【神戸】神戸ビーフが1000円台で食べられる!大人気の「神戸牛丼 広重」をリサーチ
神戸に行ったら、絶対堪能したいのが「神戸ビーフ」。兵庫県産の黒毛和牛・但馬牛のなかでも、厳しい基準を満たした肉だけが神戸ビーフと名乗ることができます。甘みのある赤身ときめ細かなサシが口の中で溶け合った瞬間といったら、至福の時間そのもの!そんな神戸ビーフを驚きの価格でいただける、話題のお店があるんです。
Summary
神戸ビーフが、なんでこんなに安く食べられるの?
JR三ノ宮駅から異人館方面へ徒歩7分、北野坂の脇にある不動坂を少し上った所にある「神戸牛丼 広重」。口コミでウワサが広がり、40人以上の長い行列が連なって2時間待ちもザラ、という超人気店です。神戸ビーフがたっぷり乗った牛丼が並盛1650円、大盛1870円とリーズナブルなうえ、繊細な調理で実に味わい深いと言われているんです。2012年にオープンして今年で10周年を迎えました。
カウンターのみのこじんまりとした店内は、洋風の椅子が並んだモダンな雰囲気。壁には屋号の「広重」にちなみ、歌川広重の浮世絵がセンスよく飾られています。実は店主のお名前は菱井宏重さん。「店名に自分の名前をつけるのは恥ずかしいんだけど、観光で来られる海外のお客様にも日本の文化を知ってもらいたくて…。歌川広重さんから漢字をいただいたんです」と、菱井さんは照れ臭そうに話します。茶目っ気たっぷりに「老舗っぽくていいでしょ」とも!
牛丼に使われるのは、A4ランク以上の神戸ビーフ。最高級の牛肉である神戸ビーフが、なぜ低価格で提供できるのでしょうか?「まず1頭分の肩ロースを一度に購入することで、原価を下げています」と菱井さん。もともと約20年間、イタリアンレストランを開いていた菱井さんは、精肉店との付き合いが長く、独自の信頼関係を築いてきたそうです。「あと、このお店は私ひとりで回していますので、人件費も抑えられているんですよ」。ワンオペで対応できるよう、メニューは牛丼とトッピングの卵、ビールのみです。
兵庫県産にこだわり、手間暇かけてベストな状態で
牛丼の調理は、兵庫県淡路島産の玉ねぎを1時間半〜2時間、煮込むところからスタート。煮込み時間は時期によって調整し、やわらかく仕上げます。ちなみに、ごはんは兵庫県産のコシヒカリ、卵も地元産とできる限り地産地消を心がけているとのこと。玉ねぎと肉は別々に煮込むのですが、その理由は「肉を一番おいしい状態で提供するため」だそうで、肉に火が通ってすぐの煮えばなの状態でタイミングよく火から下ろされました。
ごはんの上に玉ねぎと肉を乗せたら、大葉と三つ葉、焼き色をつけた白ネギとシシトウガラシを盛り付け。「チェーン店の牛丼店よりも高価ですので、見た目にもちゃんと気を配っています」と菱井さん。野菜たっぷりのポトフ風のスープと漬物が添えられて完成ですが、生卵または温泉卵を別にオーダーしておくのがオススメです。
甘みが引き立った牛丼とやさしいスープがマッチ!
できたての牛丼を頬張ると牛肉がとろけ、凝縮された旨みのなかに肉本来のやさしい甘みを感じられます。ベーシックな味付けを基本としているそうですが、肉には「かんずり」という新潟の伝統調味料も使用。これは唐辛子を発酵させたもので、「味が引き締まる」という理由から加えているのだそうです。生卵は牛丼にかけてもおいしいですが、ほぐした生卵に肉をくぐらせてすき焼き風に食べても、また違ったまろやかさを楽しめます。
牛丼にポトフ風のスープがつくのは、もともとイタリアンのシェフだった菱井さんならでは。白菜や大根、ニンジンのほか、その季節に旬を迎える里芋やキノコなどをコトコトと煮込んで、コンソメ味で仕上げます。「野菜もたくさん取って栄養バランスのよい食事になるように」という菱井さんのやさしさが、これまたうれしいじゃないですか!
さまざまな経験を経て、お客様目線を大切に
約20年、神戸市東灘区でイタリアンレストランのオーナーシェフとして活躍していた菱井さん。当時のお店は阪神・淡路大震災の被害も受け、3回の移転を繰り返し、スタッフを雇うことの苦労も実感。一回リセットしようとイタリアンレストランを畳み、ワンオペで店を切り盛りしようと決めたとき、多くの人から愛される牛丼に着目したそうです。「ほかの店でうちの牛丼を出すなら、2500円はするのでは」と菱井さん。とは言っても、年々仕入れ価格が上昇しているという神戸ビーフ。「多くの人に神戸ビーフの魅力を知ってもらいたいから、できるところまでこの価格で続けます」と、温かな表情で語る菱井さんの心意気に脱帽です!
■神戸牛丼 広重
住所:兵庫県神戸市中央区中山手通1-22-21 藤正第3ビル1F
TEL:078-222-6611
営業時間:11~15時、18~22時(売切れ次第終了)
定休日:不定休
text:木元優子
photo:坂田 謙
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