おでかけ
2022.03.01
八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館で、悠久の縄文ワールドへタイムスリップ!
るるぶ&more.編集部
青森県・八戸市は縄文時代の遺跡の宝庫。今も発掘が進められています。「是川石器時代遺跡」は2021年夏に「北海道・北東北の縄文遺跡群」の一つとして世界遺産に登録され、注目度上昇中!「是川石器時代遺跡」は縄文時代前期から中期の「一王寺遺跡」、中期の「堀田遺跡」、晩期の「中居遺跡」の3つを総称した遺跡であり、その中でも中居遺跡では精巧な土器や、色鮮やかな漆製品が良い状態で出土。八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館では貴重な中居遺跡の出土品を多数展示しています。見学や体験をしながらはるか昔の縄文時代を身近に感じ、縄文の世界にタイムスリップしましょう。
「是川石器時代遺跡」のココがすごい
是川石器時代遺跡は八戸市の南東部、新井田川沿いに広がる3つの縄文遺跡の総称です。その総面積は約37万6000㎡、なんと東京ドーム7個分!中居遺跡では、豊富な地下水と八戸の冷涼な気候から約3000年前の装身具や生活用品などの木製品が良好な状態で発見されるなど、素晴らしい出土品の数々が全国的に注目されています。
縄文時代晩期の中居ムラには、竪穴住居や墓のほか、沢に水場や送り場などの施設がつくられました。送り場からは腕輪や櫛などの装身具、弓、木胎漆器や籃胎漆器などの漆製品がたくさん発見されました。深みのある黒色と鮮やかな赤色の漆を重ね塗りした漆製品は、当時の技術力の高さを物語ります。また、土器や土偶は亀ヶ岡文化を代表する複雑で繊細なデザインのものも数多く、豊かな芸術性を備えた縄文人の美の世界を感じさせます。
「八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館」で縄文の至宝に出会う
八戸市内の遺跡出土品を保管・展示する「是川縄文館」。縄文時代を感覚と理論でわかりやすくイメージできる仕組みがいっぱいの展示施設です。導入として、アトリウムのパネル展示やシアターの光と映像で縄文時代の概要をわかりやすく解説。常設展示では重要文化財に指定されている是川遺跡と風張1遺跡のさまざまな出土品や国宝の合掌土偶を展示しています。縄文人のものづくりが体験できるメニューも毎週日曜に実施しているので要チェック!
館内の鑑賞のお供にはこちらのミュージアム展示ガイドアプリ「ポケット学芸員」。縄文の魅力をもっと知りたい!そんな方にピッタリな無料アプリになります。ダウンロードするだけで自分のスマホが展示解説ガイドに早変わり。展示室の番号を入力するだけで音声や文字で解説をしてくれます。
漆の赤と黒を基調に土器の文様などをイメージした光の文様が浮かびあがる道を進めば、縄文時代の暮らしを紹介するシアタールームに到着!ここでは縄文人の暮らしぶりや当時の植生をアニメーションでわかりやすく紹介しています。色彩と映像で直感的に縄文時代を体験!
「縄文の美」で美しい出土品に出会う
イマージョンシアターで縄文時代のイメージを膨らませた後は、いよいよ実際の出土品が見られるエリアへ!複雑な文様や華麗な装飾が施された土器や土偶、約3000年前の漆製品など、豊かな美的感覚と独創的なデザインに、縄文のイメージが大きく変わってしまいます。
なんと漆の技術は縄文時代早期までさかのぼり、晩期の是川中居遺跡は先史工芸の極みと称される完成度に至っています。漆製品には、器のほか、弓や装身具などもあり、全国的にも珍しい展示コーナーとなっています。
多彩で精緻な技巧を凝らした土器や土偶を紹介する「是川の美」コーナーには、縄文時代晩期に流行した遮光器土偶も展示されています。この土偶は大きな目が特徴で、体の文様は当時の服装が表現されているとも考えられています。
ゆるキャラならぬ「ゆる土偶」?!思わずクスっと笑っちゃうユニークな表情の土偶を発見!足を曲げた姿勢をとっているのは、出産を表現したとも考えられているのだそう。
頬杖をつくようなユーモラスな姿が人気。しゃがんで腕を組む姿の「ポーズ土偶」は縄文時代後期の東北地方で作られた土偶で、是川石器時代遺跡と川を挟んで対岸に位置する風張1遺跡から出土したそうです。
風張1遺跡は是川中居遺跡よりも時代が少しだけ古く、土器や土偶の趣も異なります。部分的に縄文をすり消して、よく磨くことによって装飾された深鉢形土器は、大きいが薄く作られており、高い技術があったことがわかる。
貴重な国宝「合掌土偶」を鑑賞
神秘的な土偶を見るべく「国宝展示室」へ。座って手をあわせた姿勢の土偶で完全な形のものは国内唯一、平成元年に風張1遺跡から出土しました。合掌土偶には、修復した跡が残されており、縄文人が大切にしていたことがうかがえます。竪穴住居内から発見されたこと、修復され、完全な姿で残されていたことから、特別な役割があったと考えられているそう。
「八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館」の楽しみ方
日曜日縄文体験コーナーで縄文体験!
縄文についての理解を更に深めるために、縄文のものづくりで縄文人の心にふれてみませんか?毎週日曜に開催される縄文体験コーナーでは、勾玉づくりや火起こしなど様々な縄文体験メニューを用意。縄文時代の生活をより深く想像できます。
縄文体験コーナーの中でもおすすめなのが、滑石の勾玉づくりです。軟らかく加工しやすい滑石(かっせき)を削って磨いて、願いを込めて形を整えます。初心者でも1時間程度でできあがり。紐を通してアクセサリーやお守りに!滑石の勾玉づくりの受付終了時間は15時(11〜3月は14時)で、材料代300円が必要になります。
これカフェでひとやすみ♪
縄文を堪能した後はミュージアムショップ兼カフェでブレイクタイム。縄文にちなんだオリジナルの軽食もあり、縄文時代の雰囲気を食事でも堪能できます。ショップには縄文をモチーフにしたお菓子やグッズもあり目移りしそうです。
いちおしメニューの「縄文カレー」は、スパイシーなのに優しさを感じる手作りルゥがgood!縄文時代から馴染みのある食材であるワラビや粗く刻んだクルミがトッピングされており、縄文感たっぷりです。
青森県を代表する3つの土偶(遮光器土偶、合掌土偶、大型板状土偶)と竪穴住居をあしらったハンカチサイズのてぬぐいを開くと、素朴な味わいで昔なつかしい5種類の飴が詰まっています。縄文の旅の思い出に、お土産に、贈り物にもぴったりです。
祈るように手を合わせる合掌土偶に褐色の雪がきらきら舞い落ちる幻想的な世界が広がります。「癒しの土偶」とも呼ばれ不思議な魅力いっぱいの合掌土偶を、おうち時間の癒しにいかが?
運が良ければ会えるかも?かわいいラッピングバス
ビビッドなピンク色の車体に是川石器時代遺跡などの出土品をモチーフにしたかわいいイラストがいっぱい♡注目度ナンバーワンのバスが八戸市内の各路線を運行中です。見かけたら乗ってみたくなること間違いなし!
毎年5月から10月下旬までヤギの除草が見られる!
初夏から秋にかけて遺跡を守るヤギたちが大活躍♪是川石器時代遺跡では自然や景観を守るためにエコな除草を実施。その大役を任されているのがこのヤギたちなのです。草を食べる姿はほのぼのとして癒されます。雨の日は小屋から出ないことも。
※ヤギの活動範囲は、電気柵で囲われています。危ないので触ったり、中に入ったりしないようにお願いします。
企画展やイベントも随時開催
縄文体験イベントのほか、季節ごとに異なるテーマで企画展を開催しているので、訪れるたびに新しい発見が盛りだくさん。研究によって解き明かされた最新の成果をわかりやすく紹介する考古学講座も要チェックです。
■八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館
住所:青森県八戸市是川横山1
交通:八戸自動車道八戸ICから車で10分、JR八戸駅から車で15分
※土・日曜、祝日はJR八戸駅東口バスターミナル④番から是川縄文館行きバスあり
TEL:0178-38-9511
営業時間:9~17時(入館は16時30分まで)
※「これカフェ」は10〜16時(15時LO)
※滑石の勾玉づくりは毎週日曜15時(11〜3月は14時)受付終了
※遺跡は整備工事のため見学できません。整備完了まで、是川縄文館でお楽しみください。
定休日:月曜(祝日・振替休日の場合は開館)、祝日・振替休日の翌日(土・日曜、祝日の場合は開館)、年末年始(12/27〜1/4)
観覧料:一般250円 ※特別展期間中は特別展料金となります
駐車場:89台(普通車86台、障がい者等用3台)
Text:三國希
Photo:是川縄文館/木村慎一
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