【新潟・阿賀エリア】阿賀野川ライン下りに、坐禅体験、テントサウナも。体と気持ちを“整える”阿賀町・五泉市の旅。
新潟県の中央を流れる阿賀野川。古くから福島の会津地方との水運に利用され、流域の町は賑わってきました。明治時代にはイギリス人女性の旅行家イザベラ・バードが訪れ、阿賀野川の自然の美しさに感嘆したそうです。そんな歴史と自然の美しさを感じられる阿賀野川流域の阿賀町・五泉市のスポットをご紹介します!
Summary
船頭さんの歌も楽しみ。『阿賀野川ライン遊覧船』
まずは阿賀野川の美しい景観を楽しめる『阿賀野川ライン遊覧船』に乗船。「道の駅 阿賀の里」から発着する約40分の周遊コースでは、船頭さんのガイドでゆったりと川沿いの景色を眺めましょう。
阿賀野川の歴史や船から見える渓谷などの説明の合間に披露してくれる船頭さんの歌も、旅気分を盛り上げてくれます。運がよければ川岸でサルなどの野生動物に会えるかも。
「イザベラ・バード」と名付けられた遊覧船は、水流を噴射して進むジェット船。といってもスピードは上げないので揺れたりはしません。
船名は明治11年(1878)に阿賀野川を訪れたイギリス人女性の旅行家イザベラ・バードにちなんだもの。彼女が阿賀野川の景観を「ライン川より美しい」と述べたことから”阿賀野川ライン”という名前が生まれたのだそう。
客席の窓を開くと阿賀野川の川面がすぐ近くに。気持ちのいい風が入ってきます。
■阿賀野川ライン遊覧船
住所:新潟県東蒲原郡阿賀町石間4301(道の駅 阿賀の里)
TEL:0254-99-2121(道の駅 阿賀の里)
営業時間:ジェット船「イザベラ・バード」9時~15時(1時間ごとに出航)※冬季期間の平日は14時まで
料金:大人2000円、子供1000円
定休日:無休
『道の駅 阿賀の里』でとびきり美味しい「おにぎりランチ」
「阿賀野川ライン遊覧船」の発着場所は『道の駅 阿賀の里』。新潟県各地のおみやげの他、地元阿賀町の特産品などを販売しています。中でもフードコーナーでは阿賀町産のコシヒカリのおいしさを握りたてのおにぎりで堪能できる「あが米セット(さけ、たらこ、明太子から選ぶおにぎり2個と味噌汁)480円、「にぎわいセット」430円(塩、梅、こんぶ佃煮から選ぶおにぎり2個と味噌汁)がおすすめ。取材当日は新米フェアが行われており、阿賀町産のなめこ汁がセットになった「おにぎりランチ」580円をいただきました。
食後は2Fの展望フリースペースで一休み。阿賀野川と山々を彩る紅葉が一望できました。道の駅は阿賀野川沿いというロケーションなので、川岸を散策するのもいいですね。
樹齢約1400年の巨木『将軍杉』に会う
「道の駅 阿賀の里」から約6km、車で10分ほどの距離の岩谷地区にある平等寺のそばには、杉の巨木『将軍杉』があります。高さ約40m、幹周りは19.31mで日本一の太さ。樹齢はなんとおよそ1400年とのこと。国の天然記念物にも指定されています。『将軍杉』の周囲はウッドデッキの遊歩道が整備されていて、ぐるりと一周することができます。人間とは違う尺度の時間を生きてきた巨木の生命力に思いを馳せると、日常の小さなストレスは吹き飛んでしまいそう。
『将軍杉』がある平等寺には室町時代の永正14年(1517)に再興されたと伝わる茅葺きの薬師堂があります。お堂の中には戦国時代から江戸時代にかけて庶民から戦で敗走中の武将まで、様々な人たちの落書きが残されているそう。お堂は非公開ですが、境内には訪れた方が用意された半紙に落書きをできるスペース「落書庵」もあります。このお堂を訪れた昔のさまざまな人々のことを想像しながら落書きを残せば、歴史を少し身近に感じられそうです。
■将軍杉
住所:新潟県東蒲原郡阿賀町岩谷2242
TEL:0254-99-2639(落書庵)
営業時間:9時~16時(落書庵)※冬季期間は変更あり
定休日:火曜(落書庵)
杉並木の森林浴も気持ちいい慈光寺の坐禅体験
阿賀町のお隣り五泉市にある慈光寺は、樹齢300年~500年を越す杉の巨木が立ち並ぶ山の麓にある曹洞宗の古刹です。こちらでは江戸時代に建てられた7つのお堂からなる伽藍が現存していて、その貴重な坐禅堂の中で坐禅体験(要予約)をすることができます。
お寺までの約500mの杉並木は、木漏れ日が射し込む清々しい空間です。道の途中にはお地蔵様などが立っているので、心を清めるように散策しながら進みましょう。
お堂について受付後、坐禅堂へ。指導いただくお坊さんの説明を聞きながら、坐禅体験がスタート。坐禅の大切なポイントは3つの「整う」。身体、呼吸、そして心を整えます。壁に向かって姿勢を整えた後、静かにゆっくり呼吸をして、頭に浮かぶいろいろな考えをそのままそっと流していきます。これがなかなか難しい…。どうしても身体が動いてしまうときは、お坊さんに警策(きょうさく)と呼ばれる板で右肩を打っていただきましょう。通常の坐禅体験は約40分。普段の生活ではなかなか味わえない、すっきりとした気持ちに包まれます。
慈光寺では坐禅の他に写経も体験することができます。ちなみにお寺の境内は私の携帯電話は圏外でした(機種によって異なるそうです)。忙しい日常から少しだけ離れて、身と心を整えて静かに自分に向き合う時間は、旅先だからできることかもしれません。
御神楽温泉 ブナの宿『小会瀬』でテントサウナを楽しむ
阿賀野川の支流である常浪川沿いのブナの森の中にある宿『小会瀬』は、キャンプスペースもある宿として人気です。
こちらに新しく生まれたのがテントサウナ。文字通りテントの中にストーブがおいてあり、浴衣を着て入ります。
森の中で鳥のさえずりを聴きながら汗を流すのは最高の一言。テントの目の前には水風呂やリラックスチェアも用意され、森の中で“整う”ことができます。
テントサウナに隣接して薬草を使った露天温泉も。サウナで汗を流した後、ゆっくり温泉の効能を楽しむのもおすすめ。
『ブナの宿 小会瀬』は、食事も楽しみ。店内で職人さんが打つ蕎麦や自家製のどぶろくが名物です。特にどぶろくは、さすが酒どころ新潟、香り高く、お米の甘味も感じられて本当に美味しかったです。テントサウナと露天風呂に入った後だったら、お酒を飲む前の水分補給も大切に。
■御神楽温泉 ブナの宿 小会瀬
住所:新潟県東蒲原郡阿賀町広谷乙2091-1
TEL:0254-95-3535
営業時間:キャンプチェックイン13~17時 チェックアウト11時
定休日:無休
新潟県の阿賀エリア、阿賀町、五泉市には、阿賀野川が育んだ自然と食材、そしてこの土地が積み重ねてきた歴史に触れ、昔の人々の息づかいを感じられるスポットがたくさんありました。日常を少し離れて、体と気持ちを整える旅に、ぜひ出かけてみてはいかがでしょうか。
Text:江本典隆(JTBパブリッシング)
Photo:江本典隆(JTBパブリッシング)
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