【台湾現地レポ】台湾伝統のスイーツが「八時神仙草」でおいしく&おしゃれに大変身!
昔ながらの台湾スイーツ・仙草ゼリーはもう体験済み? 知ってる人も、そうでない人もぜひ試してほしいのが「八時神仙草(バーシーシェンシェンツァオ)」の仙草スイーツです。「真っ黒!」「苦い!」「薬っぽい!」といったこれまでの仙草の概念を覆す、うれしい裏切りが待っています。
スタイリッシュな店内で神レベルの仙草を!
中山エリアを南北に貫くメインストリートをひょいと小道へ。すると現れたのが「八時神仙草 台北中山店」です。2022年4月初旬に、これまであった赤峰街から移転してきたばかり。洗練されたレトロモダンな店内は以前と変わりありません。
「八時神仙草」の前身は、「神仙草」という名の小さなお店。といっても、長年続く老舗店ではありません。2013年、台中・逢甲夜市の路地裏から始まった歴史の浅いお店です。
大きな室内キッチンを備えているわけでもなかった当時、店頭に大鍋を置いて薪をくべ(!)、コトコトと仙草を煮込んでいました。なんと8時間以上も! この時間こそがおいしさの鍵であり、のちの改名のヒントになったのだとか。
今では中部エリアに6店舗、そして台北にはここ中山店と松山文創園区近くに松菸店があり、開業から10年足らずの間に計8店舗を運営するまでに成長しています。
カラダに効くハーブ!? 仙草って知ってる?
お店のことを語る前に、「仙草(シェンツァオ)」について深堀りしてみましょう。
中国原産のハーブの一種・仙草は、台湾では新竹の關西をはじめ、嘉義や苗栗など客家民族が多く暮らす地域を中心に栽培されています。熱中症やのどの渇きに効果があるとされ、中国伝統医学の生薬として、あるいは食用として主にドリンクやスイーツという形で古くから親しまれてきました。
乾燥させた仙草を煮詰めて出来たエキスを「仙草茶(シェンツァオチャー)」として、さらにそのエキスに重曹を加えてゼリー状に冷やし固めたものを「仙草凍(シェンツァオドン)」としていただくのがポピュラーな食べ方。また「仙草凍」が固まる前のとろっとした「燒仙草(シャオシェンツァオ)」は、温かいスイーツとして冬に好まれています。
そんな仙草の見た目は黒く、まるで香港の亀ゼリーのよう。同様に特有の苦みがあり、シロップやコンデンスミルクをかけて食べるのが一般的です。しかし「八時神仙草」のものはちょっと違うんです。その秘密を紐解いてみましょう。
軟らかいのにコシがある!? 不思議!新食感の仙草ジュレ
数々の苦労の末にたどり着いたという「八時神仙草」の昔ながらの製法。炭火で8~12時間かけて煮詰めるほかにもさまざまなチャレンジがあったといいます。そのひとつが味の肝となる仙草選びでした。
使うのは台湾の一大産地・關西の仙草。そこにインドネシア産の仙草をミックスしています。何でも、理想とする味や軟らかさを得るためには、そのふたつの絶妙なるブレンドが欠かせないそうです。
またフレッシュな仙草は食用に適していません。青臭さが残り、仙草らしい爽やかな香りがしないためです。加えて凝固性も著しくダウン。そのため市場に出回っている仙草ゼリーの多くは、早く固めるために重曹を使うことが一般化しているんだとか。
けれど添加物は身体によくないし、本来の味は出せません。だから「八時神仙草」では2~3年かけてしっかりと乾かした天然の仙草だけを原料に使用しています。だから重曹は不要。その代わり時間をかけて(だから8時間以上!)優しく丁寧にかき混ぜながら火を入れなければなりません。
そうしてでき上がった仙草スイーツは、私が今まで食べてきたものとは全くの別物! とぅるるるる~んっとした軟らか食感なのにコシがある「嫩仙草(ヌンシェンツァオ)」に。固めのものをゼリー、流動性があるものをジュレと呼ぶならば、これは断然、仙草ジュレ! 仙草本来の爽やかな香りと独特の風味が広がる、ふるふるスイーツなのです。
温故知新が生み出した、現代に愛される味
おいしさを追求した結果、見た目にも変化が生まれました。スプーンでひと口すくうと、つやつやの深いコーヒー色。限りなく黒に近いけれど、一般的によく見る黒い仙草とは異なります。別盛りのトッピングと一緒に小さなお盆に載せられて、なんだかおしゃれ~! 「古臭い!」「映えない!」そんな伝統スイーツの印象はここにはありません。
仙草スイーツ専門店だけにメニューもいろいろ。定番商品に加え、仙草のかき氷に練乳をかけたスノーフラワーアイス(雪花冰)や仙草&牛乳のスムージー(仙草牛奶冰沙)といった商品もあり、11~3月には冬限定のとろとろ仙草(燒仙草)も登場します。
故きを温ね、新しきを知る――昔ながらの製法のなかに見つけたおいしさを再現し、現代的な感性でひと皿に華を。そんな伝統と革新が交錯するおいしくておしゃれな「八時神仙草」の仙草を、次の台湾旅行でぜひトライしてみてくださいね。
住所:中山北路一段135巷5號
TEL:非公開
営業時間:12時30分~21時(20時30分以降はテイクアウトのみ)
定休日:無休
Text:林綾子(台北ナビ)
Photo:張哲倫
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