【せとうち】アートな島旅②「豊島」グルメと絶景も楽しめる1dayプラン
瀬戸内海の穏やかな景色と、点在する現代アートが魅力の瀬戸内の島々。なかでも棚田が広がる豊島(てしま)は、食材に恵まれ、「食とアート」をテーマに掲げています。3年に一度開催される「瀬戸内国際芸術祭2022」でも多くの作品が出品。さらに最近は絶景スポットもSNSで話題に。今回は、そんな豊島で常設展示の「アート」を中心に、絶景とグルメもしっかり楽しむ、スタンダードな1日プランをご紹介します。
Summary
家浦港に到着。「レンタカーあき」で電動自転車をレンタル
豊島には家浦港・唐櫃(からと)港の2つの港があり、香川・高松港、岡山・宇野港、小豆島と航路がつながっています。今回の旅は高松港から約50分、豊島フェリーの旅客船に乗り(直島に立ち寄る便の場合)、家浦港に向かいます。
その日のうちに高松港へ戻るなら、往復切符(2570円)が便利です。
船旅ってワクワクしませんか?穏やかな海に点在する多くの島々を眺めながら、頬にさわやかな海風を受けて進むうちに、心がほどけていくような気がします。
豊島・家浦港についたら、自転車を借りに徒歩2分の「レンタカーあき」へ。島内は広く、勾配も激しいので、移動は町営バスかレンタサイクルが基本です。今回は、自分のペースで回れるレンサイクルにしました(090-7897-8660 へ予約がベスト)。
「あきのおっちゃん」として有名な「レンタカーあき」の安岐光彦さん。手作りの地図を見ながら、島の観光案内をバッチリしてくれます。まず最初に立ち寄って、どう回るか、おっちゃんに相談するのがいちばん。店内には、全国各地から届いたお礼の手紙や写真がたくさん飾ってあります。
※8~18時、不定休
豊島を代表する「豊島美術館」と絶景スポットを堪能
で島の西から東へ移動すると、棚田になじむようにたたずむ建物が見えてきました。豊島を代表する美術館「豊島美術館」です。中は柱や角のないシンプルな広い空間。しばらくたたずんでいると、天井にある2つの大きな開口部から光や風、音が感じられます。何だか心が澄んでいくような、不思議な感覚を味わいました。
※鑑賞1570円(15歳以下無料)。10~17時(冬季は~16時、入館は閉館の30分前まで)、オンライン予約制。火曜休(12~2月は火~木曜休、祝日の場合は翌日休)
「豊島美術館」の近くには、SNSで有名な絶景スポットが2つあります。まずは、海へ向かう坂道へ。急勾配の坂道が大きくカーブし、その先に海がどこまでも広がっています。
その道を降りると、三叉路に突き当り、海を背景にカーブミラーが2つ並んでいます。こちらが2つ目の絶景スポット。海がワイドに見え、双子のカーブミラーも相まって、フォトジェニックな景観を作り出しています(上記2カ所とも車道に立ち入っての撮影は禁止)。
「豊島美術館」からレンタサイクルで9分、広場にあるユニークな屋外作品「勝者はいない―マルチ・バスケットボール」へ。スペイン人の作家ユニットによる作品で、豊島の形をしたボードに6つのゴールが設けられ、自由にバスケットボールを楽しむことができます。
ボールが用意されているので、自由にルールを作って遊んでみて。こんな写真を撮ってもおもしろいかも!
※鑑賞自由
そこからレンタサイクルで4分、“生と死”を多彩な手法で表現するフランス人アーティストによる作品「心臓音のアーカイブ」へ。海に面した小さな建物のなかにパソコンが据えられ、世界中の人々の心臓音を聴くことができます。静かな海を眺めながら、“生と死”に思いを馳せる独特の体験。自らの心臓音を録音することもできます(別途有料)。
※鑑賞520円(15歳以下無料)。10~17時(冬季は~16時、入館は閉館の30分前まで)。休みは豊島美術館に準ずる
「心臓音のアーカイブ」の前は、瀬戸内の多島美を望む小さな浜。作品の鑑賞で頭を使った後は、こちらの浜で少しぼんやりするのがおすすめです。
アート作品「島キッチン」で地魚ランチ
次は唐櫃の集落へ。バス停・唐櫃岡集会所前にある駐輪場に自転車を置き、細い道を歩いて巡ります。
まずは“島ランチ”といえば名の挙がる「島キッチン」を目指しましょう。古民家を再生したカフェレストランで、豊島の豊かさを伝えるアート作品でもあります。
古い建物が醸し出す落ち着いた雰囲気のなか、東京・丸ノ内ホテルのシェフのアドバイスのもと、島のお母さんが島の食材をたっぷり使って作ったランチや、手作りのスイーツが味わえます。
※11~16時(フード14時LO、ドリンク15時30分LO)、火~金曜休(祝日の場合は営業)、時間休みとも時期により変動。Webサイトを要確認
「島キッチン」の近くには、「唐櫃岡の清水共同用水路」があります。空海によって掘られたと伝えられている湧き水で、別名「霊泉越水」とも。一年中水温が変わらず、水道水源として、また周辺の田畑を潤す灌がい用水として利用されています。豊島の豊かな「食」を支える現役の遺跡です。
※鑑賞自由
すぐ近くには屋外作品「空の粒子」があります。円形の鉄の彫刻をつなぎ合わせ、まるで空に舞う粒子のよう。貯水タンクを囲むように設置されているので、水の流れる音とともに楽しんでみて。
※鑑賞自由
のんびり日向ぼっこを楽しむ島ねこに遭遇!島特有の美しく積まれた石垣もぜひチェックしてみてください。
「豊島横尾館」で横尾忠則氏のアート魂に心揺さぶられる
次は家浦港へ戻り、横尾忠則氏の美術館「豊島横尾館」へ。築約100年の古い民家を1棟まるごと使い、母屋・倉・納屋に公開された11点の平面作品のほか、石庭や池、円筒状の塔など、“生と死”をテーマにしたインスタレーションを展開。パワフルな横尾ワールドをたっぷり堪能できる空間です。
※鑑賞520円(15歳以下無料)。10~17時(冬季は~16時、入館は閉館の30分前まで)。休みは豊島美術館に準ずる
「いちご家」の生いちごたっぷりのクレープでおやつタイム
豊島で外せないのが、名産のイチゴを使ったスイーツ。イチゴ農家が営むスイーツ専門店「いちご家(や)」へ向かいます。おすすめは上はパフェ、下はクレープの「生いちごプレミアムクレープ」。なかにもたっぷりのイチゴが入り、とれたてのイチゴは驚きのおいしさ!
他にもかき氷(M)530円やスムージー620円など、試してみたいイチゴスイーツばかり(生イチゴの提供は11月中旬~6月中旬。それ以外はイチゴのコンポートに変更、価格も変更する)。
「いちご家」では、おみやげに最適なイチゴのソースやジャムも販売。レモンを入れず、イチゴの酸味で味を調整するという“スゴ技”で、原材料はイチゴと砂糖のみ。イチゴの芳醇な風味がギュッと詰まった名品です。
※12~17時(土・日曜、祝日は11時~)。不定休
「豊島マルシェ」でレモン&オリーブみやげをゲット
旅の最後に立ち寄りたいのが、フェリー乗り場のすぐ近くにある「豊島マルシェ」。豊島観光協会が営み、豊島産のレモンやイチゴ、オリーブを使ったおみやげが揃っています。
編集部のイチオシは、豊島産レモンを使った「レモンケーキ」。外はホワイトチョコレートでコーティング、中はしっとり食感のスポンジ生地。レモンの風味が格別で、よくあるレモンケーキとは一線を画したおいしさです。
手摘みした豊島産のオリーブを24時間以内に搾油した、「豊島OLIVE(オリーブ)」もおすすめ。フレッシュかつ濃厚な風味で、料理のレベルがワンランクアップしそう!
※瀬戸内国際芸術祭会期中は9時~18時(美術館休館日は~17時30分)、無休。瀬戸内国際芸術祭会期外は9時~17時30分、火曜休(月・火曜が祝日の場合は水曜休)
お買い物もすんで、後は帰りの船を待つのみ。ゆっくり沈む島の夕景も心に残るワンシーンでした。
最大のおみやげは、たまたま出会った地元の方にいただいた生のレモン。これがやや甘めでおいしい!
アートで感性を刺激され、瀬戸内の絶景に癒やされ、おいしい島グルメに舌鼓を打った豊島旅。海のように穏やかでやさしい人々とのふれあいも、旅の大切な思い出になりました。とっておきの休日が過ごせる豊島へ、あなたもぜひ訪れてみてください。
「瀬戸内国際芸術祭2022」の掲載作品や公開状況は時期により異なります。「瀬戸内国際芸術祭2022」の公式Webサイト(https://setouchi-artfest.jp/)で公開日のチェックをお忘れなく。また島へ渡るフェリーの時間は、時期により異なりますので、必ず事前に確認するようにしてください。
『るるぶ四国23』は好評発売中!
本書の特別付録2「せとうちアートな島旅BOOK」では、瀬戸内海のアートな島を徹底紹介!
Text:沖本明
Photo:こばやしみもざ
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