「やまなし歴史の道・富士道」さんぽで時空を超えてタイムトリップ!
甲州街道をはじめ、古くから交通の要所として栄えた山梨には江戸時代以前の古い道や水運が点在しています。これらの“歴史の道”には、歴史の魅力を感じられるスポットもたくさん!歴史のストーリーを辿りつつ、道沿いの名所旧跡、郷土グルメ、伝統的工芸品などとの出会いを通じて、山梨の豊かな歴史を体感してみませんか?
Summary
やまなし歴史の道って?
「やまなし歴史の道」とは、山梨県内に残る古道や水運のこと。その歴史は江戸時代以前にまでさかのぼります。甲斐の国(かいのくに)とよばれていた時代、道を通してものが流通し、人々の交流が生まれ、豊かな文化がつくられる基礎となりました。これらの道は時を経ても色あせない魅力をもち、歩けば甲斐の時代にまるでタイムトリップしたような体験ができます。往時の面影が色濃い歴史スポットに、自然の恵みをいかした伝統産業、さらに甲斐ならではの雄大な山並みまで。魅力あふれる「やまなし歴史の道」のなかから、5道をご紹介します。
甲州街道(こうしゅうかいどう)
江戸時代に主要街道として整備された五街道のひとつです。もの・人・文化の行き交う道として大いに発展しました。今でも宿場町や峠道に往時の面影が色濃く残り、老舗酒蔵やワイナリーなど、街道ウォークを楽しめる立ち寄りスポットも充実しています。
みのぶ道(みのぶみち)
日本きっての霊山である身延山(みのぶさん)と七面山(しちめんざん)を結び、祈りの道として親しまれてきました。とくに七面山は日蓮上人ゆかりの地で、法華経信仰の聖地です。巡礼者やそれを迎え入れた人々の痕跡が残っていて、宿坊や宿場、商店街の町歩きが楽しめます。
秩父往還(ちちぶおうかん)
奥秩父山塊を越え、甲斐国と武蔵国を結ぶ標高差1800mの急峻な峠道です。道中には甲斐源氏や武田氏ゆかりの社寺、庭園、旧跡が点在しています。サムライたちの足跡を感じながら、彼らが後世に残した文化をたどり、往時の息づかいをいまでも感じることができます。
棒道(ぼうみち)
八ヶ岳の南麓から西麓を通る古道です。武田信玄が開発したとの伝承があり、生活の道や物流の道としても親しまれてきました。かつて甲斐源氏が住んでいた地域であり、八ヶ岳や南アルプスの雄大な景色が広がるなかに、サムライをはじめとする甲斐の人々の歴史が息づいています。
富士道(ふじみち)
大月市から富士吉田市まで延びる古道は「谷村路(やむらじ)」とも呼ばれています。富士山の清らかな伏流水が流れ、適度な湿気があることから、上質な絹織物の産地として栄え、江戸への流通網としても活用されました。富士講の人々が行き交った、富士山信仰の道でもあります。
富士道[都留市~富士吉田市区間]を1DAYさんぽしてみましょう!
5道のなかから、歴史スポットやご当地グルメ、伝統工芸品などの見どころが1日でめぐれる、富士道[都留市〜富士吉田市区間]をご紹介します。富士山の麓にのびる古道沿いには、甲斐の文化が受け継がれ、今も息づいています。道を歩けば、時空を超えて歴史に触れる、タイムトリップの始まりです!
絹取引で富を成した商人の旧住居【都留市商家資料館】
江戸時代に流行した「郡内織(ぐんないおり)」は山梨県東部の都留郡が産業の中心でした。肌触りがよいうえ町人でも手が届く価格だったため、最先端ファッションとして人気を集めました。後に「甲斐絹(かいき)」の名で全国に流通したその歴史を「都留市商家資料館」で学ぶことができます。1921年に建てられた絹問屋の建物を活用していて、重厚感のある建築も必見です。
ハタオリの町で紡ぐ極上ストール【muto】
富士山の恵みあふれる山梨では、古くから織物が盛んでした。機織りの伝統は途絶えることなく、現代にもアップデートされ受け継がれています。都留市のお隣、西桂町でストール作りをしているのが「muto」です。天然素材の風合いにこだわったストールは、国内外のハイブランドからオーダーが殺到するほど。不定期開催のオープンファクトリーでは極薄の天然素材を使用した、上質な肌触りを体感できます。家族や友人へのプレゼントはもちろん、自分へのご褒美にしてみては?
コシの強さが際立つ吉田のうどん【源氏】
ランチタイムには、吉田のうどんの名店「源氏」がおすすめ。吉田のうどんといえば富士吉田市のご当地グルメの代表格。やみつきになるほどコシのある硬い麺に、醤油や味噌をベースにした滋味深い出汁。馬肉の甘辛煮がのるのも特徴です。
「源氏」のうどんは、吉田のうどんらしく歯ごたえがしっかりとありながら、ツルツルとした喉越しで食べやすいのが魅力。観光客にも地元の常連さんにも親しまれていて、吉田のうどんのデビューにおすすめです。先着限定で温泉卵のサービスもあります!
富士山信仰のシンボル【金鳥居】
富士吉田市では「金鳥居」も要チェック。富士山へ信仰登山に来た富士講を迎える門として、また俗世と神聖な富士山との結界として建てられました。富士山信仰文化の象徴として地元の人たちに愛されている鳥居です。高さは9.7mあり、富士山をバックに写真撮影をするのが定番。鳥居からのびる道沿いには、富士講をはじめとする富士山の信仰文化が今も色濃く残っています。
富士講の歴史を今に伝える“御師(おし)の家”でカフェタイム【御師のいえ 大鴈丸】
金鳥居周辺は、代々にわたって富士講に宿や食事を提供した御師の町です。御師の家は「タツミチ」と呼ばれる細長い引き込み道の奥にあって、住宅と宿坊を兼ねた歴史あるたたずまいをしています。そのひとつが「御師のいえ 大鴈丸」で、受け継がれてきた歴史はなんと400年以上。2018年のリノベーションによって、現代風のゲストハウス&カフェに生まれ変わりました。
ゲストハウスにはカフェも併設されているので、散歩途中のひと休みにぴったり。こだわりのコーヒーや体に優しいスイーツを楽しみながら、御師の大鴈丸家第18代目というご主人の言葉に耳を傾ければ、江戸時代の富士講を追体験できるかも。
料金:素泊まり4000円〜
営業時間:IN 15時/OUT10時 ※カフェは土・日曜、祝日の予約制
>>「光織物」でMy御朱印帳作り<<
「御師のいえ 大鴈丸」から徒歩23分にある「光織物」は、富士山の伏流水で糸を染め上げ、和のテイストを用いた織物を制作している織物工房です。こだわりの「ふじやま織」は細い糸を用いる技法で、密度が高くしっかりとした生地は、繊細なデザインや色柄を表現することができます。併設のショップでは予約制で御朱印帳作りを不定期開催しているので、世界にひとつしかない、自分だけのMY御朱印帳を作ってみては。(TEL:0555-22-1384、参加費2700円、所要1時間、時間は予約制で不定期 ※詳細は要問合せ)
富士登山者が祈りを捧げる神秘的な古社【北口本宮冨士浅間神社】
富士道さんぽの締めくくりには、「北口本宮冨士浅間神社」へ足をのばしましょう。2000年近い歴史があり、富士講の人々が訪れては登山の成功を祈願した古社。富士道さんぽの終点は、富士登山道の入口でもあるのです。作ったばかりの御朱印帳に御朱印をいただくことも忘れずに!
富士の麓で盛んにおこなわれていた織物生産、富士山を目指した富士講の人たち。富士道を歩く旅では、往時の歴史に思いを馳せながら、いまに受け継がれている文化を楽しむことができます。富士の恵みあふれる歴史の道めぐり。今度の休日に出かけてみては?
Text & Photo:minimal
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