弘前れんが倉庫美術館

弘前×建築×アートを堪能!「弘前れんが倉庫美術館」に行ってきました♪

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2020年7月に誕生した弘前の新たなランドマーク「弘前れんが倉庫美術館」。弘前市出身のアーティスト・奈良美智氏の作品が展示されるほか、明治・大正期の倉庫を改修した建物にも注目。歴史・文化・現代アートの魅力にたっぷり浸れる、弘前で必ず立ち寄りたいスポットをご紹介します♪

Summary

桜、りんご、ハイカラな洋風建築で有名な青森県の弘前は、いつでも旅ごころをくすぐってくれる街。

そんな街にアートの彩りを加えてくれたのが、2020年7月に誕生した「弘前れんが倉庫美術館」。

弘前市出身のアーティスト・奈良美智(ならよしとも)氏の作品や国内外の先進的なアートが展示され、築約100年の赤れんが倉庫をリノベーションした建物は建築探訪としても楽しめる、歴史と文化の薫りただよう美術館です。

隣接するカフェ・ショップ棟では地元食材を使用したメニューやミュージアムオリジナルグッズなども揃い、みどころもたっぷり。

弘前に訪れたならぜひ立ち寄りたい新たなランドマークの魅力をご紹介します♪

明治・大正期の倉庫が世界のアートを体験できる美術館に変身

左がカフェ・ショップ棟、右がミュージアム棟。アーチ型の入り口は、互い違いにれんがを積み上げる「弘前積みれんが工法」が用いられている
左がカフェ・ショップ棟、右がミュージアム棟。アーチ型の入り口は、互い違いにれんがを積み上げる「弘前積みれんが工法」が用いられている

赤茶色のれんがが印象的な建物の歴史は、明治・大正期に建てられた酒造工場・吉野町煉瓦倉庫にはじまります。

戦後の1954年には日本ではじめて大々的にシードル(りんごの発泡酒)が製造された場所となり、ニッカウヰスキーに事業が引き継がれた後は、1965年までニッカウヰスキー弘前工場として使用されてきました。現在の美術館になるまでは政府備蓄米倉庫などに利用されてきたそうです。

エントランスを進んだ先にある受付・市民ギャラリーのエリア。内壁のれんが、階段は当時のもので、床は新しい赤れんがが使用されている
エントランスを進んだ先にある受付・市民ギャラリーのエリア。内壁のれんが、階段は当時のもので、床は新しい赤れんがが使用されている

「記憶の継承」と「風景の創生」をコンセプトに改修された倉庫は、耐震性能を高めつつ、残せるものは可能な限り残して設計されました。

改修を担当したのは、代表作にエストニア国立博物館を持ち、パリを拠点に国際的に活躍される建築家の田根剛(たねつよし)氏。日本国内では同氏がはじめて手掛けた美術館としても注目の建物です。

分厚い漆喰で覆われていた内壁をはがして建設当時のれんがをあらわにさせ、床は新しい赤れんがを使用。新旧が調和するように色味や積み方が工夫され、昔の技術に合わせて少しデコボコしたような質感になっています。

館内にはほかにも、シードル工場時代に瓶を洗浄するために水を貯めていた赤いタンクや黒壁などがあり、建物の至るところにその時代の名残りが感じられます。

【ミュージアム棟】世界的アーティストの現代アート作品にふれる

奈良美智 ≪A to Z Memorial Dog≫ 2007年 ©Yoshitomo Nara
奈良美智 ≪A to Z Memorial Dog≫ 2007年 ©Yoshitomo Nara

ミュージアム棟のエントランスを入ってすぐ左手には、弘前市出身のアーティスト・奈良美智氏の作品「A to Z Memorial Dog」が展示されています。

この作品が生まれたきっかけは、2000年代に3回開催された奈良氏の展覧会。それまで美術館がなかった弘前の街で、市民を主体とした実行委員会や大勢のボランティアスタッフによって作り上げられた展覧会は大成功をおさめ、その規模や類を見ない主催のあり方から「奇跡の展覧会」ともよばれました。

終了後に、これらの展覧会へ関わったすべての人へ感謝の気持ちを込めて奈良氏から寄贈されたのがこの「A to Z Memorial Dog」です。弘前の街のシンボルとして親しまれ、この美術館の誕生とともに、現在はエントランスで来場者を出迎えてくれます。

ジャン=ミシェル・オトニエル ≪エデンの結び目≫ 2020年
ジャン=ミシェル・オトニエル ≪エデンの結び目≫ 2020年

奥へ進むと、繊細なガラス作品で知られるフランスのアーティスト、ジャン=ミシェル・オトニエル氏の「エデンの結び目」が現れます。

同氏が初めて弘前を訪れた際に目にした美しいりんごからインスピレーションを得て作られたこの作品は、カラーガラスと鏡面ガラスのビーズの結び目が連なります。

ビーズひとつひとつに作品を見ている自分自身の姿が映りこみ、作品と一体になったような感覚に。光の反射で日中や夜など時間によって姿を変えるので、いつ見ても楽しめる作品です。


また常設している上記の2作品のほかに、展示室では企画展も開催。現在は2022年度春夏プログラムとして、「池田亮司展」がはじまっています。

池田亮司《data-verse 3》2020年  / 撮影:浅野豪 / ©︎Ryoji Ikeda
池田亮司《data-verse 3》2020年 / 撮影:浅野豪 / ©︎Ryoji Ikeda

パリと日本を拠点に国際的に活躍する作曲家・アーティストである池田亮司氏。テクノロジーを駆使し、光や音を用いて鑑賞者の感覚を揺さぶる没入型の作品を数多く発表されてきました。

国内初展示となる《data-verse 3》は、NASAをはじめ多くの科学機関の公開データを収集し、加工・変換などさまざまな操作を経て構成された作品が、高解像度の映像として高さ15mの吹き抜けの展示室内に投影されます。

池田亮司《data.flux [nº1]》2020年 / 撮影:浅野豪 / ©Ryoji Ikeda
池田亮司《data.flux [nº1]》2020年 / 撮影:浅野豪 / ©Ryoji Ikeda

細い通路の天井には《data.flux [nº1]》の展示などもあり、煉瓦倉庫を改修した美術館ならではの建築空間と作品の共鳴/共振を楽しめます。


■池田亮司展

会期:2022年4月16日(土)~8月28日(日)
時間:9~17時(入場は閉館の30分前まで)
休館日:火曜(ただし4月26日、5月3日、8月2日は開館)
料金:1300円


2階にあるライブラリー

ミュージアム棟の2階にはライブラリーがあり、アートに関する書籍や展覧会に出品している作家の関連書籍などが閲覧可能(貸出は行っていません)。金曜と土曜は夜9時まで開放されており、昼間とは違った雰囲気でアートを楽しむこともできます。

一角にある「NARAライブラリー」。書棚にはりんご箱が使用されている
一角にある「NARAライブラリー」。書棚にはりんご箱が使用されている

ライブラリーの一角には奈良氏自身がセレクトした書籍・絵本を並べる「NARAライブラリー」も。こども、音楽、アイヌなどをテーマとした選書で、“アーティスト・奈良美智”がどのような物事に興味を持ち、本から学び、作品を制作しているのかを覗きみることができます。

【カフェ・ショップ棟】地元食材を生かしたメニューやオリジナルグッズが勢揃い

日替わりワンプレート1500円(ランチタイム11~15時)
日替わりワンプレート1500円(ランチタイム11~15時)

ミュージアム棟に隣接するカフェ・ショップ棟「CAFE & RESTAURANT BRICK」では地元食材を生かしたランチメニューやスイーツのほか、企画展に合わせた期間限定メニューなども登場します。

青森県産の食材をふんだんに使用した日替わりワンプレートは、デリ5種・サラダ・ライス・スープ・ドリンクがついたボリューム満点のひと皿。ほかにもパスタやビーフシチューなどもあり、ディナーではコースも楽しむことができます。

シードルやコラボ商品なども

奥にシードル工房が入り、カフェとともに展開するショップエリアでは、展覧会グッズはもちろんミュージアムオリジナル商品や弘前・青森の暮らしに根差したアイテムなどが揃います。

本工房で作られている「A-FACTORY アオモリシードル弘前吉野町」520ml/1980円(写真左)は、種類ごとにナンバーが割り振られていて、それぞれ違う品種のりんごを使用。数量限定生産のため、店頭に並んでいるものが最後!という貴重なナンバーもあります。

ティーメーカー「TE HANDEL」とコラボレーションしたアップルブレンドティー「H-MOCA BLEND TEA」1袋3ティーバッグ入/各356円(写真右)は、有機茶葉にこだわり、弘前産りんごの甘さと天然ハーブの香りが優しく広がる紅茶。パッケージに描かれたイラストは美術館を設計した田根剛氏によるもので、美術館に訪れた記念におみやげとしてもオススメです。


時代が移り変わり、新しく生まれ変わった「弘前れんが倉庫美術館」。歴史と文化を感じるこの場所で、現代アートにたっぷりふれてみてはいかがでしょうか?


■弘前れんが倉庫美術館
ひろさきれんがそうこびじゅつかん

住所: 青森県弘前市吉野町2-1
交通:JR弘前駅から徒歩20分
TEL:0172-32-8950 (カフェ・ショップは0172-40-2775)
営業時間:9~17時(カフェ・ショップは9~21時LO)
定休日:火曜(祝日の場合は翌日)
料金:展覧会により異なる


Text :ジェンティーレ恵 Photo:北村美和子


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