映画館「出町座」内の小さな書店「CAVA BOOKS(サヴァ・ブックス)」で世界を拡げよう!【わざわざ行きたい京都の本屋さん#4】
映画✕書店✕カフェの文化複合施設「出町座」。1階にある書店「CAVA BOOKS(サヴァ・ブックス)」は、カフェ「出町座のソコ」と一体となったレイアウトが特徴的で、2階と地下には映画上映スペースがあります。ちょっとマニアックな世界を深めることができるカルチャーの発信地をお気に入りの場所にしてみませんか?
Summary
地元の人々とともに商店街を元気にする存在でありたい
京阪出町柳駅から鴨川デルタに架かる2つの橋を渡り、活気あふれる「出町桝形商店街」を進むと大きな“出町座”の文字が見えてきます。映画のポスターがたくさん並べられたレトロモダンな外観は、商店街の中でもひときわ目立つ存在です。
1階入って左手には映画の受付があり、中央にはカフェ「出町座のソコ」のカウンターがあります。カウンターの後ろの壁一面が「CAVA BOOKS」の本棚になっていて、カフェでは映画鑑賞の前後に購入した本を読んで過ごすこともできます。
出町座は、文化複合施設として2017年にオープンしました。“CAVA(サヴァ)”とは、出町柳が海と都を結ぶ若狭街道(鯖街道)の終着点であることと、フランス語で「元気かい」という意味をかけています。土地にちなんだ名前で、地元の人々に元気を与えられるように名付けられたそう。
映画館の中にある本屋さんだからこそできること
出町座立ち上げからプロジェクトにかかわっている「CAVA BOOKS」のオーナー・宮迫憲彦さんの本業は、映画の本を専門に出す出版社の営業マン。自社の本の先行発売や刊行記念イベントの開催、新刊に映画の割引券をつけるなど映画館との連携を活かしています。「CAVA BOOKS」での仕事は、映画好きのお客さんの声を直接聞く貴重な機会となっていると語ります。
オープン当初は、オールジャンルの総合書店を目指していましたが、近所に京都大学や同志社大学など有名大学が多いこともあり、読み応えのあるものが良く売れる傾向に。現在は、人文、哲学、思想系の本が中心となっています。「ジャンル分けできない本こそ売りたい」という理由から、インデックスがなく、スッキリとした本棚はスタイリッシュな見た目にもこだわっています。
映画館に併設されている書店だけあって、映画関連本の充実度は抜群。一番奥には、映画の原作、評論本など映画関係の本が並ぶコーナーを設けています。映画の原作や関連書から広がる映画の世界も面白そう。上映プログラムに関係するものは、入口すぐの新刊コーナーにもディスプレイされているので、お目当ての映画と合わせてぜひチェックを。
2階の映画館へ上がる階段の横には古本も少しだけ揃えています。すべて映画専門の古書店から仕入れているため、映画マニアにはたまらない掘り出し物が見つかることも⁉
映画好きの心をくすぐるオリジナルアイテムやサービスも
「CAVA BOOKS」では、オリジナルの「映画ノート」を販売しています。見た映画のタイトル、日付などを書く欄があり、映画の半券を貼るなど、自由に使って、映画の感想を書き留めることができます。過去に完売したのですが、ファンのリクエストにより待望の再販となったそう。ひとまわり小さな「読書ノート」も人気です。
「CAVA BOOKS」で本を購入した人には、オリジナルブックカバーをかけるサービスも。京都在住のイラストレーターユニット「tupera tupera(ツペラツペラ)」が描いたかわいい原画も展示されています。素敵なブックカバーに包まれると、大切な一冊がさらに愛おしくなりそうですね。
日本全国のお客さんとつながり、発信する書店へ
大手書店チェーン勤務経験もあり、海外文学が大好きな宮迫さんは、オンラインショップで海外文学作品の選書サービス「サヴァ・ブッククラブ」も運営。日本全国の会員にオススメの本を毎月届けています。リアルな場所がありながら、遠方のお客さんともつながっている「CAVA BOOKS」。今後は売るだけではなく、「CAVA BOOKS」でものを作り、発信することもやっていきたいとのこと。
映画、カフェ、書店がそれぞれの魅力を発信していくことで、お互いに影響を与え、チームの強みを活かしている出町座。3者の距離感と密度はほかにはない相乗効果を生み出し、訪れる者に新たな世界を見せてくれます。
さまざまな挑戦で街の人、全国の本好きとつながりながら、新しい本屋さんのカタチを模索する「CAVA BOOKS」で、新たな世界を発見してみませんか?
Text&Photo:岡田あさみ
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