大阪の下町の商店街で愛される「本のお店スタントン」へ【わざわざ行きたい大阪の本屋さん#4】
下町の雰囲気漂う駒川商店街にある「本のお店スタントン」は、小さな子どもからお年寄りまで、地元の人に愛される街の本屋さんです。書棚には児童書や文芸書、アートブックのほか、棚貸し古書店なるラインナップも。思わず長居してしまいたくなる、本の魅力にあふれたお店に行ってみませんか?
街の人の思いに応えて誕生した本屋さん
近鉄南大阪線針中野駅を降りてすぐの場所にある、大きな商店街・駒川商店街。メインストリートからひとつ脇に入った路地にある、書店「本のお店スタントン」は2018年11月にオープンしました。老舗揃いの商店街の中ではまだまだ新しいお店です。
店を切り盛りするのは店主の田中利裕さん。大阪・心斎橋を中心に、美術書や洋書を扱う名書店として人気を集めていたアセンス針中野店で店長を務めていました。
地元で愛されていましたが2018年、アセンスが突然閉店することとなり、商店街周辺から本屋がなくなることに。地元の人たちからの要望や田中さんの「文化的なものに触れる場所を残したい」という思いから、同年「本のお店スタントン」をオープンしました。
子どものうちから本に触れられる場所を
スタントンで扱うのは新刊と古本が半分ずつほど。大型書店で扱うような本は少なく、小規模な出版社など、店主の田中さんがセレクトした書籍が並びます。アートブックや写真集など、前店の要素を引き継いだラインナップも充実。
店内に入ると特に目立つのが絵本や児童書の豊富さ。お店に入って右手のコーナーには、小さな子どもの目線に合わせた書棚が並んでいます。
「子どものうちから本と暮らしてもらえたら」と、自由に手に取ることができるゆったりとしたスペースを設け、小さなテーブルとイスも用意。「これ借りて帰ろう~」と、図書館と間違えてしまう子どももいるほど、本を身近に感じることができます。
絵本は最新刊から、『ふたりはともだち』(著:アーノルド・ローベル)、『ぐりとぐら』シリーズなどの名作から、大人のファンも多いエドワード・ゴーリー著の絵本など。「成長とともにいろんな本を手に取ってほしい」と、世代に合わせた児童書が数多く並びます。
意外な出会いが楽しい、棚貸し古書店
スタントンは店内奥に進むほど、よりディープで発行年の古い古本が並びます。古本は店主の田中さんが持ち出したものや店頭で買い取りをしたもののほか、「棚貸し古書店」というコーナーも設置。
小さな書棚ひとつにつき一人のオーナーがいて、テーマやジャンルに合わせて本をセレクト。地元の本好きや、他の街で書店を経営する人などオーナーも様々です。
棚貸し古書店は月に1回入れ替えや補充があり、書棚ごとに個性が異なります。本好きの人がオススメする書籍はこれまで知らなかった世界との出会いにも繋がり、定期的に通うお客さんがいるというのも納得です。
紙芝居やギャラリーの展示などイベントも盛りだくさん
店内奥には多目的に使えるギャラリーもあります。これまでに91歳のおばあちゃんが作る新聞ちぎり絵が話題となった「木村セツ新聞ちぎり絵原画展」をはじめ、原画、パネル展など、出版物に関連した作品展を実施。
また、毎月第2、4土曜日には紙芝居などのおはなし会も開催。ハロウィンの時期には子どもたちにおやつを配るなど、小さいうちから本に触れられる場所を作りたいという店主の思いがこもったイベントは毎回好評です。
店内には書籍のほかに、絵本に登場するキャラクターなどの雑貨も販売中。絵本や児童書と併せてプレゼントするのもオススメですよ。
本選びが楽しくなる空間はきっと上質な本に出会えるはず。“街の本屋さん”で、いつもとは違う一冊を探してみませんか?
Text & Photo:黒田奈保子
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