【神戸】北野の個性派異人館!「ベンの家」で冒険家の貴重なコレクションを見学
明治末期~昭和初めにかけて、多くの在留外国人が集住した神戸・北野。100年以上を経た現在も、20数軒の異人館が街に点在し、往時の雰囲気を伝えています。シンプルな佇まいの「ベンの家」は、明治末期に建てられたもの。下見板張りの外壁に、上からモルタル掻き落としが施されており、建築の点からも興味深い異人館ですが、見どころはそれだけじゃないんです…!
Summary
北野通に面したシンプルな意匠の異人館
観光路線バス「シティー・ループ」の「北野異人館」バス停の真ん前に並び立つ3館のうちの1館。シンプルな外装に、流造のような優雅な曲線を描く屋根が印象的です。玄関左手の塀は、建設時にドイツから赤レンガを取り寄せて造られたものが残っており、神戸市の指定文化財にもなっています。
大迫力!生物たちの剥製や標本のコレクション
キャア!と、怖がらなくて大丈夫。この館は、昔ここを寓居としていたと言われるイギリス人狩猟家、ベン・アリソン氏をイメージした博物館になっているんです。体長2.6mものホッキョクグマの全身剥製をはじめ、数々の剥製やトロフィが迎えてくれる館内は正直、ちょっと落ち着かない…!まるで生きているかのような表情やポージングで、今にも動き出しそう。
剥製は全てがベン氏の獲物ではなく、時代を経て劣化したものを取り替えたり、アート感覚を刺激するコレクションを新たに加えたりしているそうですが、館内の雰囲気は当時もこんな感じだったよう。英国貴族で冒険家でもあったベン氏の豪胆な生活ぶりに思いをはせ、ドキドキしてしまいます。
壁に掛けられたトロフィたちの角も立派なこと!ひときわゴージャスに枝分かれした角の持ち主は、アカシカの仲間でしょうか。長くまっすぐな角を突き立てたオリックス、ぐるぐるねじくれた角を持つレイヨウ類など、ちょっとした自然博物館のようです。中には「あれ?なんでコレがここに?」なんて遊び心たっぷりのトロフィも交じっているので、一つ一つじっくり見ていってくださいね!
学術的に貴重な動物の剥製も多いそうですが、ガラスケース越しでなく、本物ならではの迫力ある姿を間近で見ることができます。うまくアングルをねらえばインパクト抜群の写真を撮ることができそう!
多彩すぎるコレクションの中に、ユーモアがキラリ
多国籍な品々がディスプレイされた棚を発見。民族的な仮面、さまざまな顔の彫刻、小動物の骨格標本に軍用ヘルメット…ほかにも種々雑多なモノが並んでいますが、説明は一切なし。こちらは世界中から新たに剥製類を集めている現オーナーのコレクションだそうです。統一感ゼロのようでいて、「一度見たら忘れられない」インパクトの強さには通じるものがあるようです。
圧巻!色とりどりのバタフライアート
2階へ上ると、一転、ブルーを基調とした落ち着いた空間。壁にはさまざまなアートなどが飾られています。なかでも無数のチョウの標本は圧倒的!自然の造り出すアーティスティックな色や形に、素直に感動してしまいます。
この部屋にはほかに、チョウの羽を使ったアート作品などもディスプレイ。海の底のような深いブルーの空間に、チョウたちの極彩色がよく映えます。
迫力だけじゃない。いろんなことを考えさせられる異人館
隣の部屋には、またも不思議な仮面が…。骨格標本や、生き物の死を描いた絵画なども飾られています。館内にあるたくさんの剥製や標本。初めはその迫力に圧倒されるばかりでしたが、この家に集められた生き物たちのさまざまな姿を見ていると、生命や人間と動物が共に生きることについて思いが巡ります。
ふと足元に目をやると、床の上に動物の足跡が点々…これをたどっていくと、またまた不思議な生き物に出会えそう!
遊び心いっぱいの仕掛けがちりばめられたユニークな異人館。「うろこの家」などと合わせてお得に異人館めぐりできる割引チケットもあります。今回紹介できなかった展示もたくさんあるので、ぜひ現地で見て体感してくださいね!
※現在、営業スケジュールが不規則になっています。お出かけの際は必ず公式Webサイトにてお確かめください。
Photo:武田憲久
Text:中谷晶子
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