個性あふれるミニプレスが全国から集まるレティシア書房

個性あふれるミニプレスが全国から集まる「レティシア書房」【わざわざ行きたい京都の本屋さん#3】

書店 アート ショッピング 京都府 るるぶ&more.編集部
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北海道から沖縄まで幅広くミニプレス(自費出版物)を取り扱っていることで、全国の本好きの間で有名な「レティシア書房」。普段なかなか出会えない本を実際に手に取って、作り手の個性際立つミニプレスの世界を体験してみませんか。

Summary

メインの平台には面白そうな表紙の本がズラリ

地下鉄烏丸御池駅からから御池通りを東へ進み、細長い高倉通りを北上したところにある「レティシア書房」。木の温もり溢れる扉が迎えてくれます。

入口すぐの平台一面には、表紙・装丁にこだわったさまざまなミニプレスがディスプレイされています。ミニプレス以外にも取次を通さない独立系出版社の本や新刊書も混ぜて並べることが店主・小西徹さんのこだわり。「ミニプレスも新刊も古本も意識せず、面白いと思うものを線引きなく手にとってもらえるように」と、小西さんは語ります。

お客さんの先を行きすぎない絶妙なセレクト

小西さんは、レコード店や大型書店での勤務を経て、11年前に古書・ミニプレス専門のレティシア書房をオープン。レコード店勤務時代にインディーズレコードの可能性に触れたことを思い出し、本のインディーズともいえるミニプレスを集めることになったと話してくれました。

全国から本の持ち込みがあるミニプレスは、作り手の熱意が感じられれば、来るもの拒まず。俳句・短歌、コミック以外はなんでも受け付けています。作った人、買う人、売る人、本に関わるすべての人が満足する世界がそこにはあります。

最近増えてきた新刊書については、「お客さんとの対話で情報収集して、先を行き過ぎないセレクトを意識しています。行き過ぎるとオタクの世界になってしまうから」と小西さん。ジャンルや形態関係なく、「見たことのない本」に出会える、そんな本屋さんが小西さんの理想です。

作り手のこだわりがギュッと詰まったミニプレスの世界

大の納豆好きの筆者が気になったのがこの『納豆マガジン』。京都にある女性5人ほどの小さな出版社が出している書籍です。納豆ファッション、納豆漫画、納豆の粒を数える企画…など楽しい内容で、おいしそうな表紙にも釘付けに!納豆が名産である茨城県の人がよく買いに来るとか(笑)。

オススメのミニプレスも聞いてみました。こちらは、身近な自然や山をテーマにした小冊子「murren」の編集者・若菜晃子さんによるエッセイシリーズです。世界中を旅して、感じたことを綴った文章がとてもきれいで心おだやかになると小西さんも絶賛。写真はほとんどなく、若菜さん本人による繊細なタッチのイラストが想像力を掻き立ててくれます。

こちらは、人口1700人の奈良県・吉野村に「人文系私設図書館」を作った青木真兵・海青子夫妻によるエッセイです。都会から山奥の村に移住することになったきっかけなどが12の対話で綴られているというとても興味深い内容。本好きの間で大人気の作品だそうです。

さまざまなアート作品を展示するギャラリーも

入口を入って左の壁は、2週間単位で作品が入れ替わるギャラリーコーナーになっています。こちらも、雑貨から版画、イラスト、写真などなんでも受け入れる間口の広さ。取材時は、京都のフェルト作家・加藤ますみさんの作品が展示されていて、そのキュートなフォルムに目を奪われてしまいました。

レコード店出身の店主による気ままな音楽コーナーでジャケ買い

かつては、輸入レコードを扱う店で15年ほど働いていて、大の音楽好きでもある小西さん。個人的趣味で仕入れたCDやLPもわずかですが販売しています。店内に流れている音楽を聴いて「読書や家事の時間にぴったり」と購入する人や、ジャケ買いする人も。そんな出会い重視の買い物はミニプレスと共通しています。

ギャラリー目的で来た人が本や音楽に興味を持ち、その逆もしかり。ミニプレスだけにとどまらず、面白いものをみんなで共有するそんな書店。11年目のレティシア書房は、専門的古書店でも大型の新刊書店でもない「今ちょうどいい塩梅です」と小西さん。思わず本のジャケ買いをしてしまう、紙の本の魅力を体感できる場所です。

■レティア書房
住所:京都府京都市中京区瓦町551
TEL:075-212-1772
営業時間:13~19時
定休日:月・火曜

Text&Photo:岡田あさみ

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