「京都くりや」の季節限定、あんこを使わない「栗おはぎ」
金木犀の香り、スーパーに並ぶ秋刀魚。秋の感じ方は人それぞれですが、生粋の京都人なら「京都くりや」の店先に栗おはぎが並びはじめると、あぁ、いよいよ秋だなと実感するのではないでしょうか?おいしさが全国に広がり、品切れまでの時間が年々早くなる人気商品。冬が近づいてきて秋も終わりに差し掛かっていますが、あともう少し楽しめる、京都人お気に入りの秋の味をご紹介します。
看板商品は「金の実」、創業時から栗ひとすじ「京都くりや」
京都市営地下鉄丸太町駅から丸太町通を京都御所とは反対方向に8分ほど歩いた場所にある「京都くりや」。近くには京都府庁もあり、界隈は地元に根付いたお店が多いエリアです。
こちらの「京都くりや」は、栗の里、丹波に本店がある「元祖栗納豆本家、金の実、くりや」の分家。店の歴史は古く、分家してから100年以上になる老舗です。
ショーウィンドウにずらりと並べられた栗菓子。
三代目店主の山名清司さんが手にするのは、栗一粒をまるごと甘納豆にした看板商品「金の実」。
忙しそうに働く店員さんの姿を見ていると、予約の電話が入ったあと、名物の栗納豆を一粒ずつ梱包しています。注文が通ってから梱包するそう。
自然の産物である栗は、1粒ずつ大きさが違います。そのため、箱詰めするときは、不公平がでないように1粒ずつ計りで測って1箱の重さが均等になるように詰めてくのだそう。気が遠くなるほど丁寧な作業です。
毎日毎日完売続きの季節限定の味「栗おはぎ」
さて、こちらは丹波から届いた特級の栗。不作の年があっても、長い付き合いがあるからこそ「くりやさんには良い栗を」と栗農家さんも選りすぐりの栗を届けます。
くりやに届く栗は、身がぱんぱんに詰まってコロコロ。
その栗を使って作るのが、秋の名物「栗おはぎ」。萩の花咲く季節に食べられるおはぎは、餅米をあんこで包むのが通例ですが、こちらのおはぎはあんこの代わりが丹波栗。なんとも贅沢な季節の味です。栗おはぎは丹波地方では栗のとれる季節になると、どこの家庭でも手作りされていたそう。
2個入りと3個入りがパックに入って並びますが、人気商品のためあっという間になくなります。もし、「秋の京都旅行の楽しみのひとつに栗おはぎを」と思うなら事前に予約ができるので、必ず電話で予約しておきましょう。
今回、無理をお願いして、栗おはぎを作っている様子を見せていただきました。こちらのトレーには下拵えした栗あん。鬼皮ごと茹でた栗を割り、中身をスプーンで丁寧にこそげとるそう。その際、一緒に渋皮も入ることで見た目にも味にも風合いが出ます。
分量の餅米に、分量にちぎった栗のあんこを纏わせるようにくるんでいきます。
さすが熟練の技、寸分の違いのない栗おはぎができていきます。この作業ができるのはご主人と奥さんの2人だけ。催事のある前の日などは、ほとんど寝ずにおはぎを丸めているそう。
キュッとしまった良い断面。サイズが上品なこともあって、1人で2個食べてもまだ足りない、3個入りにすればよかった…。2パック買えばよかったと悔いが残りますが、1日に作れる数には限りがありますので、あまり欲張らず。
お昼過ぎに残っていることは、ほぼないです。早起きして出かけましょう。
お客さんの期待に応えるために寝る間を惜しんでおはぎを丸め、不公平が出ないために栗納豆一粒ずつの重さを測る。商品の確かなおいしさはもちろん、栗とお客さんに対する実直さが「京都くりや」の人気を不動のものにしているのだなぁ…と改めて京都の老舗の矜持に心打たれました。京都御所、二条城観光の際の京都みやげに「京都くりや」おすすめです。
■京都くりや(きょうと くりや)
住所:京都府京都市中京区大文字町42−4
TEL:075-231-4564
営業時間:9~18時、日曜10~15時
定休日: 無休
アクセス:京都府庁前バス停から徒歩4分または地下鉄烏丸線丸太町駅から徒歩8分
Photo: l'atelier kicca 菊地佳那
Text:京都ライター事務所 小西尋子
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