おでかけ
2021.12.29
本のセレクトショップ「誠光社」で過ごす贅沢な時間【わざわざ行きたい京都の本屋さん#1】
京都御所の近くに店を構える「誠光社」は、取次会社を介さずにできるだけ出版社から直接本を仕入れるスタイルで、新しい書店のあり方を模索しています。すみずみまで目が行き届いた約20坪の空間には、本や街の書店の魅力を伝えたいという店主の想いがつまっています。
Summary
必要な本を探すのではなく、はじめましての本に出会う場所
京阪電車の神宮丸太町駅からすぐ、鴨川を渡った静かな路地にレトロな電球とかわいい看板を発見。住宅街の中に佇むお店の扉を開けると、暖色の照明に包まれた木のぬくもり溢れる空間が広がります。余計な音が吸収されたような静けさの中、本と向き合う集中力が高まるのを感じます。
本好きの友達の本棚を見ているような楽しさ
「誠光社」は、世界の美しいブックショップ・ベスト10にも選ばれた「恵文社 一乗寺店」出身の店主・堀部さんが営む書店です。入ってすぐのテーブルには、新刊をメインに、店主が今一番推している新入荷の本を平積み。ほぼ毎日なにか入れ替わるといいます。タイトルや装丁を見ているだけでワクワク！
本は食、民芸、建築、住まい…などテーマごとにわけてインデックスをつけずに陳列。ひとつのテーマにまつわる人文科学・哲学・文化論・エッセイなど分類の枠を超えた本が並べてあるので、大型書店では気づかなかった本にも出会えるのです。
棚に置かれている本のテーマは、ゆるやかに関連するものにかわっていくので、どんどん隣の本が気になってしまい、まさに棚を読んでいる感覚に。店内すべての背表紙にじっくりと目を通せるくらいの絶妙なキャパシティが、知的好奇心を大いに満たしてくれます。
スマホを置いて広がるリアルな本の世界
入口すぐの壁にはこんなメッセージが。店主が敬愛するサンフランシスコの書店「CITYLIGHTS BOOKS」内に掲げられているアメリカの詩人・故ローレンス・ファーリンゲティ氏の言葉をイラストレーター・Noritakeさんにお願いしてポスターにしてもらったそう。この言葉がスマートフォンを見ているだけでは得られない、デジタルではないアナログな本の手触りの良さに気づかせてくれます。
本棚の上に置かれていたアーティスト・舞木和哉氏の『犬』に目を奪われました。700ページという分厚さにびっくり！スタッフがきまぐれでポップを書くこともあるとか。お客さんの自由な感性で本を手にとってもらえるように、ポップのコメントはあくまでも紹介が必要なものだけにとどめています。
店主好みのアナログレコードやCDも少しだけ販売していて、店の雰囲気に合うものをセレクトしています。店内のBGMはその日の気分でチョイス。取材当日は小雨が降っていて、ゆるいボサノヴァがしっとりとした雰囲気を醸し出していました。
ギャラリーやイベントで本好きがつながる空間を提案
店内奥には半年ごとに入れ替わるギャラリースペースも。取材時は、タトゥーアーティストの原画を展示。作家さんをはじめ、出版記念など取引先である出版社さんとの関係性から生まれるカルチャー全般を扱い、形にしています。
「この店をキッカケにお客さん、出版社、作家さんなどがつながるコミュニティを盛り上げていきたい」と、コロナ禍以前は店内で月３～４回のペースで展示にまつわるトークイベントなどさまざまな企画を行っていたそう。今後はイベントも復活させていきたいとのこと。
「誠光社」では、時間の流れがいつもよりゆっくりで豊かに感じられました。１時間ほど滞在するお客さんも多いそう。「棚を読んで、何かひっかかって帰ってもらえれば」と店主は語ります。
■誠光社
住所：京都府京都市上京区俵屋町437
TEL：075-708-8340
営業時間：10～20時
定休日：無休（12/31〜1/3除く）
Text＆Photo：岡田あさみ
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●旅行中は「新しい旅のエチケット」実施のご協力をお願いします。
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