築約200年の古民家でゆるりと過ごす里山時間。修験の山やブナの森などで五感を澄ませ、心と体をととのえる旅【小菅の里 七星庵(長野県 飯山市)】
日本の原風景が広がる風光明媚な長野県飯山市。農林水産省の「つなぐ棚田遺産〜ふるさとの誇りを未来へ〜」にも認定された福島棚田が有名です。市内の森や高原では、ハイキングや森林浴、スキーなど四季を通してアクティビティが楽しめますよ♪ なかでも、今回宿泊する一棟貸しの古民家「小菅の里 七星庵」がある小菅地区は、「小菅の里及び小菅山の文化的景観」として国の重要文化的景観に選定されている地域。里山の暮らしや修験道として栄えた文化が今も残る集落です。神秘的な修験の山やブナの森など、自然にふれながら滋味深い山の幸を味わってみませんか。
Summary
築約200年の古民家を丸ごと貸し切り。
里山時間を自分たちのペースでのんびりと
小菅の里 七星庵(宿泊)
戸隠、飯網と並ぶ北信三大修験場の霊山、小菅山へと向かう参道沿いにある「小菅の里 七星庵」。この辺りは古くは修験道として栄えた集落だとか。現在は里山の暮らしを営む民家があるのみで、聞こえてくるのは用水路の流音や風にそよぐ草木の葉音。とても静かな環境でのんびり過ごせますよ。
宿に到着後、連絡を入れると、「小菅の里 七星庵」の担当者がチェックインの受け付けに来てくれます。簡単な説明を受けて鍵をもらったら、チェックアウトまでは自分たちだけのプライベート空間。ここから始まる古民家体験にワクワクしますね!
玄関を入ると広々とした土間があります。築約200年の古民家らしい趣がいたるところに感じられます。一角には農具や蓑笠など昔の道具も展示されていて、タイムスリップしたような気分に。奥にある展示ホールには、小菅集落や飯山に関する資料やパンフレットが置かれているので、土地の歴史や周辺の情報をゲットして。
部屋は天井が高く、木の温もりが感じられる和の空間。古きよき日本家屋の造形美を生かしつつ、快適に過ごせるようリノベーションされています。自動給湯器を備えた風呂はもちろん、2つの洋式トイレと洗濯機も完備しているので、長期滞在にもおすすめです。こちらは6人掛けのテーブルと囲炉裏がある居間。夕食後は、囲炉裏を囲んでのおしゃべりが弾みます。
寝室は、フローリングにベッドが2つと簡易ベッドを備えた鍵付き。ほかには畳敷きの和室もあり、最大6名まで宿泊できます。各部屋は完全に分かれているので、友人同士やファミリー、2家族などで滞在する人もいるそうです。Wi-Fiも完備しているので、ワーケーションにも便利ですね。
和室の窓を開けると、昔ながらの風情を感じる縁側があります。周囲の山並みを眺めながら夕涼みをしたり、気持ちの良い朝日を浴びたり。里山の自然を感じながら、時間が経つのも忘れて心穏やかな時間が過ごせそうです。
飯山駅近くのスーパーや道の駅には、このエリアで数多く生産されているアスパラガス、雪の下で寝かせた甘くてクセのないスノーキャロット、「みゆきポーク」など、飯山の特産品が揃っています。食材を調達したら、宿に戻って自炊を。IHコンロに電子レンジ、炊飯器、調理器具、食器など必要な道具は用意されているので準備万端です。里山料理のケータリングを頼みたい方は、宿泊予約の際に相談を。希望があれば収穫体験もできますよ(料金は要確認)。
■小菅の里 七星庵
住所:長野県飯山市瑞穂6048
交通:上信越自動車道豊田飯山ICから車で約30分、またはJR飯山駅から車で約20分、JR戸狩野沢温泉駅から車で約10分
TEL:0269-67-0745
チェックイン:15~19時
チェックアウト:11時
料金:施設利用料1泊1万6500円~+大人1名1泊5500円~
北信濃三大修験場のひとつへ。
装束をまとい本格的な山伏体験に出発
小菅山(体験)
小菅山は、修験道の開祖・役小角(えんのおづぬ)によって開山されたと伝わる霊山。最盛期には、数百人もの僧侶や修験者がいたという聖なる山を、山形県出羽三山で修行した現役山伏・志田さんと歩きます。宝冠とよばれる白い布を、角を作るように頭に巻き、穢れを祓うとされる注連(しめ)を首にかけたら準備はOK。法螺貝の音が響き渡ったら、いざ出発です。
志田さんの案内のもと、小菅神社里社、観音堂など小菅地区の史跡を巡り、いよいよ三の鳥居から小菅神社奥社に続く参道へ。樹齢約300年といわれる杉並木が道の両脇に600mほど続きます。志田さんが腰に下げた鈴の音色が響くなか、厳かな空気を感じて苔むした石畳を黙々と進んでいくと、徐々に心が澄んでいくから不思議。途中、愛染明王が祭られている愛染岩、弘法大師が投げ入れた筆が石仏になったとされる不動岩など、登拝スポットで神拝詞を唱えます。実際の修行では、スマートフォンの使用が禁止で、口にできる言葉は「うけたもう」のみだとか。修験道の厳しさがうかがえます。
鎖場(くさりば)など険しい山道を辿り(迂回路もあり)、標高約900m付近の小菅神社奥社に到着。断崖を背にひっそりとたたずむ奥社では、志田さんが法螺貝を吹き、みんなで手を合わせて参拝します。参拝後は来た道を戻って体験は終了。神聖な山のパワーにふれ、下山後はほんの少し生まれ変わったような気持ちに。時間に余裕があれば標高約1047mの小菅山山頂まで足を延ばしたり、下山後に御朱印をもらったり、小菅神社正式参拝のうえ登拝証を授かったり。要望があれば対応してくれるので、興味のある人はぜひ!
■小菅の里 七星庵 山伏体験
住所:長野県飯山市瑞穂6048 小菅の里 七星庵
TEL:0269-67-0745
交通:上信越自動車道豊田飯山ICから車で約30分、またはJR飯山駅から車で約20分、JR戸狩野沢温泉駅から車で約10分
料金:体験料1名1万1000円+神具レンタル代1650円(2名から)
※予約は「小菅の里 七星庵」へ。体験日時、内容は応相談
ハート形の湖は恋愛のご利益あり!?
森林セラピー®ウォーク&ヨガで気分爽快
信越自然郷アクティビティセンター(体験)
三方を山に囲まれた森の中の湖・北竜湖。かつては竜が棲んでいた、鯉が乙女に恋をしたなどの伝説が残されており、ハートの湖形と小菅山のご利益から恋愛成就のパワースポットとしても有名です。ここでは、湖の周囲に整備された周遊散策コースのウォーキングと、湖畔でのヨガにチャレンジできますよ。
北竜湖の案内人は、「Snow Crystal Yoga & Wellness」を主催するヨガインストラクターで森林セラピー®公認ガイドのヒロミ先生。幼少期は北竜湖が遊び場だったという、周辺の自然を知り尽くす北竜湖通です。リラックス効果が得られる呼吸法を学んだら、森林セラピー®ウォークがスタート。緑の中を歩きながら、杉の葉の香りや感触を楽しみ、鳥の鳴き声に耳を傾けます。そのうちにどんどん五感が研ぎ澄まされて、自分が自然の一部になったような気分に。紅葉に染まる秋、スノーシューを履いて雪景色の中を歩く冬と、季節ごとに違った魅力を体感しに行きましょう!
散策コースを半分ほど進むと、太鼓橋でつながる小島・弁天島に到着。ここでヨガを行います。ヨガのレベルやウォーキングは、参加者の要望に沿って調整してくれるので、「森を静かに歩きたい」「運動不足を解消したい」など、予約時に伝えておきましょう。
おいしい空気をたくさん吸って筋肉を伸ばせば、大自然のリラックス効果も相まって心も体もほぐれていくことを実感できます。ヨガ終了後は残りの散策路を歩いて出発地点へ。来た時よりもリフレッシュできること間違いなし!
■信越自然郷アクティビティセンター
住所:長野県飯山市飯山772-6 飯山駅1F
TEL:0269-62-7001
交通:上信越自動車道豊田飯山ICから車で約15分、またはJR飯山駅直結
営業時間:「森林セラピー®ウォーク&ヨガ」3時間コース 9〜12時、5時間コース 9〜14時
料金:「森林セラピー®ウォーク&ヨガ」1名 3時間コース 6600円~、5時間コース 1万5400円~
なべくら高原のブナの森で、
森林セラピー®の癒やし体験を
なべくら高原・森の家(体験)
飯山市は、林野庁が認定する「森林セラピー®基地」第一号のひとつです。樹齢約200年にもなるブナの天然林が残るなべくら高原は、市内にある森林セラピー®基地のメイン拠点。森での食体験や冬のスノーシューツアーなど、四季を通してさまざまな自然体験が楽しめます。「森林セラピー®」とは、森の癒やしやリラックス効果を科学的に解明し、健康維持や促進に生かす試み。そうした森の効果が認められ、ウォーキングロードやプログラム等が整備された地域が「森林セラピー®基地」として認定されています。今回は森に癒やされるべく「森林セラピー®散策」を体験しました。
「このプログラムの目的は、森で癒やされて本来の自分を取り戻すこと。森に対して緊張感や不安を覚える人もいますが、緊張を和らげるためにニックネームで呼び合ったり、最初は整備された木道を選んだりと、参加者に合わせて内容を考えています」と森林セラピー®公認ガイドの小林さん。敷地内に広がるブナの森には、未舗装の遊歩道や、ウッドチップを敷き詰めた1周約1.2km の森林セラピー®ロード「里山のこみち」などがあります。小林さんの興味深いお話を聞きながら、歩を進めましょう!
散策コースの中でも人気があるのが「ハンモックの森」です。ハンモックの揺れに身を任せ、見上げる景色は空とブナの森だけ。時が経つのを忘れて、自然との一体感を味わいましょう。どっぷり森に浸りたいという人は、脈拍を計測してストレス度などの確認(希望者のみ)もできる3時間コースがおすすめ。なべくら産ハーブティー&スイーツ付きで、女子にはうれしいお茶休憩もたまりません。
■なべくら高原・森の家
住所:長野県飯山市照岡1571-15
TEL:0269-69-2888
交通:上信越自動車道豊田飯山ICから車で約40分、またはJR戸狩野沢温泉駅から車で約15分
営業時間:5~11月午前の部9時~、午後の部13時30分~
料金:「森林セラピー®散策2時間コース」2名参加1名6000円、3名~参加1名5500円
古民家を改装した趣深いレストラン。
山で採れた食材を会席仕立てに
旬菜料理 はたの(食)
自然に寄り添った暮らしにあこがれ、愛知県からこの地に移住したという羽多野さん。ご夫妻で古民家レストラン「旬菜料理 はたの」を営んでいます。だしをとる鰹と昆布以外は、可能な限り地元でとれる旬の食材を使うことが料理の信条だとか。ご主人自ら毎日のように山へ行き、山菜やきのこを採取。その日の食材から献立を考えるため、どんな料理が味わえるかは行ってからのお楽しみです。昼・夜ともに2組限定の完全予約制なので、予約はお早めに!
料理は八寸から始まり、お椀、お造り、焼物などが順番に供される会席スタイル。「小菅の里 七星庵」での夕食用に仕出し弁当を頼みたい人は予約を!
写真は「朱」コースの一部。八寸には飯山特産の根曲がり竹の木の芽味噌、あさつきのだし巻きなど、お造りはイワナに信州サーモン、熟成鯉を泡醬油と梅の酢味噌ジュレで。ほかにも鯉の登竜門焼や季節の天ぷらを添えた湯葉豆腐、郷土料理の富倉そばなど7品ほどに、水菓子とお薄が付きます。古民家の雰囲気に合うようにと、器も約200年前の古い器を使っているそう。色鮮やかな盛り付けにうっとり。素材を生かした味わいもニクイ!
■旬菜料理 はたの
住所:長野県飯山市旭644
TEL:0269-67-0393
交通:上信越自動車道豊田飯山ICから車で約20分、またはJR飯山駅から車で約10分
営業時間:11時30分~14時、17時30分~21時
定休日:不定休
料金:ランチ限定コース「透」4400円、昼・夜共通コース「朱」5500円、「黒」7700円、「白」9900円
※完全予約制
旬の特産品や銘菓が揃う道の駅で、
食材の調達やお土産探しを
道の駅 花の駅 千曲川(体験)
お土産コーナーやカフェ、観光情報が充実し、アクティビティ体験ができる道の駅。地元の人にも人気なのが農産物直売所です。地元農家さんたちが丹精込めて育てた、鮮度抜群の旬の野菜や果物、お花が並びます。米どころでもある飯山の米粉を使った手作りスイーツなどもおみやげに最適。お土産コーナーでは、そばや地酒、飯山の伝統工芸品やオリジナルグッズなども販売しています。
「Café里わ」では、地元の旬の食材を使ったオリジナルメニューやランチメニュー、カフェメニューが楽しめます。「里わカレー」や「たまごかけごはん」が評判です。また、地域のアンテナショップとして市内にある菓子店の商品が勢揃いしているので、お土産探しにもぴったり。スノーキャロットやりんごといった特産品の「ソフトクリーム」も人気です。
飯山市の国道117号線沿いにある道の駅。2023年11月、アウトドアショップ「モンベル」と観光案内とE-bikeやアウトドアギアのレンタルを行う「ビジターセンター」が新設されて、さらに利用しやすい道の駅になりました。
■道の駅 花の駅 千曲川
住所:長野県飯山市常磐7425
TEL:0269-62-1887
交通:上信越自動車道豊田飯山ICから車で約20分、またはJR飯山駅から車で約10分
営業時間:直売所・お土産コーナー8~17時(Café里わは7時30分〜16時30分LO)
定休日:直売所・お土産コーナーは夏期無休(冬期は毎週木曜)、Café里わは月1回木曜(冬期は毎週木曜)
●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
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