古の洋風農業建築物としても高い価値があります。
このほかにも構内あちこちに貴重な歴史的建造物が点在するので、インフォメーションセンターでもらうガイドマップを参考に、じっくりと見学するのがおすすめです。
北海道らしさ漂うポプラ並木に黄金色に輝くイチョウ並木。豊かな自然に感激
歴史を感じさせる建物の数々に加え、豊かな自然も北海道大学の魅力です。「北13条通」とも呼ばれる道路の両側約380mに、70本のイチョウが立ち並ぶ「イチョウ並木」は10月下旬~11月上旬が見ごろ。黄金色に輝く黄葉を目当てに、多くの市民が訪れます。
そして北海道大学と言えば「コレ!」という人もいるくらいお馴染みなのが「ポプラ並木」です。明治36年(1903)に植林が始まった元祖ポプラ並木は、2004年の台風で半数近くが倒壊。その後全国からの寄付金により、立て直しや再植樹が行われました。
このほかに開基125周年を記念した2000年、元祖ポプラ並木から枝を採取・育成した「クローン」を植樹して「平成ポプラ並木」も誕生しています。
運がよければ可愛いカルガモの親子に会えるかもしれない「大野池」も訪れましょう。別名「ひょうたん池」とも呼ばれるこの水辺には、春には野生のカモも飛来します。初夏にはエンレイソウ、夏はスイレン、秋は紅葉が池周辺を彩ります。
北大140余年の業績を詰め込んだ博物館はカフェ、ショップも充実
そしてぜひゆっくりと時間を取って訪ねてほしいのが、総合博物館です。昭和4年(1929)に建てられた重厚な建物は、構内にある鉄筋コンクリートの本格的建築としては最も古いもの。
館内には卒業生や教職員の業績、開校以来の歴史やこれまでに集積してきた膨大な学術標本・資料の一部、全12学部の紹介、卒業生や教職員の業績などがぎっしり詰まっています。特に恐竜やマンモス、昆虫などの標本は、子どもたちにも大人気。アイヌ民族の貴重な音声を収録した「蝋管(ろうかん)」の音色にも、ぜひ耳を傾けていただきたいなと思います。
北大構内には一般客も利用できる食堂・売店がいくつかありますが、博物館内にもカフェとショップがあります。ミュージアムカフェ「ぽらす」では道産食材を使ったオムライスやパスタ、西興部村産牛乳を使ったソフトクリーム、北大農場牛乳などが人気。北海道限定のビール「サッポロクラシック」まで飲めちゃいます。
ミュージアムショップでは、恐竜やクラーク博士をモチーフにした博物館オリジナルグッズや学生企画グッズ、アイヌ文様のアクセサリーなどが人気。お土産にも喜ばれるほか、旅の記念に自分用に買い求めるのもいいですね。
紹介した以外にも見所豊富で魅力が尽きない北海道大学。「1日では回り切れない」と言っても大げさではありません。学問の場であることを忘れず学生・教職員の皆さんへの配慮も大切にしながら、思い出に残るひと時を過ごしてくださいね。
ちなみに正門の外側にはこんな説明版も!
新選組の生き残り幹部、永倉新八が北海道大学を訪れ剣道指導を行ったことを示すものです。新選組ファンの皆さんには見逃せませんね。北大見学の行き帰りに立ち寄り、歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
Text:石渡裕美
Photo:石渡裕美
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