【SDGsを知ろう】すべての人を幸せに。まちの拠点施設「JOCA東北」に行ってきました
いま、SDGsに取り組む企業や団体が増えています。SDGsとは何なのか?わたしたちには何ができるのか?そのヒントを得るために、宮城県岩沼市にある「JOCA東北(ジョカとうほく)」に行ってきました♪SDGsを体現した施設の居心地は最高すぎ...!その魅力をたっぷりご紹介します。
Summary
世界を変えるための17のゴール「SDGs」
Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)、略してSDGs:エスディージーズ。みなさんはこの言葉を耳にしたことがありますか?
SDGsとは「誰一人取り残さず、持続可能でよりよい社会の実現を目指す」という世界共通の目標。2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択され、2030年を達成年限として、17のゴールと169のターゲットで構成されています。
17のゴールを見てみると、貧困や飢餓といった社会面の課題、働き方の改善や不平等の解消といった経済面の課題、そして気候変動といった環境面の課題などが設定されています。
わたしたちの身の回りを見渡してみても、いろんな課題がありますよね。近年は働き方が大きく変化しました。日本は自然災害も多く、災害に強い街づくりや安心安全なエネルギー供給も重要です。
これらSDGsの目標は先進国・開発途上国にかかわらず、すべての国が取り組むべき課題であり、政府や自治体だけではなく、企業や一市民のわたしたちに至るまで行動が求められているのが大きな特徴です。
そこで今回は全国でSDGsに取り組む団体や企業のなかから、宮城県岩沼市にある「JOCA東北(ジョカとうほく)」という施設をご紹介します。
わたしたちには何ができるのか、小さなことからでも大丈夫。ひとりひとりができることから取り組んでみましょう!
すべての人を幸せに。「JOCA東北」へ行ってきました!
運動ジム、天然温泉、そば処、福祉サービス、保育園まで!街の人びとの拠りどころ
宮城県岩沼市に2021年3月27日にオープンした地域拠点施設「JOCA東北」。青年海外協力隊のOB・OGらで構成された公益社団法人青年海外協力協会(以下JOCA:ジョカ)が運営しています。
施設内には運動ジム、天然温泉、そば処、保育園、子育て支援センター、障がい児者・高齢者の通所デイサービスなどがあり、多世代・多文化の老若男女だれもが日常的に利用でき、イベントなども行われています。
その施設の魅力をご紹介する前に、まずはJOCAとはどんな組織なのかを見ていきましょう。
青年海外協力隊のOB・OGを中心に構成された組織「JOCA(ジョカ)」
「青年海外協力隊」といえば開発途上国の人々のために、自分の持つ技術や経験を活かし活動する海外ボランティア。JICA(ジャイカ)という名前でも知られていますよね。1965年の発足から50年以上にわたり、世界各国にのべ4万5000名以上の隊員たちが派遣されてきました。
JOCA=青年海外協力協会は、その海外派遣から帰国したOB・OGを中心に構成された組織で、現在は宮城、長野、大阪、神奈川、広島、鳥取、沖縄の全国に7つの拠点があります。
社会や地域の問題を抱えているのは開発途上国だけではなく、日本だってそう。“海外の開発途上国のために”という志向を180度転換し、隊員たちが海外で経験したものを日本へ還元する必要がありました。
それに気付かされた出来事が2011年に起きた東日本大震災だったのです。
東日本大震災から10年。岩沼版 生涯活躍のまち拠点施設「JOCA東北」がオープン
全国に7つあるJOCAの拠点のなかでも、一番新しい施設が「JOCA東北」です。
さかのぼること2011年。JOCAの活動は、東日本大震災の被災地支援で宮城県の岩沼市を訪れたことからはじまります。
最初は避難所の運営からスタート。その後は仮設住居に暮らしている人びとの見守り活動や、孤立しないためのコミュニティ活動支援など、復興のステージに合わせて寄り添うように活動をされてきました。
そして震災から10年というひとつの節目である2021年3月27日に地域拠点「JOCA東北」をオープンさせたのです。
年齢も、障がいの有無も、国籍も問わず、みんなが“ごちゃまぜ”につながる
JOCAに共通する理念をひと言であらわすと「ごちゃまぜ」。そこには、子どもからお年寄りまで、障がいや疾病があってもなくても、日本国籍でも外国籍でも、みんな一緒に日常的につながり合おうという想いが詰まっています。
JOCA東北では障がい者雇用も積極的に行っており、保育園もあって子どもたちが駆け回っていたり、日々たくさんの人がここを訪れています。
今回お話を伺ったマネージャーの河合憲太さん(写真前列右から2番目)は、青年海外協力隊のOBであり、1997年に競技スポーツの水球の指導員としてインドネシアへ派遣された経歴の持ち主です。
「現地に3年住んでいました。まだ大学を出たばかりで日本しか知らない自分が、どう現地人化していくか悩みましたね。気候も1年中真夏だったのですごく大変でした。でも感覚的にはインドネシアは東南アジアで同じアジア人ですし、遠慮したり、恥ずかしがったり、そういうところも日本人に似ていたし、米や麺も食べるので食文化も近かったです。あまり違和感なく溶け込めたんじゃないかなと思います」
任務終了後は語学留学のためアメリカやイギリスへ再び海外に渡り、またJICAの派遣職員としてインドネシアの現地事務所に駐在するなど、ここまでずっとグローバルな舞台でご活躍されてきたそうです。
このJOCA東北にはさまざまなバックグラウンドを持った人びとが集まり、まさに“ごちゃまぜ”の言葉に象徴されているように感じました。
SDGsを体現したJOCA東北が最高すぎる!
利用者に話を聞くとみんな口を揃えて言うのが「居心地のよさ」。なかには週3〜4日通っています!という方や、市民活動のあとは必ずここの温泉に入るって決めてるんだ!なんて方も。
SDGsの取り組みを伺ったところ、JOCA東北では17のゴールのうち主に目標3と11に着目して取り組んでいるそうです。
まずは目標3の『すべての人に健康と福祉を』について。
河合さん:「“すべての人”というのは、子どもからお年寄りまで、障がいや疾病があってもなくても、日本国籍でも外国籍でもみんな一緒に過ごすというJOCAの理念そのものです。そして“健康的な生活”については、運動ジムで体力づくりをしたり、天然温泉で身体の疲れを取ってもらうこともできます。
でも我々はそのジムや温泉というのは人と人が関わり合うための道具だと思っています。というのは、身体の健康って肉体的なものと精神的なものと2つあると思うんです。ここに通って友達や地域の人と顔を合わせ、おしゃべりして、体を動かして…という人と人の関わりが健康に影響すると考えています」
単発のイベントでも人は集められる、でもそれでは長続きはしない。あくまでも日常生活のひとコマをここで過ごしてもらうことで健康になってもらうというアプローチを取っているのだとか。
好きなときに思い立って、気兼ねなく、無理なく、そんな日常性が大事なのだと河合さんは強調されていました。
次に目標11の『住み続けられるまちづくりを』について。
河合さん:「みなさん1日を過ごすなかで家、職場、学校以外の場所【サードプレイス】でどれだけ過ごしているでしょうか。それ以外の居場所って数えてみるとあまりなかったりもしますよね。
“住み続けられる街”を紐解いていったときに、フラットな気分になれる、自分らしく過ごせる場所が家の外にもある、というのが街としての居心地のよさなんじゃないかなと思います。
ここはボランティアの方もいて、自分の特技を生かして人のために汗をかく、誰かの役に立つという自分らしく働ける場でもあります。この街に住む人びとがJOCA東北を使って活動して、居心地よく自分らしくいてくれる。そういう人が増えていったらステキなことですよね。」
JOCA東北では障がい者の就労支援も行っており、施設の2階にあるそば処「やぶ亀」では障がいがある方もない方も一緒に働いていらっしゃいます。
ここはレストランでもあるのですが、フリースペースのようにも使えるので、お風呂あがりにコーヒー牛乳やアイスを食べてくつろいでいる人もいれば、パソコンを持ってきて仕事をしにきている人も。
どんな人でも“ごちゃまぜ”に、それぞれがここに居心地のよさを見出して通っているのだなと感じられました。
JOCA東北が思い描くこれからの未来予想図
岩沼版 生涯活躍のまち拠点施設として2021年3月27日にオープンした「JOCA東北」はちょうど1周年を迎えました。今後の展望を河合さんにお伺いしました。
「最初の1年はまだまだ何の完成形でもありません。試行錯誤の1年でした。まだこの施設を知らない人もいる、来たことがない人もいます。まずは地元の人に足を運んでもらって、この街ってこんなにおもしろいんだ!と実感できるようになってほしいですね。
また運営する施設はJOCA東北だけではないんです。沿岸部にある「いわぬまひつじ村」や山の上でBBQが楽しめる「食菜館ひまわり」などたくさんあります。市民の人がいろんなところで関わり合って、関係性ができて、もっと“ごちゃまぜ”の街になるといいなと思っています」
子どもからお年寄りまで、障がいや疾病があってもなくても、日本国籍でも外国籍でも、すべての人が一緒に暮らし、つながる。それがひとりひとりの幸せを叶えるのだと教えていただきました。
みなさんも宮城に訪れた際にはぜひ岩沼まで足を運んでいただき、温泉に入りながらこの“ごちゃまぜ”ワールドを体感してみてはいかがでしょうか?
Text & Photo:ジェンティーレ恵
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