元大相撲力士が営む農家屋敷の宿におこもりステイ。ちゃんこ鍋と五右衛門風呂で心も体もほっこりと【二百年の農家屋敷 宮本家(埼玉県 小鹿野町)】
特急を利用して池袋から約1時間20分の秩父地方。春は芝桜、夏は荒川の支流での川遊び、秋は紅葉、冬は氷柱と一年を通じて楽しめる人気のエリアです。「二百年の農家屋敷 宮本家」はそんな豊かな自然の中にある築200年を超える農家屋敷の宿。地元産の素材をふんだんに使った料理と温泉で、スローライフが体験できます。さらに関東屈指のパワースポットの三峯神社や秩父の札所など、ご利益のある寺社もエリアに点在。名物グルメの食べ歩きもできて、充実した旅になること間違いありません。
Summary
元大相撲力士が営む古民家宿で、
囲炉裏の串焼きと地酒を楽しむ夕べ
二百年の農家屋敷 宮本家(宿泊)
宮本家がある埼玉県小鹿野町は、豊かな自然が残る里山。古くから養蚕業が盛んだった地で、行商に来た人が当時農家だった「宮本家」に泊まっていくということもあったそう。正門を入ると、樹齢100年を超える松や明治初期に掘られた井戸のある庭が出迎えてくれます。チェックインは元馬小屋だった馬場帳場で。女性用の色浴衣や力士浴衣の中から好みの浴衣を選び、風情ある旅が始まります。
「二百年の農家屋敷 宮本家」には、農家屋敷の歴史を伝える母屋と別邸があり、客室が母屋に3室、別邸に4室の計7室のみといった贅沢な造りになっています。こちらの写真は母屋2階にある元力士当主考案のコンセプトルーム「力士の間」。和室6畳+8畳+寝室という広々とした部屋で、屋敷の主人になったような気分で過ごせます。母屋は代々受け継がれてきた昔ながらの屋敷が改築されたもので、200年超の歴史がある農家屋敷らしい雰囲気に心が落ち着きます。
こちらは別邸にある隠居の間。日本庭園を眺める10帖の和室にベッド、半露天風呂付きの客室です。純和風の趣ながらベッドが用意されるなど、現代の快適さを兼ね備えています。風呂上りに縁側で夕涼みするのも心地よいひととき。
別邸は松本城の修復も手掛けた宮大工が釘を使わずに2年かけて建てたもので、2010年に完成しました。「外は古民家、中は機能的」と当主が言うように、古民家の風情を満喫しつつ、快適な滞在ができると人気です。母屋でも別邸でも、約200年前にタイムススリップしたような気分を味わえるのがこの宿の魅力。
大浴場はなく、風呂はすべて貸切です。薪で湯を沸かす五右衛門風呂のような大釜風呂や広々とした湯船が自慢の庭園風呂などでは、窓から庭園越しに千束峠まで見渡せ、季節の移ろいを湯に浸かりながら楽しめます。良質なアルカリ性の温泉で日々の疲れもすっきりしますよ。全6室に対して貸切風呂は4つですが、風呂の付いた客室もあるので、いずれものんびりと湯を楽しめます。
夕食前には「蔵バー」で食前酒をいただきます。宮本家の庭や秩父の山で採取してきた木の実や果実を使った50種類ほどの自家製果実酒の中から好きなものをチョイス。カリンや梅、イチゴ、黒文字、マタタビなど…。のど越しの良さにもう一杯と言いたくなりますが、35度のアルコールに漬けているので、食前酒は一杯にしておきましょう。
実は12代目当主は元大相撲力士の剣武関。バー2階には宮本家が大切に保存しているひな人形や五月人形とともに、当主が現役時代に使っていた化粧まわしや親交のあった力士からの浴衣地、断髪した際の髷などが展示されています。化粧まわしを付けたような写真が撮れるフォトスタンドも。力士気分で記念の一枚をどうぞ。
「二百年の農家屋敷 宮本家」でのお楽しみは何といっても食事。直営農園で採れた野菜をはじめ、地元産の素材を使った料理がお膳にズラリと並びます。囲炉裏で焼く串焼きなどは、野菜がメイン。調理法や味付けにバリエーションがあり、野菜のもつポテンシャルの高さにもびっくりします。また、秩父には酒蔵も多く地酒も多く揃います。串焼きの味が引き立つお酒を見つけましょう!
夕食のメイン料理は元力士である当主直伝のちゃんこ鍋。この鍋を食べるためにここを訪れる人も多いそう。たっぷりの野菜や団子などからの旨味が溶け込んだスープは、何とも例えようのないまろやかかつ深い味わい。ほっこりと温まりつつ、「二百年の農家屋敷 宮本家」ならではの味に心もおなかも満たされます。
■二百年の農家屋敷 宮本家
住所:埼玉県秩父郡小鹿野町長留510
TEL:0494-75-4060
交通:関越自動車道花園ICから車で約40分、または西武秩父駅より送迎あり(要予約)
チェックイン:14~17時
チェックアウト:10時
宿泊料: 1泊2食付き2万3500円~(2名利用時、サービス料・税込、別途入湯税150円)
秩父の隠れ名産物は味噌。
農家の数だけ味がある「秩父おなめ」をお土産に
ヤマブ味噌工場(体験)
秩父は、四方を山に囲まれ夏は暑く冬は寒くなります。寒暖の差が大きく、おいしい水にも恵まれた味噌の醸造に適した土地。また古くから大豆と麦の産地だったこともあり、このエリアではどこの農家でも自家製の麦みそを作っていたのだとか。秩父で有名な「ヤマブ味噌」こと、「新井武平商店」では昭和4年(1929)から麦みそを中心にこだわりの味噌を製造しています。
秩父味噌の看板商品は、「麦麹田舎みそ」500g454円~。色が濃いのは発酵熟成をさせているからで、アミノ酸が豊富に含まれている証拠です。1年かけて寝かせているので、旨味もたっぷり。米麹で作る「黄金みそ」500g653円~と合わせて味噌汁にすると味に深みが増して、おいしさもアップします。
そして、秩父の食卓に欠かせないのが「秩父おなめ」324円~。おなめとはもろみのことで、大麦と大豆で作る発酵食品です。農作業の合間に食べられていたそうで、農家の数だけ味があるといわれるほど秩父では定番のご飯のお供。お土産にし、まずは炊きたてのご飯で味わってみて。また、秩父味噌をより身近にと作られた「みそソフト」400円は、麦みそをバニラアイスとミックスしたもの。味噌のしょっぱさがアイスの甘さを引き立てます。秩父散策の食べ歩きにどうぞ。
■ヤマブ味噌工場
住所:埼玉県秩父郡皆野町皆野573-2
TEL:0494-62-0156
交通:関越自動車道花園ICから車で約25分、または秩父鉄道皆野駅から徒歩約11分
営業時間:9~17時
定休日:土・日曜、祝日
季節のフルーツにシイタケ狩り。
農園で「採りたての完熟」をもぎとって
小松沢レジャー農園(体験)
東京ドーム1個分の広さを誇る「小松沢レジャー農園」。ぶどう狩り、いちご狩り、シイタケ狩り、さつまいも掘り、マス釣り・マスつかみ取り、手打ちそば・手打ちうどん体験など、季節によってさまざまな体験ができる農園です。甘い匂いに誘われて園内へ。夏にはブドウ棚にたわわに実るシャインマスカットや巨峰などが観光客を出迎えてくれます。
今回は一年を通じて体験ができる、シイタケ狩りにチャレンジ。スタッフの町田さんが丁寧にレクチャーしてくれます。まずは採り方を、次に見分け方を教えてもらいました。すぐに食べるなら「傘が開いているもの」が完熟でおすすめなのだとか。傘が閉じているものより、旨味成分であるグアニル酸が3割ほど豊富だそうです。シイタケ焼きコーナーで採りたてを焼いて、その旨味を存分に味わいましょう。
園内をぐるりと回るハイキングコースもあり、秋には千本以上の紅葉が色づいて赤く染まった山林を散策できます。ハイキングコースの途中にあるハンモックハウスからは、秩父を代表する山、武甲山が眺められます。旬の素材を食べて、歩いて、ハンモックで風に吹かれながらゆったりと過ごす。途中でお昼寝も可能なゆるいハイキングを満喫してください。
■小松沢レジャー農園
住所:埼玉県秩父郡横瀬町横瀬1408
TEL:0494-24-0412
交通:関越自動車道花園ICから車で約40分、または西武横瀬駅から無料送迎バスあり
営業時間:9時45分~16時(食事処は10時30分~15時)
定休日:不定休
料金:シイタケ狩り700円(200g付き)
※未就学児童無料
※料金は変動の場合あり
地元のお母さんに習って、
三たてで作った秩父そばは格別
あらかわ亭(体験・食)
秩父に来たら食べたいものといえば、そば。荒川地区には60軒を超すそば農家があり、約17haのそば畑が広がります。6月上旬から中旬と9月下旬の年2回、白いそばの花が畑を埋め尽くす美しい景色も見られるのだとか。そのせいかこのエリアを車で走るとあちこちでそばの看板を発見。今日は「あらかわ亭」に訪れました。
「あらかわ亭」でそばを食べたあとは、そば打ちに挑戦。秩父では客人をそばでもてなす文化があり、今でも人が集まる席には家庭で手作りするそばが欠かせないそう。今日の講師である井上さんもお母様が作る様子を見よう見まねで覚え、そばを打てるようになったそうです。おいしいそばを作るポイントは「よくこねること」。つやとねばりが出るまで根気よくこねることで、コシのあるそばに仕上がります。
そばが一番おいしくいただける条件は、挽きたて・打ちたて・茹でたての三たて。「あらかわ亭」では100%荒川地区で栽培されたそばを石臼で挽いています。挽きたての粉を使って自分の手で打ち、店の大きな鍋で茹で上げたそばは、のど越しも良くコシがありました。太さが均一でないところはご愛嬌。自分で手打ちしたそばの味は格別です。
■あらかわ亭
住所:埼玉県秩父市荒川上田野1431
TEL:0494-54-1251
交通:関越自動車道花園ICから車で約45分、または秩父鉄道武州中川駅からすぐ
営業時間:10~15時
定休日:12~2月の火曜(祝日の場合は翌日)
料金:そば打ち体験6000円(4名分1セット)※所要時間1時間30分~2時間
フルーツ街道にあるワイナリーで、
工場見学とワインの試飲を
兎田ワイナリー(体験)
秩父市の旧地名である「兎田(うさぎだ)」エリアは、市街地が雨でもここでは降らないというほど、雨量が少なくブドウ栽培に適している地域。「兎田ワイナリー」では約2haの農地に約6600本ものブドウの木を栽培し、ワインを造っています。栽培しているのは、シャルドネやメルロー、マスカット・ベーリーAなど。自家農園のブドウに加え、契約農家のブドウを使い年間約4万本のワインを醸造しています。
ワインを製造する様子を見学するためにワイナリーへ。醸造や瓶詰めなど、見学できる作業内容は季節により異なります。「兎田ワイナリー」では、地元産のフルーツを使ったフルーツワインや、地元ウィスキーメーカーから譲り受けたウイスキー樽を使用したウイスキーフィニッシュのワインなど、オリジナリティあふれるワインを醸造しています。「今後はスパークリングワインなども作りたい」と代表の深田さん。ワインへの情熱が止まりません。
お楽しみのテイスティングは、ワイナリーから徒歩3分の売店で。秩父産ブドウを使用したワインや、地元産果実を使用したフルーツワインなど、さまざまな種類のワインが試飲できます。県内でもフルーツワインを製造しているワイナリーは少ないのでぜひ試したいところ。販売しているすべてのワインを試飲できるので、お気に入りの味を見つけてお土産にしましょう。
■兎田ワイナリー
住所:埼玉県秩父市下吉田3720
TEL:0494-26-7173
交通:関越自動車道花園ICから車で約30分、または西武秩父駅から秩父吉田線バスで約40分、吉田上町下車徒歩約10分
営業時間:10~17時
定休日:月曜
※農場・工場見学については要問合せ
昭和初期に建てられた古民家が、
レトロでおしゃれな創作キュイジーヌレストラン
Restaurant MARUJU(食)
西武秩父駅や秩父駅の周辺は、レトロな建物や街並みが残るエリア。明治中期から昭和初期にかけて建てられた建物がカフェや飲食店として現在も利用されています。2022年8月に開業した「NIPPONIA 秩父 門前町」も古民家3棟をリノベーションした施設のひとつ。明治元年~昭和初期に建てられたマル十薬局はフロント、客室5室とレストランに、昭和初期築の小池煙草店と宮谷履物店は客室3室とカフェに生まれ変わりました。
「NIPPONIA 秩父 門前町」の1階、通りに面した「Restaurant MARUJU」は、宿泊客以外でもランチ、ディナーともに利用できます。古民家らしいしつらえの落ち着いた店内で食事を楽しむ至福の時間。レストランで使用する食器などは地元秩父で活躍する作家のもの。受付カウンターの壁にある檜のロゴも秩父の職人作です。
ニジマスや鹿肉、味噌などをはじめ秩父産の季節の食材を創作フレンチで味わえます。ランチはプリフィクススタイルで、夜はコースで提供。ワインだけでなく、日本酒とのマリアージュも楽しみながら、秩父の素材のもつ力強さや旨味を堪能してみて。
■Restaurant MARUJU
住所:埼玉県秩父市宮側町17-5(NIPPONIA 秩父 門前町 MARUJU棟)
交通:関越自動車道花園ICから車で約40分、西武秩父駅から徒歩約15分
営業時間:12~15時(14時LO)、18~22時(21時30分LO)
定休日:月曜
※ディナーはコースのみ(18~19時スタート限定)
※ランチ、ディナーともに4日前までに要予約
●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
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