【金沢】体験型アートカフェ「金沢茶寮」で五感を刺激するひとときを

【金沢】体験型アートカフェ「金沢茶寮」で五感を刺激するひとときを

伝統工芸 文化体験 カフェ 日本茶 石川県 るるぶ&more.編集部
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金沢市のひがし茶屋街を見下ろす卯辰山の中腹にある体験型アートカフェ「金沢茶寮」。器の制作体験と、制作した器でお茶をいただく特別なプログラムが話題です。お店を訪ねてみると、工芸が日常に解け込む金沢の街の文化を五感で感じることができ、ちょっと大人な時間が流れていました。

Summary

「作った器をその日のうちに使ってみる」という特別な体験

「金沢茶寮」の体験プログラムは大きく2段階に分かれています。最初のステップは器を作る約90分の体験。用意された無地の器に色を塗っていく「塗り」の作業です。そして次は施設内のカフェで、自分が作った器に日本茶を注ぎ、実際に使って味わう約30分の体験。至福の一杯は、自分と向き合う時間でもあります。そんな特別な体験が2時間で叶うのがこちらのカフェです。

「その日に制作した器で、その日にお茶をいただく」という金沢茶寮のコンセプト。実は、「作る」と「使う」を同じ日に、しかも時間をおかずに2時間で完結するのはとても貴重なこと。一般的な陶芸体験では、彩色をした後に色を焼き付ける仕上げの工程などは職人に託す必要があります。自分の作品を手にするのは数週間後ということも。「金沢茶寮」では、なんとその日のうちに作品が完成し、持ち帰ることができるんです!

作品を手早く完成させることができる秘密は、塗りの作業に最先端の技法「金沢塗」を採用しているから。「金沢塗」とは金沢でも盛んな漆塗りの技法の総称で、「金沢茶寮」はこの「金沢塗」を現代風にアレンジしてプログラムに織り込んでいます。

伝統の技法をベースに進化させた鮮やかな「金沢塗」

現代風のアレンジを加えた「金沢塗」は、伝統的な漆塗りと同じように色を塗り重ねる技法と、塗った面を磨いて模様を浮かび上がらせる研ぎ出しの技法を踏襲しつつ、数分で素地に色がなじむ速乾性の高い塗料を使用しています。職人気分で器に色を塗り重ね、表面が乾いたところでやすりを使って磨き、自分だけの器に仕上げていきます。

塗りに使用できるカラーは常に20色前後用意。目が覚めるようなビビッドカラーから、素朴なパステルカラー、ゴールドやシルバーなどもあり、作りたい作品をイメージしながら3色を選んで器の表面に絵筆で塗り重ねていきます。ちょっと派手かも…と思った色でも、塗り重ねて表面を磨くと、実はその色がとても良い仕事をして、味わい深い模様やかすれ具合を描き出してくれることもあるそう。

色合いから3色を選ぶのではなく、それぞれの色に付けられた心象的なタイトルで使用する色を決めるのも楽しいかもしれません。例えば、ラメ入りの白色は「天使の涙」、薄い黄色は「ひだまり」、ラメ入りの青は「バカンス」、ショッキングピンクは「誘い」など、詩的なネーミングの数々に創作意欲が刺激されるそう!?

3色それぞれを単色のまま塗り重ねても、混ぜて塗ってもOK。感性の赴くままに筆を運び、やすりで磨いて仕上げていきます。

器の素地は九谷焼で、湯飲みかお猪口の2種類から1つを選びます。石川県内の窯元で焼かれた九谷焼は、よくよく見るとほんの少し、器によって表情が異なり個性があります。素焼きした器に、職人がひとつひとつ手作業で釉薬をかけて仕上げた本格的な九谷焼の器。手の馴染みもよく、作品への愛着がぐっと深まります。

塗り作業を終え、仕上げに防水のコーティングをすれば、世界に一つだけのマイ器の完成です。

抜群の眺望と自作の器でいただく極上の日本茶に心潤う

いよいよ器にお茶を注いでいただきます。「金沢茶寮」のカフェでは、日本各地の上質な茶葉を独自にブレンドした日本茶「shu ha ri(しゅ は り)」を提供しています。「shu ha ri」は、茶道にも通じる日本古来の考え方「守・破・離」を基にしていて、基本形から発展形まで順に3種類の味わいで構成しています。

1種類目のお茶「一 ichi」は、煎茶のような香り高さと玉露のような柔らかな口当たりのお茶で、気持ちを入れ替えたい時に合います。2種類目の「二 ni」は、渋みを抑えたすっきりとしたお茶で、リラックスしたい時にオススメ。3種類目の「三 san」は、カフェインが効いた目の覚めるような風味で、戦国時代のエナジードリンクのイメージとのこと。このなかから1テイストを選び、できたての茶器に注ぎます。基本形の「一 ichi」で心を整えるのも良し、心の向くまま発展形の「三 san」で冒険してみるのも良し。いずれもハンドドリップでいれてくれますよ。

カフェスペースは、建物の2階にあります。建物は、古民家をリノベーションしていて、土壁や大きな梁がむき出しになった雰囲気たっぷりの空間。そして2階の窓の外に広がるのは、金沢の街並を見下ろす抜群の眺望。卯辰山の中腹にお店があることから自然も感じられ、まさに癒やしの時間です。

shu ha riチョコ(左)1粒350円
「shu ha riチョコ」(左)1粒350円

カフェには、「shu ha ri(しゅ は り)」のほか、日本茶の茶葉を盛り込んだ生チョコレート「shu ha riチョコ」や「抹茶パウンドケーキ」380円などのスイーツもあるので、自作の器のお茶と一緒にぜひ味わってみてください。

制作とカフェがセットになった2時間の体験コースは、一人6600円。1日3回の開催で、スタートはそれぞれ10時、13時、16時から。体験コースは要予約ですが、日本茶やスイーツを楽しむカフェのみの利用も可能です。

「伝統工芸」と聞くと、高尚で何となく近寄りがたいイメージがあるかもしれません。こちらの体験では、金沢の伝統的な塗り文化に現代的なアレンジが加わったことで、その格調高さや奥深さを身近に感じられるようになっています。自作の器でお茶を飲みながら、眺望を楽しみ、心を癒やす。「金沢茶寮」は、そんな非日常の特別な体験ができる必見スポットです。

■金沢茶寮(かなざわさりょう)
住所:金沢市卯辰町チ16-17
TEL:076-254-6647
営業時間:10~18時(体験の最終スタートは16時)
定休日:不定休

Text:能登印刷
Photo:山岸栞依

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