京都のパン文化の立役者! 多彩なラインナップが魅力の老舗ベーカリー「進々堂 寺町店」<京都パン巡り①>
日本の伝統文化が根付くまち・京都。一方で早くから西洋文化を積極的に取り入れてきた「新しもん好き」のまちでもあります。そんな京都で目覚ましい発展を遂げたパン文化。その礎を担う老舗ベーカリーの代表格「進々堂」をご紹介します。
創業100年以上!京都を代表するパンの名店
パリのブーランジェリーを思わせるレンガ造りの外観が印象的な進々堂は、京都のパン文化を語るうえで欠かせない名店のひとつです。創業は、今から100年以上前の大正2年(1913)。創業者の続木斉(つづき・ひとし)は、文学者として知られる内村鑑三の門下生のかたわら、新宿中村屋でパン作りを学び、京都でパン店を営む妻・ハナの兄から譲り受けた店を「進々堂(しんしんどう)」と名付けました。
進々堂の経営が軌道に乗ると、斉はパンの研究をするために、憧れだったフランスへの留学を決意。大正2年(1913)、日本人として初めて、本場・パリでのパン修行をしました。パリでは、現地で使用されていた製パン機器にも注目し帰国後は、ドイツ式のミキサーや抽出窯を使って、フランスパンの製造に着手。しかし、ハード系のパンの美味しさがなかなか市民に理解されず、大変な思いをしました。
そのような状況の中で注目したのが、新聞広告。そこに自作の詩や短評を交えてフランスパンの魅力を紹介すると、予想以上の反響を呼びました。
その後も、パンの新しい可能性を模索した進々堂は、昭和27年(1952)に日本初の包装食パン「デイリーブレッド」を販売。あらかじめスライスされた食パンは、主婦の負担を減らすことにつながり大ヒット。これまであまり親しみのなかったパン食を浸透させるきっかけになったと同時に、進々堂は京都における「日常使いのパン屋」のスタンダードとなりました。
モーニングやランチも楽しめる進々堂 寺町店
現在、京都市内に12店舗を構える進々堂。骨董店やおしゃれなカフェなどが軒を連ねる寺町通りにある進々堂 寺町店は、朝から夕方まで多彩なパンを求めて多くの人が訪れます。店内には菓子パンをはじめ、食パン、ハード系、サンドウィッチ、洋菓子など全部で約115種類の豊富なアイテムが揃います。定番はもちろん季節限定商品もバラエティ豊かで、いつ訪れても新しい出合いがあるのもうれしいですね。
だいたい午前10時頃にほとんどのパンが焼き上がるとのことで、店内に漂う豊かなパンの香りに思わず気分も上がります!
また、気軽にパンを味わえるイートインスペースの他、モーニングやランチを楽しめるカフェレストランも併設。なかでもモーニングプレート850円は、選べる5種のトーストとソフトに仕上げたスクランブルエッグもしくは半熟に焼き上げたフライドエッグにドリンクがついた、人気のセットです。
一度は食べておきたい進々堂のおすすめパン3つ
思わず目移りする程バラエティ豊かな進々堂のパン。なかでも、クリームパン220円は、しっとりとした口溶けのやわらかなパン生地と、やさしい甘さの自家製カスタードクリームの相性にこだわった定番の逸品。進々堂を初めて訪れる人はぜひ買っておきたいパンです。
人気の総菜パン、シェフのカレーパン250円は、サクふわで軽い食感の生地の中に無水調理の自家製カレーが包まれています。カレーは、具がたくさんで食べ応え抜群。ランチにおすすめです。
スイーツ系でもうひとつのおすすめが、魅惑のラムレーズンサンド290円。ソフトフランスにラムレーズンをあわせたクリームチーズ、ホワイトチョコガナッシュのクリームをサンド。程良い噛み応えのパンと甘いクリームが絶妙にマッチした、こちらも人気のパンです。
まだ海外へ渡航することが簡単ではなかった大正末期に、本場・フランスで修業した進々堂の創業者・続木斉。その熱意と愛情は、100年近く経った現在にも受け継がれ、多くの職人が日々人々の生活に寄り添うパンをつくっています。市内各地にあるので、観光途中にふらっと立ち寄りやすいのも、旅行者にはうれしいポイント。その実力の高さを、ぜひ五感で味わってみてください。
進々堂 寺町店
住所:京都市中京区寺町通竹屋町下ル久遠院前町674
TEL:075-221-0215
営業時間:【ショップ】7時30分~19時、【レストラン】7時30分~18時(モーニングは~11時、ランチは11時~18時)、【イートイン】7時30分~18時30分
定休日:無休
Photo:ハリー中西
Text:津曲克彦
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