【神戸】北野異人館屈指の美邸「プラトン装飾美術館」はインスタ映えスポットだらけ♪
北野異人館街のなかでも装飾性の高い美術品や家具、調度品が見られる美邸として知られ、ヨーロピアンな撮影スポットとしてSNSでも人気が高い「プラトン装飾美術館(イタリア館)」。メイドさんの丁寧な案内やお嬢様気分で優雅なティータイムが楽しめる、スペシャルな異人館なんです♪
Summary
北野で唯一!今もオーナー家族が居住する公開異人館
明治時代から昭和初期にかけて、浜側の居留地で働く外国人のための住宅として建てられた建物が集まる北野異人館街。「プラトン装飾美術館(イタリア館)」は大正初期の歴史的伝統建造物で、オーナーがイタリアを中心に欧州で収集した18〜19世紀の骨董美術品が展示されています。今もオーナー家族が実際に住みながら公開している、唯一の神戸異人館です。館内はメイドさんがアテンドしてくれます。
貴重な絵画や彫刻があちこちに!
玄関から入ってすぐの場所にあるのはザ・サロン(応接間)。ジャン=フランソワ・ミレー、カミーユ・コロー、テオドール・ルソーなど錚々たる画家の絵画が、所狭しと飾られています。「ミレーは貧困と戦いながら絵を描き続け、人々の共感を集めていったんです」とメイドさん。彫刻作品も多く、たとえばオーギュスト・ロダン作のラッセル夫人の胸像は、うっとりと穏やかな表情が印象的。「オーナーは『ロダンはラッセル夫人に恋していた』と言っているのよ」と、気持ちのこもったメイドさんの説明を聞くと、一つひとつの作品に興味を惹かれます。
ザ・サロンの隣、ダイニングルーム(食堂)では、ルネッサンス様式の彫刻が施された家具や暖炉が目を引きます。これらはイタリア人彫刻家、ビクター・エモーヌが手がけたもので、19世紀の貴族たちに好まれたそう。テーブルには食器がセットされ、繊細な模様入りの銀製のカトラリーも。今もゲストを招いてここで晩餐を行っているとのことで、その華麗な光景が目に浮かぶようです。
オーナー夫人のお茶目な趣味にもご注目!
階段を上って2階へと進むとパウダールーム(化粧室)。棚には大きな香水瓶がズラリ、え?なんだかサイズ感がおかしくない?これ、実はお店のディスプレイ用に作られた特大サイズの香水で、オーナーの奥様がわざわざメーカーから取り寄せたコレクションなのだとか。まるで『不思議の国のアリス』のような奇妙な感覚に包まれる、館内きっての人気フォトスポットでもあります。オーナー夫人もきっと心踊らせながら集めたのでしょうね。
昔のヨーロッパ人の生活が垣間見られる
寝室に置かれたベッドは、昔のヨーロッパの上流階級が使用していた、手足を伸ばせない小型のもの。かつてヨーロッパに住む貴族のあいだでは、ゆっくり就寝するという考え方があまりなかったそうです。メイドさんが取り出したのはベッドウォーマー。「この容器の中に暖炉の火種を入れてベッドを温めていたんですよ」と教えてくれました。
1階のダイニングルーム(食堂)でディナーを取ったあと、お茶を飲む場所として利用されていたリビング。ここにはヨーロッパ製の台座に中国製の棚が取り付けられた、中国から買い付けたという珍しい家具があります。異国への憧れから、ヨーロッパの人たちも中国の装飾品などを集めていたそう。建築当初に借家としてここに住んでいた外国人も、もしかしたら洋風のインテリアの中にアジアのテイストを取り入れていたかもしれません。
手作りスイーツが味わえるテラスも!
見学後の休憩には、プールサイドのガーデンテラスへ。ここは土・日曜、祝日限定でカフェ営業をしており、手作りのケーキをはじめ、香り高い発酵バターやオーガニック食材を使ったクッキー、美しい銀食器で提供するイタリアンデザートのアフォガードなどが楽しめます。
洋酒に漬け込んだドライフルーツを生地に練り込んで焼くイギリス風のフルーツケーキや、ベルギーチョコレートにこだわったガナッシュショコラなどが登場するケーキセット。内容はその日によって変わりますが、どのケーキもしっとりとしていて、やさしい甘みが口に広がります。
異国の貴族になったような錯覚に!
館の名前は、ルネサンス期にイタリアで誕生し、のちに教育機関のようにとらえられたプラトン・アカデミーが由来。ここで古代ギリシア哲学を学んだ人々の姿勢に共感したオーナーが、「すぐれた美術品を後世に伝えたい」という強い意思でプラトン装飾美術館を誕生させました。招かれたゲストのようにメイドさんに案内され、絵や彫刻を間近に見ながら解説を聞き、感想を話し合ったりアートな写真を撮影したり…。ヨーロッパの貴族のような気分で、アカデミックなひと時を楽しんでみませんか?
※見学・カフェ利用とも予約不可
text:木元優子
photo:坂田 謙
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