ひとり京都は、お茶とサウナでととのう。八瀬に誕生した宿「moksa」【第15 回 京都ヒトリホテル】
ひとりホテルステイ巡りが趣味な私、マロ(@ohitorigram)が、ひとりで泊まりたいホテルを紹介する「ヒトリホテル」。今回は、京都・八瀬に2022年3月オープンした宿「moksa(モクサ)」。京都の中心部から電車で30分ほど、比叡山の麓にある自然豊かな地で、ひとり静かに、今までにないくらい“ととのう”ことができて、とっても感動しました!!本当はだれにも教えたくないくらいなのですが(笑)、特別にこっそり教えちゃいます。
旅の始まりは、お茶で。苔庭を愛でながら、癒やしのひとり時間
比叡山の麓にあって、緑豊かな京都・八瀬に2022年3月にオープンした宿「moksa」。もともとこのエリアには、壬申の乱で傷を負った大海人皇子(おおあまのみこ)の傷を癒すため村人が献上した“八瀬の窯風呂”という日本最古の入浴場があったと伝えられています。以降、心身を癒やし清める場所として多くの人に愛されてきました。
そんな歴史背景から、このお宿は解脱や解放を意味する「moksa」と名付けられ、現代の疲れを癒やし、生まれ変わるような体験をしてほしいという思いが込められています。
まさに、私自身も、新しい仕事が重なってせわしない日々から少し抜け出したいと思っていたので(笑)、このコンセプトに惹かれて宿泊を決めたのですが…
ロビーに一歩足を踏み入れた瞬間、窓一面に苔庭の景色が飛び込んできて、コンセプトどおりの空間に大興奮…!しかも、フロント横でお茶をいれてもらえると知り、チェックインを済ませた後、すぐにこちらのカウンター「帰去来(ききょらい)」へ。
なんと専門のスタッフさんが、目の前で丁寧にお茶をいれてくれるんです。所作も茶器も、とても美しくてうっとり。このお茶のサービスは宿泊料金に含まれているのも嬉しいポイントです。
お茶は季節に応じてセレクトしているそう。今回いただいたのは、中国茶・台湾茶を扱い、京都にお店を構える人気店「小慢(シャオマン)」の「白牡丹」。
さっぱりしつつも、最後に甘みのある花の香りを感じられて、初夏にぴったりなお味で、とってもおいしかったです。
なんといっても、このおいしいお茶を、苔庭を“ひとり占め”していただけるのが至福でした。眺めているだけで癒やされるんですよね…。
お庭は、お散歩することもできます。西陽が差し込むと、また一段と美しく…。個人的にお庭が好きで京都のお寺を巡っているのですが、宿泊中ずっと堪能できるなんて贅沢だなと思いました!
ちなみに…いただいた「白牡丹』があまりにもおいしく、「水出しも絶対いいですよね!」とスタッフの方とお話していたら、「お部屋でも楽しんでください」と茶葉をお持ち帰りさせてくれました。心遣いが温かく、身も心も癒やされるとはこのことだな…としみじみ。
夜は薪火料理、朝は養生朝食。京の恵みで “生まれ変わる”
夜は、館内のレストラン「MALA」で“薪火料理”を。薪窯を囲む形でカウンター席があるので、薪で焼かれた食材の香りとともに、調理の様子を見て楽しみながら、お料理をいただくことができます。
まず、一杯目には、珍しい“煎り番茶のジントニック”を。お茶が一つのテーマになっているからこその素敵な発想で、スモーキーな香りと、香ばしさがたまらない…!この後の燻製料理との相性も抜群でした。
ちなみに、これもさきほどのお茶と一緒で、宿泊代にインクルードされているんです!一部のドリンクを除いてはほぼフリーなので、安心してたくさん飲めちゃいますよ。(笑)
お料理は、前菜からデザートまでのコース形式。料理は時期により変わるそうですが、私がいただいたなかで特に印象に残ったものを紹介していきます。まずは2品目の、フォアグラとフキノトウのパテを、竹炭のサブレで挟んだもの。すべての素材の味がしっかりして、見事にそれがマッチしており、いくらでも食べられそうなくらい(笑)、おいしかったです。
こちらは、3品目の旬な大原野菜とホタテ。お宿がある八瀬は、大原とも近いゆえに、より新鮮で、しかもたくさんの種類の野菜がいただけるのだそう。薪で焼いたからこそ、お野菜の味がさらに引きたてられていて、甘いホタテとの相性も抜群でした!
そして、このパン!モチモチ具合と香りがよくて、思わずおかわりしてしまったのですが(笑)、スタッフの方に聞いたところ、京都・修学院にある「タナカパン製作所」のものなんだそう。今度買いに行きたいと思うくらいヒット。
メインは、京赤地鶏と万願寺唐辛子。余分な脂肪がないのが特徴の鶏で、さっぱりといただくことができました。何より、窯で焼かれているからか、甘みもでて、皮がカリっとしていておいしかった…!
じっくり味わうことができました。また、調理をしているところが見られるので、食事を待っている間も、ひとりで退屈することもなかったのが良かったです◎
しかも、たくさんのアートが飾られているので、お食事をいただきながらじっくり空間を味わうことができるのも、心躍る体験でした。(館内全体に、たくさんのアートがあるので、ひとりでお散歩して堪能してください!)
「さあ満腹になったし、お風呂にでも入って寝るか~」と思っていたら、なんとお食事の最後に、お夜食の「おいなりさん」をいただけました。最高!!
しかも、なんとルームサービスで、カリン酒やハーブを漬け込んだ3種の薬酒が注文でき、トニックで割ったりしていただくこともできるんです。これらもすべてインクルードという驚き…!(薬酒の種類は、季節や時期によって変わります)
ひとりまったり、おいなりさんを食べながら、お酒を飲んで、お部屋で“2次会”ができました。幸せだあ…。
朝は、お宿おすすめの養生朝食を。湯葉と柚子の餡(あん)がかかったお粥と、副菜とオーギョーチという軽めのもので、前日食べ・飲みすぎた私(笑)には最適でした。(しっかり食べたい方は和・洋の朝食も選べますよ!)
窓際で日差しが降り注ぐお庭を堪能しながら、美しい器と共にいただき、身も心も洗われました。
しかも、この後ご紹介するサウナ後だったので、これ以上“ととのう”ことはないのではなかろうかという、至福の時間だったんです。戻りたい!(笑)
“五感を研ぎ澄ませたい”プライベートサウナで、じっくりととのう。
さあ、そのサウナの紹介です!
「moksa」には、「炭蒸」「美蒸」「檜蒸」という3種のプライベートサウナ!があって、しかもサウナの聖地「サウナしきじ〉の娘・笹野美紀恵氏プロデュースによるもので、随所にこだわりがつまっているんです。
※プライベートサウナ利用は追加料金が必要です。電話での事前予約、当日チェックイン時の予約ともに可。
私は「炭蒸」を予約して行ってきたのですが、入った瞬間に、その広さと、炭化した薪をイメージしたという重厚な石があしらわれた空間美に圧倒されました…!
サウナの中も、漆喰(しっくい)で墨色に塗られていて、かっこいい空間に。入口が小さく、体をくぐらせて入るのですが、この空間は“茶室”をイメージしているそう。妙に落ち着けたのは、そんな工夫にあったのかもしれません。
何よりよかったのが、この水風呂!照明の当て方や、石の凛々しさがまずいいですよね。地下水をくみ上げているため水温はそのときどきによって異なるそうですが、大体14~16℃とのこと。思いっきり足を伸ばして、横になりながら全身浸かれるんです。最高に気持ちいい~。
お風呂も、お庭に面しているので、お庭を眺めながらゆったりくつろぐことができました。極楽~!
サウナで一番印象に残った時間が、このお庭が見える窓際にある畳でゴロゴロしながら、“ととのう”時間。
朝の陽ざしもいい具合に入ってきていて、思わずうとうとしてしまうくらい気持ちよかったです。サウナの中からも、水風呂からも、このお庭が眺められるような設計になっていて、何度も癒やされました。
果物や、ノンアルコールのシャンパンも用意されているので、みなさんも、優雅にこのサウナを“ひとり占め”してみてください。
伝えたいことが多すぎて、ここまでお部屋を紹介できなかったのですが…、私が泊まったのは「リバースイート」のお部屋。お部屋からも高野川を眺めることができて、とってもリラックスできました。
ひとりステイにぴったりなコンパクトサイズの「スタンダードルーム」もあるので、そちらもぜひチェックしてみてくださいね。
いかがでしたか?ひとりでリラックスできる場所っていくつか思い浮かぶのですが、癒やされた先に、新しい自分に生まれ変わるような感覚を味わえるのは、今回が初めてで感動しました。
そういった空間を生み出している秘訣は、どこにあるんだろう?と思ったときに、紹介したコンテンツや内装、お庭、アートの要素はもちろんあるのですが、何よりスタッフの方のホスピタリティかなと。
館内を少し散策していると、作品のアーティストの方のお話をしてくださったり、食事中も気にかけて話しかけてくださったり…とにかく温かい。写真は、私が何度もお菓子を絶賛していたら、スタッフの方が帰り際に渡してくださった素敵なお手紙とおみやげです。最後まで感動…しみました。(泣)
みなさんも、疲れてボロボロになりかけたら、ぜひ、この“生まれ変わり”を体感してみてください。
■moksa(もくさ)
住所:京都府京都市左京区上⾼野東⼭ 65
TEL:: 075-744-1001
チェックイン時間:15時~
チェックアウト時間:~11時
宿泊料金: 1泊2食付(1名利用時)3万8500円~(税・サービス料込)。プライベートサウナ「蒸庵」利用は別途料金が必要。「炭蒸」1万9800円、「檜蒸」1万3200円、「美蒸」1万7600円
text:マロ
1992年東京生まれ。物心ついた頃から"ひとり行動"が大好き。「ひとり時間の楽しさ」をもっと多くの人に伝えたいと、2017年におひとりさま専門メディア「おひとりさま。」を設立。
Instagramアカウント(@ohitorigram)のフォロワーは3.9万人。アカウントを原案にした、マキヒロチ氏による漫画「おひとりさまホテル」の連載が、月刊コミックバンチにて開始。
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