【函館】五稜郭のおすすめスポット!桜の名所から、歴史を感じる建造物も
JR函館駅から路面電車で16分。「五稜郭公園前」電停で下車すると、飲食店やデパートなどが並び地元の若者たちでにぎわう「五稜郭エリア」に到着です。函館観光に欠かせない人気スポット・五稜郭へは電停から歩いて15分ほど。江戸時代に新選組副長の土方歳三が最期の戦いを前に本拠地とした舞台であり、春には桜の名所として全道、全国から観光客が訪れる五稜郭エリアの魅力をお伝えします。なお、五稜郭エリアへの最寄りは市電「五稜郭公園前」停。JR五稜郭駅ではないのでご注意を。
Summary
この絶景を見ずして函館を語ることなかれ! 市街一望の絶景スポット「五稜郭タワー」
五稜郭エリアを訪れると目に飛び込んでくるランドマークが「五稜郭タワー」。現在のタワーは2代目で2006年建築、高さ107メートルとなっています。
1階のエントランスで受付を済ませ、エレベーターで約30秒上昇すると、そこは高さ90メートルの展望2階。美しい星形の五稜郭の全景を望めるのはこのタワー展望台か飛行機しかありません。ピンクの星形が眼下に広がる春の花見時期をはじめ、夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色と、四季折々の表情を見せてくれます。
展望台からは360度のパノラマが楽しめます。五稜郭公園の反対側は函館山。朝から昼、昼から夕方へと刻々と色合いが変わっていく様子に何時間みていても見飽きるということがありません。
展望2階から階段を下りた展望1階には、コーヒーやソフトクリームなどが楽しめるカフェと売店があります。売店ではこことタワー1階売店でしか買えない「五稜郭タワー限定グッズ」のほか、この展望台売店限定、つまり展望台にのぼった人しか買えない「五稜郭タワー展望台限定グッズ」にも注目を。
展望台から一気にエレベーターで降りた2階には老舗洋食店「五島軒」が営むカレーショップや和食店のほか、地元函館の人気ジェラートショップ「ミルキッシモ」も。2階、1階にはテーブル・椅子が置かれた休憩スペースがあり、自由にくつろぐことができます。
目の高さで五稜郭公園の桜を眺められる2階は、穴場の花見スポットでもあります。
1階には函館土産、北海道土産がずらりと並ぶ売店があります。
タワー限定品のほか、土方歳三や新選組グッズ、函館オリジナルキャラ「北うさぎ」グッズ、北海道応援キャラ「雪ミク」グッズなども豊富なのでファンには嬉しいところ。全道各地のこだわり調味料やお酒などもあり、幅広いジャンルの土産物が手に入ります。
※有料エリアは展望台のみ、1・2階は入場無料。開館時間は季節などにより変動するためホームページをご覧ください。
幕末と箱館戦争の歴史を伝える桜の名所。市民の憩いの場「五稜郭公園」
タワーを訪れた後には、先ほど展望台から見渡した五稜郭公園の散策を。
五稜郭はもともと、中央にある「箱館奉行所」を守るために造られた要塞です。星形要塞は、15世紀以降ヨーロッパ各地で造られた城の形式で、堀や土塁を星形に巡らせています。
この五稜郭が造られたのは幕末。「黒船来航」など海外からの開国要求に対し国防の必要性を感じた江戸幕府によって築かれました。明治に入り、旧幕府軍が明治新政府に対して戦いを挑んだ「箱館戦争」では、新選組副長の土方歳三らが率いる旧幕府軍がここを本拠地としたことでも知られています。
大正3年(1914)に「五稜郭公園」として一般開放されて以来、市民の憩いの場となっている五稜郭ですが、園内にはここが「城塞」として造られたことを示す数々の痕跡が残されています。
築造当初のものだけでなく、箱館戦争の時に追加で造られたとされる遺構も…。実際に箱館戦争で戦場となったのは別の場所で、五稜郭はあくまでも「本拠地」ですが、それでもここで旧徳川幕府家臣達による蝦夷地開拓を新政府に嘆願してかなわず、最後の戦いに備えた土方たちの思いが胸に迫ってくるようです。
そんな歴史がある一方、現在の五稜郭は道南有数の桜の名所であるほか、初夏のツツジや藤、秋の紅葉で愛される憩いの場。
星形の堀に沿って1周30分程度の散策路が整備され、心地よくウォーキングが楽しめます。
北海道の特産品「ジャガイモ」を輸入した川田龍吉男爵の功績をたたえる「男爵薯記念碑」、函館毎日新聞の1万号発行にあたり公園に桜を寄付したことを記念する「一万号記念桜樹碑」などの記念碑を探してみるのも楽しいですよ。
春から秋は、星形の堀をぐるりと一周できる手こぎボートもよい思い出になります。
140年の時を経て復活。幕末の激動期にわずか7年だけ存在した「箱館奉行所」
五稜郭の中心に堂々とした姿でそびえるのが「箱館奉行所」。
この建物は幕末の元治元年(1864)、五稜郭とともに完成しています。ところがそのすぐ4年後の1868年に江戸幕府は崩壊。明治維新を迎えます。すでに新政府へと引き渡されていた箱館奉行所は、明治維新後、土方歳三や榎本武揚たちが率いる旧幕府軍によって「箱館戦争」の本拠地に…。
そして箱館戦争で旧幕府軍が敗れた後、明治4年(1871)、開拓や町整備の木材調達などを名目に解体されるという激動の運命をたどったのです。
わずか7年しか存在しなかった箱館奉行所が復元されたのは平成22年(2010)。江戸時代の古写真や文献資料の分析、発掘調査から、可能な限り当時の工法、材料を再現し、全体の3分の1部分がかつての姿そのままによみがえりました。
館内は写真撮影OKで、記念写真も自由に撮影できます。
一般的に奉行所の建物内は、玄関に向かって右半分が行事などに使う特別な空間、左半分は役人たちが通常業務を行う執務室となっています。
見学順路は右側下座からの反時計回りで、最初の見どころは、ふすまで4部屋に区切られた72畳の大広間。手前の下座席から、奉行が座る一番奥の書院造の部屋を眺める景色はまるで時代劇…。
上座に進んで下座を振り返った時の見え方の違いを比べるのも楽しいですね。
ここで注目すべきは、職人が一つひとつ手作業で作り上げた「釘隠し」と呼ばれる装飾。部屋や場所の「格」に応じて手の込んだものからシンプルなものまで3種類が使い分けられています。
大広間の畳には最上級とされる備後表の本畳が使われていること、格式の高い部屋では柱にまったく節目がなく天井の木目がきれいにそろっていること、釘を一切使わない欄間の造りなどにも注目を。
建物左側では、奉行所の歴史や建物の特徴、箱館の歴史などを伝える展示もあります。縁側の向こうに広がる五稜郭公園の風景を眺めつつ、かつて奉行所内を行きかった人たちに思いを馳せると、タイムトリップしたような不思議な気持ちになります。
箱館戦争に関する展示もあり、土方歳三ファンの皆さんにもぜひ訪れていただきたいところです。
復元プロジェクトを紹介する映像も必見。見えない部分や細部まで、できる限り当時の工法を忠実に守った復元の工程や、全国の職人たちが至高の技術を持ち寄って力を合わせた様子が伝わり胸を打たれます。
見学が済んだら建物向かいにある「お休処いたくら柳野」へ。資料をもとに当時の豆を再現した「箱館奉行所コーヒー」や北海道産牛乳を使ったソフトクリームをいただきながらほっと一休みできます。
「箱館奉行所釘隠しキーホルダー」などのオリジナルグッズ、御城印も手に入ります。
庭のアカマツは樹齢約160年とされ、奉行所の歴史を見守ってきた生き証人。屋根の瓦は105種類が使い分けられており、玄関上の「葵の御紋」や巨大な鬼瓦は特に印象的で、建物の外側にも、見どころは尽きません。
江戸時代から幕末の歴史を伝え四季折々の自然にも心癒やされる五稜郭。周辺には飲食店も多いので、ゆっくりと時間を取って訪ねてくださいね。
Text:石渡裕美
Photo:石渡裕美、五稜郭タワー
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