外壁を飾る丸窓の造形が圧巻! 金沢西部の知の拠点 金沢海みらい図書館
2011年に金沢市の西部に開館した金沢海みらい図書館。ケーキの箱のような四角いフォルムの外観と、その外壁一面に大小さまざまな大きさの丸窓を配した斬新な建築が話題になっています。開館から10年以上経ちますが、近くを通ると市民でも「おっ!」と思わず目がとまる金沢海みらい図書館に行ってみました。
世界で活躍する有名建築家の代表作
金沢海みらい図書館は、金沢市の4つ目の公立図書館としてオープンしました。開館当初から高い注目を集めていたこともあり、コロナ禍前の来館者は平日一日で平均2000~3000人とも言われています。
注目は何といってもその外観。近未来の図書館を思わせ、わくわく感を誘います。それもそのはず。建物を設計したのは日本を代表する建築ユニットでもあるシーラカンスK&H。日本建築学会作品選奨やグッドデザイン賞など数々の受賞歴を持つ工藤和美氏と堀場弘氏による屈指の建築作品です。
そんな金沢海みらい図書館は2012年に大手ネットサービスサイト・フレーバービピルの「世界の最も美しい公共図書館ベスト25」をはじめ、国内外の数々の有名な賞を受賞し、建築ファン憧れのスポットでもあります。建物は、45メートル角、高さ19メートルの白い箱型。記事の冒頭から注目している大小の丸窓は6000個を配置しています。ドット柄みたいでかわいいこの丸窓には、実はちょっとした秘密があります。
丸窓のヒミツ 館内は自然光が差し込む心地良い空間
丸窓のガラス部分は直径が20センチ、25センチ、30センチの3つの大きさがあります。ガラスの種類は4種類で、紫外線をやわらげたり、光をよく透すなど加工法は8種類を採用しています。設置場所によって大きさと種類が異なり、見比べてみるのも面白いです。
四方を丸窓に囲まれた館内は、晴れた日には柔らかな自然光が差し込みます。シーラカンスK&Hの2人は、気持ちよく本が読める空間をつくることを大切に設計したそうです。自然光に包まれながら読書するって、森の中で本を読んでいるような気分です。
2階と3階の一部が吹き抜けになっており、開放感があります。1フロアに書棚がずらっと並ぶ光景は圧巻です。リーディングスペースも館内のあちこちに設置されているので、お気に入りの場所で人との距離感を気にせず読書に没頭できそうです。
備品にもこだわり 屋外での撮影は気軽に
海みらい図書館のステキなところは、建築デザインにとどまりません。閲覧カウンターやスタンド照明など備品家具の一部は、家具デザイナーの藤江和子氏によるもの。スタイリッシュなデザインが空間をさらに上質なものにしてくれます。
図書館が収蔵する本は約32万冊。一般の書籍や雑誌に加え、藩政期に北前船の交易で栄えた港が近い立地である理由から、それらの地域情報に関する資料や、ものづくりに関連した書籍も充実しています。ホールや集会室など市民の交流の場も完備。
写真映えする空間にパシャパシャと思わずカメラのシャッターを押してしまいたくなりますが、何と言ってもここは図書館。事前に施設に問い合わせるなど、マナーを意識して撮影を。屋外でも外壁のデザインを生かした「映える1枚」を撮ることができますよ。
郊外にありながら、兼六園やひがし茶屋街など中心部の人気スポットにも負けない魅力で人を引き寄せる金沢海みらい図書館。誰にも身近な図書館という存在は親しみやすく、来館者に非日常の安らぎを与えてくれるステキで不思議な場所です。ぜひ足を運んでみて。
Text:能登印刷株式会社(増川薫子)
Photo:宮崎誠、金沢海みらい図書館、能登印刷株式会社
●新型コロナウイルス感染症対策により、記事内容・営業時間・定休日・サービス内容(酒類の提供)等が変更になる場合があります。事前に店舗・施設等へご確認されることをおすすめします。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
●旅行中は「新しい旅のエチケット」実施のご協力をお願いします。