京都の師走の風物詩「大根炊き」へ! 千本釈迦堂 大報恩寺で無病息災を祈願しよう<京の歳時記 12月>

京都の師走の風物詩「大根炊き」へ! 千本釈迦堂 大報恩寺で無病息災を祈願しよう<京の歳時記 12月>

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京都の神社やお寺では、一年を通してさまざまな行事が行われています。今回ご紹介するのは、京都の師走の風物詩としても知られる「大根炊き」。京都に根付く大根炊きの由来や、その先駆けとされる千本釈迦堂 大報恩寺の大根炊きの様子などをご紹介します。

Summary

京の師走の風物詩「大根炊き」ってどんなもの?

大根炊き(千本釈迦堂 大報恩寺)
大根炊き(写真/千本釈迦堂 大報恩寺)

12月に入ると、京都のあちこちのお寺で行われる「大根炊き」は、京都の師走の風物詩として知られています。大鍋で炊いた大根を仏前に備え、参拝者に振る舞う行事で、その様子はニュース番組などでもたびたび報道されます。

「大根炊き」の起源については、お寺によって諸説あります。その先駆けといわれる千本釈迦堂 大報恩寺では、鎌倉時代に茲禅上人が大根の切り口に梵字を書いて魔除けにしたことが起源。「悪魔除け」とされた大根を炊き、参詣者に振る舞ったことが「大根炊き」のはじまりなのだとか。ちなみにこちらでは、「だいこんだき」ではなく「だいこだき」と呼びます。

千本釈迦堂 大報恩寺で大根炊きが行われるのは、毎年12月7日と8日。この2日間は、お釈迦様の「さとりの日」を慶讃する法会「成道会(じょうどうえ)」が行われる日です。お釈迦様の梵字を描いた大根を加持祈祷したあと、切り分けて油揚げと一緒に大鍋で炊きあげ、参拝者に振る舞っています。

この大根をいただくと、病魔退散や健康増進のご利益があるとされています。底冷えの京都で、やわらかく炊かれた熱々の大根は体を芯から温めてくれます。ひと口食べるだけでご利益がありそうで、冬の京都ならではの行事ともいえそうですね。

千本釈迦堂 大報恩寺の大根炊きへ!

そんな冬の風物詩である大根炊きを目指して、千本釈迦堂 大報恩寺に出かけてきました。残念ながら、2021年は新型コロナウイルスの新規感染再拡大を防止する観点から、従来の形での「大根炊き」は取り止めになりましたが、大根授与や本堂の無料特別公開などは例年通り行われました。2022年こそは従来の大根炊きが復活することを願って、しっかりお参りしてきました。

境内に入ると、美しい紅葉が迎えてくれました。12月上旬でも、きれいな紅葉が残っているものですね。あちこちの木の下に、色とりどりの散紅葉も広がっていました。

参道を抜けて正面に見えるのが国宝の本堂です。成道会が行われる12月7・8日の2日間とお盆の六道参りでは、通常拝観料が必要な本堂を無料で特別公開。普段は本堂の裏側から中に入ることになりますが、この期間は正面から入ることができます。また、お寺のご本尊の釈迦如来坐像(重要文化財)は秘仏ですが、このときには御開帳されますので、これだけでもお参りする価値がありますね。

本堂の手前で、大根の授与が行われていました。大根授与はもちろん毎年行われています。例年の大根炊きは2日間とも多くの人が訪れ、大根を手に入れるのも一苦労のようですが、今年はゆったりした雰囲気ですね。

立派な大根がずらり。ここに並ぶ大根はすべて祈祷されたもので、一つ一つにお釈迦様を意味する梵字が書写されています。授与される大根は「聖護院大根」という京野菜のひとつで、丸い形が特徴です。水分が多くてやわらかいので、煮ものには最適だそう。せっかくなので一ついただきました(お守り付で1000円)が、ずっしり重くてびっくりしました。ちなみに、大根炊きで振る舞われる大根の煮物には、一般的な細長い大根が使われるそうです。

12月7日・8日の2日間限定で、特別記念の大根の根付御守の授与もあります。丸い大根に梵字が書かれていてかわいい! 1年で2日間だけの授与となると、とても貴重ですよね。

おかめ伝説で知られるお寺だけあって、手ぬぐいやキーホルダーなど、おかめグッズもいろいろとありました。これまたかわいいですね。

千本釈迦堂にはみどころがたくさん

大根炊きが有名な千本釈迦堂 大報恩寺ですが、ほかにも見どころがたくさん。そのなかから、ぜひチェックしてほしい見どころを3つご紹介します。

一つ目は、縁結びや夫婦円満にご利益があることで知られる「おかめ塚」。自らの命を犠牲にして夫の名誉を守った妻・おかめ(阿亀)の像は、厄除・招福信仰のシンボルといわれています。また、千本釈迦堂のおかめのエピソードは、全国のおかめ信仰の発祥となっているのだとか。ふくよかな笑顔を拝むだけで癒されます。

次は境内の中心に立つ本堂。大根炊きの2日間には無料特別公開される本堂ですが、実はこちら、京都市内最古(!)の木造建造物。安貞元年(1227年)に創建されたままの大変貴重な建物で、国宝に指定されています。幾多の戦乱を免れてきたという歴史と貫禄が感じられます。

そして3つ目は、霊宝殿に安置される六観音菩薩像です。こちらの霊宝殿には、快慶をはじめ、名仏師が手がけた貴重な仏像彫刻が多数おさめられています。そのなかの六観音菩薩像は、運慶の弟子である定慶の作で、六道信仰に基づいて作られた六体の観音様。聖、千手、馬頭、十一面、准胝、如意輪の六体で構成され、この六体が揃って安置されているのはなんと全国で唯一! 6体並ぶとやはり迫力があります。

大根炊きで有名な千本釈迦堂 大報恩寺ですが、そのほかにも見どころがたくさん。お寺の近くには、京都最古の花街・上七軒などもありますので、のんびり散策するのもおすすめです。

※大根炊きは毎年12月7日・8日の2日間(2021年は従来の大根炊きは中止)


大根炊きが行われる京都のお寺をチェック

今回は、千本釈迦堂 大報恩寺の大根炊きを紹介しましたが、京都市内では12~2月ごろにあちこちのお寺で大根炊きが行われます。大根炊きが行われる代表的なお寺はこちら。

●上賀茂神社(北区)…1月1~3日
●三千院(左京区)…2月の初午
●了徳寺(右京区)…12月9・10日
●鈴虫寺 華厳寺(右京区)…地蔵菩薩の縁日(12月24日)あたり
●三宝寺(右京区)…12月上旬の土・日曜
●蛸薬師堂(中京区)…12月31日
●法住寺(東山区)…1月15日に近い日曜

残念ながら、2021年12月~2022年2月にかけての大根炊きは、新型コロナウイルスの感染防止を鑑みて、ほぼ中止となっています。法要や大根の授与のみというところがほとんどですが、お出かけ前には必ず最新情報を確認するようにしてくださいね。



Text:山口春菜(エディットプラス)


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