【神戸】豚まん3大定番店 個性いろいろ大人気の味をテイクアウト
小腹がすいたら、ランチの代わりに、気軽な手みやげに。日常のさまざまなシーンに寄り添う、まるくて熱くてニクいヤツ!ふわふわの豚まんにかぶりつくと(※神戸人は「肉まん」じゃなくて「豚まん」と呼びます!)、中から湧き出すのは熱々の湯気、甘~い肉汁、それとも多幸感?中華グルメ大国・神戸で名店と呼ばれる3つの定番店で、ご自慢の豚まんを食べ比べしてみました♪
Summary
創業100余年。南京町「老祥記」の元祖豚まんは、小ぶりサイズの大人味!
まずは神戸豚まんの第一人者、南京町の人気店へ。大正4年(1915)創業の「老祥記」は、日本に初めて豚まんを持ち込んだ老舗中の老舗なんです。南京町広場の正面にある店舗では、いつも人が絶えません。大きなカートを引いた観光客、ぶらりと訪れた地元の常連さん、大丸の紙袋を持った神戸マダム、あらゆる人々が、唯一無二の豚まんを求めて扉の前に人が集まっていますよ。
老祥記の豚まんは、手のひらにちんまりと収まる小ぶりサイズ。かぶりつくとフワフワ、じゃなくて、もっちりと弾力ある皮にまず驚かされます。その秘密は、初代が故郷・上海から持ち込んだという麹。イーストと違って気温や湿度などに影響されやすく、扱いの難しい麹で発酵させた生地は、独特のモチモチ感と、ほのかな甘酸っぱさが魅力です。中のあんは、旨味の濃い肉に醤油の風味がふわり。豚バラ肉のほか少し牛肉も混ぜているそうです。粗めのミンチで食感も◎。タマネギでなく青ネギを使うので甘さは抑えめ、ちょっと大人な味わいが、自慢の皮によく合います。
多い日で1日1万3000個も売り上げるという驚異の豚まん。熱々蒸したてを南京町広場でパクッと行くのが最高ですが、持ち帰って食べる時はなるべく蒸し器で温め返して。レンジの場合は水を含ませ、ラップしないで1分以内、だそうです。フライパンでちょっと焼くのもおすすめ。そのままで十分おいしいけど、辛子、酢醤油+一味、マヨネーズなど、お好みの食べ方を試してみてください。
粗く切った具材の旨みがダイレクト!元町駅前「四興楼」の名物豚まん
お次はJR元町駅西口を出て目の前、赤×緑の看板が鮮やかな「四興楼」。昭和25年(1950)創業、大衆的な広東料理屋さんで、ラーメンも八宝菜もおいしそうだけど、お店の看板を飾るのはやっぱり豚まん。取材に訪れた時はちょうどランチタイムが終わったところで、持ち帰りや進物用の豚まんを求める人が集まっていました。
1日1000個以上、繁忙期には1500~1600個も売り上げるという豚まんは、食べごたえのあるビッグサイズ。皮も厚めで、フカフカとモチモチのいいトコどり、ほんのり甘みがあって、こんなパンがあったらそれだけでも食べたいくらい!生地の発酵時間を長めに取ることで、弾力と繊細な味を生み出しているそうです。あんの豚肉とタマネギはすべて国産の厳選素材。粗めのみじん切りで、素材の味がしっかりと伝わります。醤油ベースであっさり仕上げ、皮とのバランスも◎、万人に愛される味になっています。
ランチを食べに来たけど、名物の豚まんも食べたいな、でもお腹いっぱいだしな…そんな人のために、ランチタイム限定でミニサイズ110円も用意。皮や具はレギュラーと同じで、ほぼ半分のサイズです。豚まんの人気ぶりに応じた、うれしいサービスですね!
テイクアウトはトレードマークの緑の箱で。通販もOK、全国からの問合せも増えている一方で、昔からの常連さんが二代、三代、四代と世代を越えて通って来られるというのも、いかにもこの店らしいお話です。
センター街の豚まんはタマネギが甘~い!ウィンドウの実演も楽しい「三宮一貫楼 本店」
3軒目は、三宮センター街の西側入り口にどーんと構える「三宮一貫楼 本店」。大通りに面したウィンドウの中では、何人もの職人さんたちが生地をこねたり、あんを包んだり、一心に豚まんを作っておられます。これ、ずっと見ていられるやつだ…!工房には「豚まんロボット」の姿も。昭和29年(1954)の創業当時から一貫して手作りにこだわっているという一貫楼、「生地の塊から1個分ずつ取り分けて丸める」工程だけ、このロボットにおまかせしているそうです。機械でできる工程、どうしても人の手が必要な工程を合理的に分業して、全9店舗で1日平均8000個を作り続けているんです。
こちらもかなりボリュームのある一品。皮は見た目よりモチモチ感強めでやさしい口当たり、ほのかに甘みがあります。びっくりするのが、あん。甘ーい!他店よりタマネギを多めにすることで、豚肉の旨みを邪魔することなく素材自体の甘みを押し出し、ジューシーに仕上げているそうです。水分の多い新タマネギの季節など、時期によって変わる素材のコンディションに合わせて作業も調整しながら、いつも変わらないおいしさを守る技術、さすが名店の実力です。
三宮一貫楼の店舗は、神戸を中心に全9店舗。新神戸駅や伊丹・神戸空港にも展開(空港店は冷凍品のみ)、おみやげにも人気なんです。オンライン販売もOK。
おいしい豚まんを食べていると、ウィンドウ越しに見た職人さんたちの様子が目に浮かびます。こねて、包んで、蒸して…目の前で作られたものを食べるのは、安心感はもちろん、何より食の楽しさがありますよね!
みんなで神戸を元気に!互いにリスペクトしながら、進化し続ける神戸の豚まん
今回ご紹介した3店を発起人に、2011年、「KOBE豚饅サミット®」が発足しました。神戸名物・豚まんのおいしさを日本中、世界中に発信することで、神戸を元気にしよう、というプロジェクトです。毎年11月11日の「豚饅の日」(豚の鼻の形を思い浮かべてみて!)には、被災地支援などを兼ねた豚まんイベントを開催しています。
それぞれのお店が、他のお店の味をリスペクトしあうことで、神戸の豚まんがもっともっとみんなに愛されるように。豚肉、タマネギ(たまに青ネギ)、そして神戸の魅力を詰め込んだ十人十色の豚まんを、みなさんもどうぞ食べに来てください!
text:中谷晶子
photo:直江泰治
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