上高地のハイキングで新緑を楽しめるおすすめコース【長野】
長野、新潟、富山、岐阜の4県にまたがる中部山岳国立公園の一角として、清流や湿原、林など美しい自然の景観がそのまま残されている長野県内随一の山岳リゾート・上高地。古くは、「神の降り立つ地」と書いて“かみこうち”と呼ばれていたという言い伝えがあるのも頷けるほど神々しくて雄大な自然は、グリーンシーズンを迎えるとハイカーたちで賑わいます。眼の前に広がる雄大な山々と、そこから吹き下ろされる爽やかな高原の風、目にも鮮やかなエメラルドグリーンの清流、木々の薫り。一生に一度は足を運ぶ価値ありのスポット、上高地の魅力をご紹介します。
Summary
人気観光地、上高地の観光シーズンは4月~11月上旬。それぞれの季節で楽しめるポイントがあるので、ぜひ訪れる際の参考にしてみてくださいね。
4~5月 新緑が楽しめる人気シーズン
●見どころポイント
4月下旬には上高地が山開きします。春とはいえ上高地は冷えるので、防寒対策は万全に!ゴールデンウイーク前には道路の冬季通行止めも解除されます。
5月は穂高連峰の残雪と新緑のコラボレーションが見どころ。乗鞍山頂(畳平)も15日には岐阜県側からのシャトルバスが運行開始します。 乗鞍高原のミズバショウも見頃になりますよ。
●おすすめの服装
・ニット帽
・ネックウォーマー
・フリース
・ダウンジャケット
・手袋
防寒具が必須! 雨や風で気温がぐっと下がります。雪が降ることもあるので注意しましょう。
6~7月 高原植物が見たいならココ!梅雨の晴れ間を狙いたい
●見どころポイント
6月は梅雨入り時期ですが、上高地も乗鞍山頂(畳平)も高原植物が次々に咲き始め、美しい季節。更に比較的すいている時期なので、天気予報をチェックして、梅雨の晴れ間に訪れるのがおすすめです。
7月は長野県側から乗鞍山頂(畳平)へのシャトルバスが運行開始します。山頂のお花畑ではハクサンイチゲの大群落が見どころです。
●おすすめの服装
・帽子
・フリース
・ウインドブレーカー
・手袋
フリースとウインドブレーカーが基本。雨が多い時期なので、レインウェアも持ち歩くようにしましょう。靴も防水仕様のものにするのがおすすめです。
8~9月 イベントも開催され、観光客でにぎわうシーズン
●見どころポイント
8月は上高地も乗鞍も夏休みの観光客や登山客で大賑わい!様々なイベントも開催されるので、ハイキング以外でも楽しめるポイントが多いです。
9月は乗鞍山~三本滝では紅葉を楽しむことができます。
平地ではまだまだ暑い日も多いですが、上高地や乗鞍では急に気温が下がり寒くなることがあるので、防寒具はマスト!山では日の入りが早くなるので時間に余裕をもっておでかけしましょう。
●おすすめの服装
・帽子
・長袖シャツ
・ウインドブレーカー
長袖シャツにウインドブレーカーが基本。日中は汗ばむくらいでも、朝晩は気温が下がるので気をつけてくださいね。シャツは吸汗、速乾性のある素材のものがおすすめです。
10~11月 絶景の紅葉を楽しめるシーズン
●見どころポイント
穂高連峰では10月上旬に、上高地や乗鞍中腹では10月中旬に紅葉を迎え、絶景を楽しむことができます。
10月下旬には早くも雪が降り始め、乗鞍山頂(畳平)は10月31日に閉山します。
11月は東京の真冬並みの防寒が必須!上高地は11月15日閉山式を行い、観光シーズンが終了します。
●おすすめの服装
・ニット帽
・ネックウォーマー
・フリース
・ダウンジャケット
・手袋
最低気温が氷点下になることもあるので、厚手のダウンジャケットで防寒対策をしましょう。保温性の高いインナーも必須です。
4月~11月の観光シーズン、それぞれのポイントをチェックしておでかけしましょう。
今回は人気の新緑シーズンにおすすめのコースをご紹介します。
上高地へ向かうには長野県側と岐阜県側、二つのルートがあります。今回は長野自動車道松本ICを降り、国道158号線を経由し、長野県から上高地へ向かうルートです。ただ、上高地へ向かう県道24号線、中の湯~上高地間は、環境保全のため通年マイカー規制が行われていて、一般車で乗り入れすることはできません。代わりに上高地を訪れる観光客の足となっているのがシャトルバス(往復2400円)で、起点となるのがさわんどバスターミナルです。こちらに車を駐車して、シャトルバスに乗り換え上高地へ向かいます。
さわんどバスターミナルに隣接する「沢渡ナショナルパークゲート」(8~17時)には、上高地の歴史や文化、観光ルールやそこに生息する動物の剥製などが展示されています。バスの待ち時間に上高地に関する予習もできて、ハイキングの期待感もグッと高まりますね!
【おすすめルート】大正池から河童橋へ向かうルート
さわんどバスターミナルから、上高地のメインスポット河童橋周辺へ直接行くこともできますが、おすすめは大正池バス停で降車し、上高地自然研究路を通って河童橋までのんびり散策するルート。
大正池バス停を降車後、間もなく眼前に広がるのは焼岳が噴火したことによって生まれた大正池。非常に透明度が高く、天気の良い日には水面に反射した木々の緑や空の青色が幾層にも重なり、そのグラデーションの美しさは思わず息を呑んでしまうほど。池の中に林立するのは、土地への浸水によって根腐れし、当時の姿を残したまま枯れてしまった“立ち枯れの木”。その幻想的な雰囲気は、まるで映画のワンシーンのよう。
散策道にも緑がたくさん!心も体もリフレッシュ
大正池の脇にある林道から田代湿原へ向かう散策道を歩けば、小川のせせらぎや鳥のさえずりが聞こえてきます。そんな自然の音に耳を傾けながらのハイキングはリラクゼーション効果抜群。木道もきちんと整備されているので、ストレスなく歩けるのもありがたいですね。
木道を少し進むと森の景色が開け、突如あらわれる焼岳。山肌に刻まれた谷筋からは自然の猛々しさを感じ取ることができます。バスを降車してすぐに見られる大正池の抜けるような景観も美しいですが、焼岳を正面に望み、一本の巨大な立ち枯れの木がそれに重なってシンクロする景色は、この位置からでないと見られない特別な絶景です!
再び林道へ戻れば、周囲には巨大なカラマツやヤナギの木が生い茂ります。清々しい樹木の薫りと、そこから放出される癒やしのパワーは、人工物がほとんど存在しない大自然ならではの贅沢なリラクゼーション。マイナスイオンたっぷりの森林浴を心ゆくまで楽しみましょう。
【おすすめスポット】田代湿原の緑のじゅうたん
森林浴で心身ともにリフレッシュしたら、さらに散策道を進んでみましょう。しばらく歩くと、広大な田代湿原の風景が眼の前に広がります。かつては大きな池でしたが、池底に枯れた水草が少しずつ堆積し水深が浅くなったところへ、大雨の影響による土砂が一気に流れ込み、現在のような湿原になったのだとか。一面を緑のじゅうたんに覆われた湿原の奥には、穂高連峰を望み、その眺めはまるで北欧のような美しさ。思わず、ここは日本ではない?! と錯覚してしまいそう。
【おすすめスポット】河童橋で絶景とアップルパイを堪能
田代湿原を過ぎると道が二手に分かれますが、所要時間や距離はほぼ同じ。今回は梓川コースを経由して河童橋へ。大正池から河童橋までの所要時間は約1時間。スポットごとに異なる自然の美しさを感じられ、一度の散策で様々な景色を眺められるので、ビギナーでも楽しくハイキングできるのが上高地の魅力。いよいよ河童橋に到着したら、まずは橋の上から景観を楽しみましょう。梓川に架かる橋の上に立って川の上流を望めば、青くきらめく梓川と穂高連峰が歓迎してくれます。上高地を代表するビュースポットで大自然の絶景を満喫しましょう。
河童橋周辺にはレストランやカフェが充実。少し歩き疲れたら、河童橋からほど近いカフェ「TROIS CINQ上高地」(8~16時)へ行ってみては。こちらのお店の看板メニューは“上高地で一番有名なアップルパイ”として人気の「信州完熟りんごのアップルパイ」。20cmのホールの中に6玉もの信州産ふじりんごを使用し、クリームや香料などを一切使わず、パイ生地で包んだアップルパイはお菓子というより、りんごをまるごと味わっているような贅沢なおいしさ。生地の食感も良いアクセントとなり、あっという間に食べられます。
甘いものが苦手という人には、手軽に食べられるハンディサイズのフォカッチャもおすすめ。もっちりとした生地とチーズやベーコンなどの具材が好相性です。飲み物には「信州りんごティー」をオーダー。上高地の天然水で抽出した紅茶と100%りんごジュースを合わせた新感覚のドリンクは、紅茶の芳醇な香りとりんごのさわやかな甘酸っぱさが絶妙にマッチ。
お店のスタッフがイチオシする「りんごソフト」は、りんごフレーバーのソフトクリームに特製のリンゴソースがかかった上高地限定のオリジナルメニュー。河童橋をバックに写真を撮れば、旅気分がグッと盛り上がりますね!
「上高地インフォメーションセンター」でおみやげGET
河童橋から歩くこと約5分、上高地バスターミナルに近接する「上高地インフォメーションセンター」(8~17時)は休憩スペースとして開放されているため、無料で利用できます。館内に入ってすぐ目の前にあるインフォメーションカウンターでは、自然、登山、交通情報など、上高地のあらゆる情報が手に入るばかりでなく、雨具をはじめとした緊急用の登山用品を購入することも可能。授乳に利用できる多目的室などの設備があるのも、うれしいですね。
花が咲き競い、山に群生する木々の緑が一層濃くなるグリーンシーズン。爽やかな高原の自然を満喫できる山岳リゾート上高地は多くの人でにぎわいます。澄みわたる青空をバックに、上高地の自然が織りなす幻想的な風景を楽しめるのは、4月下旬~11月中旬頃までの限られた期間だけ。この時期しか味わえない雄大な自然と、そこに宿る癒しの効果を体感しに訪れてみてはいかがでしょう?
■上高地(かみこうち)
住所:長野県松本市安曇安曇上高地
TEL:0263-95-2433(上高地インフォメーションセンター)
営業時間:8~17時
定休日:4月下旬~11月15日のみ開山
Text:馬場 裕一郎
Photo:松本 千尋
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