まるで世界がミニチュアに見える!?「本城直季 (un)real utopia」展が東京都写真美術館で2022年5月15日(日)まで開催中
まるでミニチュアのようなジオラマ風写真を撮影し続けている本城直季さんの大規模個展が東京都写真美術館にて開催中です。まるで日々の生活を俯瞰して観察するような、そんな時間を過ごしに出掛けてみませんか?
Summary
写真家・本城直季さんの初の大規模個展が東京都写真美術館で開催
オリンピックイヤーの東京を被写体にした撮り下ろし作品も発表
本展では、今の独自の表現が誕生するまで試行した様子がうかがえる初期作をはじめ、およそ20年にわたり撮り続けているシリーズ作の数々、さらに今回の個展開催を機に東京を空撮した撮り下ろしの新作作品まで公開されます。オリンピックイヤーを迎え、開発が続く東京を写した写真からは、私たちが今生きる日本の隆盛と、相反して滲んでくる虚しさを改めて問いかけられているような感覚に陥ります。
ミニチュア化された世界から見える、私たちの現在地
イタリアの写真家オリバー・バルビエやドイツの写真家マーク・レイダーなどが先人として作品を発表していましたし、フォトショップの加工でも同じような効果の写真を作り出すことも可能です。また、今ではスマホのアプリを使い、誰でも簡単に撮影もできます。
それでも、本城さんがこの作風を続けているのは、「ミニチュア」の世界にこだわっているのではなく、「自分たちが暮らすこの世界をもっと知りたい」という思いから。
上の写真は、本城さんが大判カメラを持ち、撮影をはじめた初期の作品です。この時から、人工的に作られた道路や、ビル、そしてそこに暮らす人々の影を追っていることが、見て取れるようです。
「まるでミニチュアのように見えて不思議な写真かと思うかもしれないが、実は人が見る目線にとても似ている。(略)画面の一部に焦点があった写真は、人が瞬間的に見た風景の目線により近いのかもしれない」。
開発がどんどんと進んでいく今、幼き頃に感じていた空想の世界と、現実の境がおぼろげになってきているとも本城さんは話します。
まるで、仮想空間のような世界に住んでいる私たち。
遥かに高いところから俯瞰して臨むことで、この先この街がどのような発展を遂げて、私たち人間はどのように順応して暮らしていくのか、そこに今のような暮らしはあるのか。
空に向かってぐんぐんと伸びて、積み上げられていく高層ビルの群れを見ていると、そんな遠い先の未来にまでも考えが膨らんでいくようです。
シリーズとリンクした展示方法も見どころのひとつ!
JR恵比寿駅東口徒歩7分の東京都写真美術館では、他の階でも企画展を同時開催中。ぜひ他の展示と合わせて見るのもおすすめです。写真が持つ力に、改めて感動するはず。本城直季展では、自分の暮らす現在地と向き合う時間を過ごしに、ぜひ足を運んでみてください。
■「本城直季 (un)real utopia」展
会期:2022年3月19日(土)〜5月15日(日)
会場:東京都写真美術館 B1F展示室(東京都目黒区三田1-13-3恵比寿ガーデンプレイス内)
Text & Photo:森美和子
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