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茶園の町で上質な茶を味わい、茶の心を知る。お茶づくしの特別な時間と空間を満喫する旅【一棟貸切宿「茶心」(宮崎県 新富町)】

茶園の町で上質な茶を味わい、茶の心を知る。お茶づくしの特別な時間と空間を満喫する旅【一棟貸切宿「茶心」(宮崎県 新富町)】

食・グルメ 農泊 古民家 体験 宮崎県 るるぶ&more.編集部
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日向灘に面した宮崎県児湯郡新富町は、宮崎空港から車で約30分の所にあるのどかな町。自然も豊かで、太平洋を臨む海岸線はアカウミガメの産卵地にもなっています。特筆すべきは、宮崎県が知る人ぞ知る茶の産地であるということ。田園地帯にたたずむ一棟貸切宿「茶心」は、宮崎県が誇る茶を学び、味わいながら心静かに過ごすことができる特別な宿。日本のわびさびにふれる特別な旅がここにあります。

Summary

しつらえが美しい伝統的な日本家屋で、
お茶とともに過ごす時間をゆるりと

一棟貸切宿「茶心」(宿泊)

一棟貸切宿「茶心」は、畑や水田に囲まれた田園地帯に立つ約57坪の日本家屋。一棟を、一日一組限定で貸し切りにできるので、家族やグループで利用するのもおすすめです。もともと空き家でしたが、広い庭園をもつ旧家を有効活用するため体験型宿泊施設へとリノベーションされ、「お茶の心を体験する宿」として2019年5月にオープンしました。伝統的な日本家屋とリノベーションされた空間の融合が魅力です。

宿に到着すると、手入れの行き届いた美しい庭園がお出迎え。風格ある玄関の小上がりの先には縁側が延びていて、上質なしつらえに期待が高まります。足に心地いい板張りのダイニングキッチン、ふかふかのソファが並ぶリビング、その奥には23畳の広い和室も、プライベードな時間を過ごすのに最適な空間です。

キッチンには新富町を代表する日本茶専門店「新緑園」や「夢茶房」の茶葉、有機JAS認定圃場で作られた豊緑園の「もりもっ茶」を数種類ずつ常備。ウエルカムドリンクとしてはもちろん、厳選されたこだわりのお茶を、好きな時間に好きなだけ味わえるのもうれしい限りです。

部屋では、茶のアロマである「茶香炉」も体験できます。香炉の上に茶葉がのっているので、あとはキャンドルに火を灯すだけ。1時間もすれば、茶葉が香ばしく香り始めます。リビング、和室、寝室などにも置かれているので、部屋中が心地よい茶の香りに。

この宿の魅力のひとつが、23畳の広さがある和室の瞑想ルーム。ヨガマット、リラックスソファ、座ふ(坐禅用座布団)が常備されていて、じっくりと時間をかけて瞑想・禅・ヨガを体験できます。茶の香りを感じながら、静かに目を閉じるひととき。瞑想の合間にお茶を飲み、身体全体で新富町の茶を体験する、お茶づくしの時間に癒やされます。

夕食は新富町の飲食店で味わったり、食材を調達してキッチンで調理したりすることもできます。夜にぜひチャレンジしたいのが、広い庭でできる焚火。薪やガスバーナー、折りたたみチェアなど道具一式をレンタルできます。焚火を囲みながら、家族や仲間と楽しい会話をしたり、星空を眺めたり……。揺れる炎を眺めていると、日々の忙しさを忘れられそう。

寝室はベッドルームの個室が用意されていますが、23畳の瞑想ルームに布団を敷いて寝ることもできます。大広間で仲間と大の字になって寝るのも旅の醍醐味です。

またバスタブも広く風呂場も快適。今治タオルも用意され、湯上りもさっぱりです。

朝は茶香炉によるアロマ効果で、目覚めもすっきり! 朝食は、ほうじ茶を使った茶粥と、地元の漬物が用意され、とても健康的です。米も新富町産。「オーガニックファームZERO」の有機米を使用しています。とろけるような舌ざわりとほんのりとした米本来の甘みがたまりません。朝一番のお茶を味わいながらゆっくりとモーニングタイムを過ごしましょう。

ほうじ茶は、全国茶品評会で農林水産大臣賞を4度も受賞した「新緑園」のもの。口に運ぶごとにふんわりと香ばしい香りと味わいが広がり、そのおいしさに思わずおかわりしてしまいました。1泊2日のお茶づくしで心も体も満たされて、明日からのエネルギーが充填。日本茶の魅力を再発見しました。

■一棟貸切宿「茶心」
住所:宮崎県児湯郡新富町新田15499-2
TEL:0983-32-1082
交通:東九州自動車道西都ICから車で約15分
チェックイン:15~20時
チェックアウト:11時
料金:1泊朝食付き2名3万円、4名4万円

 

緑が広がる丘陵地の茶畑散策と、
おいしい茶を淹れる楽しみを学ぶ

夢茶房(体験)

なだらかな丘が広がる新田原台地に約6ヘクタールの茶園をもつ「夢茶房」。昭和元年(1926)より続く茶園で、春から夏にかけて年に3回収穫を行っています。育てられているのは、有機肥料を主体に化学肥料を使わない減農薬の茶葉。それも「力強い芽」を作ることにこだわっているそうです。こちらでは、工場見学とともにおいしいお茶の淹れ方を教えてもらいます。

まずは大きな機械が並ぶ工場へ。摘み取られた新芽は約80度で蒸し、揉んだり打ったりしながら水分を飛ばします。茶葉が勾玉のような形になる「ぐり茶」を経て、茶葉をまっすぐに伸ばしながら乾かし、さらに保存性が高まるまでしっかりと乾燥させます。乾かす行程だけで全部で6回行われることも。それを経てようやく「荒茶」として出荷できるようになります。「夢茶房」の緑茶は生葉をじっくり蒸しているので、マイルドなコクが出ます。まるでエスプレッソのような深みのある味わいに驚きが隠せません。

工場見学のあとはいよいよ、お茶を味わう体験です。おいしいお茶を淹れるにはお湯の温度が大切。お湯が熱すぎると渋みが強くなるので、少しクールダウンさせます。湯呑にお湯を一度注ぎ、75度前後、手で持てるくらいの状態まで冷まします。急須に一人分(約3g)の茶葉を入れ、湯呑に入っていたお湯を注ぎ入れます。抽出時間は約30秒。用意した湯呑に少しずつ順番に注ぎ入れると、分量や色が均等になります。最後の一滴に旨味が凝縮されているので、しっかり注ぎ切ります。

こちらでは抹茶を石臼で挽いて味わう体験も可能。抹茶専用茶葉の「てん茶」を臼でゆっくり挽いていきます。鮮やかな緑色に思わず「キレイ!」と声が。それを抹茶専用の器に入れ、約80度に冷ましたお湯を注ぎ入れます。

茶せんで溶くように混ぜ、きめ細やかな泡が立てば完成。できたての抹茶は味わい深く、一服するごとに気持ちもゆるりとほどけていきます。代表の安積一仁さんは「ペットボトルなどで簡単に味わうお茶だけでなく、急須を使い自分で淹れて味わうことの素晴らしさを、この体験で実感してもらいたいと願っています」と思いを語ってくれました。

■夢茶房
住所:宮崎県児湯郡新富町新田1113-14
TEL:0985-21-1324
交通:東九州自動車道長崎ICから車で約15分
体験時間:午前の部10時30分~12時、午後の部13時30分~15時
定休日:木曜
料金:①お茶の焙煎体験 3000円(所要約1時間30分~)
   ②ほうじ茶作り体験 3500円(所要約2時間、①の体験も含む)
   ※いずれも2日前17時までに要予約
   ※最少催行人数 2名

自家製の米と国産のうなぎを甘めのタレで、
養鰻の名地で人気の蒲焼きを味わう。

うなぎのかわの(食)

新富町はお茶だけでなく農業も盛んです。ピーマン・キュウリ・トマトなどの野菜類に、ライチやマンゴーなどのフルーツ、そして米どころでもあります。さらにブランド牛肉・豚肉・鶏肉の畜産やうなぎの養殖も行われている食の豊かな町なのです。今日は、国産のうなぎを使った蒲焼きが評判の店にやって来ました。

一番人気の「うなぎ定食」3600円は、照りが入ったうなぎの蒲焼きと、店主の河野さんが大切に育てたコシヒカリを使用したご飯、そして自家製の漬物が揃った贅沢なお膳です。汁は、ふわふわの大豆がたっぷり入った宮崎の定番味噌汁の「ご汁」。メニューはほかにも「うなぎ丼」2350円や、「うな重」3600円などがあり、どれにしようか迷ってしまいます。

うなぎの蒲焼きは、炭火でじっくりと焼かれ、少し甘めのタレが特徴です。ツヤツヤのコシヒカリに蒲焼きをのせ味わえば、口の中が幸せいっぱいになります。タイミングが合えば地元を流れる一ツ瀬川でとれた天然うなぎをいただけることも。テイクアウトもあるので、おみやげにもよさそうです。ただし人気店なので、うなぎがなくなり次第閉店になることも。予約してからの来店が安心です。

■うなぎのかわの
住所:宮崎県児湯郡新富町上富田7634-3
TEL:0983-33-0540 
交通:東九州自動車道西都ICから車で約15分
営業時間:11時~18時30時ころ(売切れ次第終了)
定休日:月曜(都合により休みになる場合あり)
※予約が望ましい

挽きたて、打ちたて、湯がきたて。
新富町の有志に育てる町自慢の十割そば

そば処 しんとみの郷(体験・食)

新富町でそばの生産は、宮崎県全体に甚大な被害を及ぼした口蹄疫(こうていえき)の被害で活気がなくなってしまったこの町を「地域の特産品でなんとか盛り上げたい」という町民の思いから始まりました。特定非営利活動法人「しんとみの郷」が中心となって、10年前からそば作りを行っています。実際にそば打ちを体験して、挽きたて、打ちたて、湯がきたての味をじっくり楽しみましょう。

そば打ち体験は理事長の中下和幸さんによる新富そばの説明から始まります。説明のあと、中下さんが手本を見せてくれます。作るのは100%そば粉とつなぎの水だけという十割そば。少しずつ水を足しながら「練り」へと入ります。生地に艶が出たら「伸ばし」へ。薄く四角の形にするのがなかなか難しい作業です。

最後に生地を折りたたんだら、いよいよ「切り」です。大きい包丁を使い、均等の太さになるよう集中して小気味よく切っていきます。

体験のあとは、打ちたてのそばをおいしくいただきます。挽きたてのそば粉を使い、自分の手で打ったそばの味は格別。南国宮崎の温かい気候で育つ新富のそばは、香りという点では物足りないところもあるようですが、打ちたてをすぐに茹でて味わうことで、そばの風味が最大限に引き立ちます。

■そば処 しんとみの郷
住所:宮崎県児湯郡新富町富田2-5-2
体験場所:宮崎県児湯郡新富町富田2-39
TEL:0983-32-1082(体験窓口:こゆ地域づくり推進機構) 
交通:東九州自動車道西都ICから車で約15分
営業時間:体験9~11時、14~16時
定休日:木曜 
料金:約2時間の体験 2500円(要予約2~4名限定)

海岸線沿いの湖に奈良県と宮崎県を結ぶ、
日本古来の蓮が美しく群生

湖水ヶ池(体験)

池一面に群生する蓮が美しい「湖水ヶ池(こみずがいけ)」は、周囲が約1km、面積は7ヘクタールほどあり、海岸線に沿って細長く延びています。「湖水ヶ池」は池のほとりにある「水沼神社」のご神体。神社にまつわる伝説が池の名前の由来です。大切な娘のお鶴が池から帰って来ないことを父が嘆いていると、湖の上に髪を乱したお鶴が現れて池の中へと消えてしまいます…。父がもう一度姿を見せてほしいと叫ぶと、たちまち池全体に暗雲が立ち込め、雷光とともに大きな龍が現れ遠くの空へと飛び立っていったのだとか。それはお鶴が化身した龍だったのです。そうした言い伝えもあってか、この湖は「子見ずの池」とよばれていましたが、次第に訛って「湖水ヶ池」となりました。

湖水ヶ池の蓮は、江戸時代にこの地を治めていた高鍋藩七代藩主・秋月種茂が、食料に困る農民を救うため大和の国から種を持ち込み植えたのが始まりといわれています。そのためか、奈良県に現存する日本古来の在来種の蓮と品種が同じであることが遺伝子的にも確認されています。また、この池でとれる蓮は、断面から長く糸を引くほど粘りが強いのが特徴。細長く食物繊維も豊富です。

蓮の花の見頃は7 月中旬から8月中旬ごろ。昼を過ぎると花が閉じてしまうので、花が咲く早朝から午前中までがベストタイム。緑色の蓮池の中に咲く白い花は可憐で美しく、うっとりするほど。時折ピンクの花を見つけるとさらにうれしくなります。その美しい景観を楽しむなら朝早くから出かけましょう。

■湖水ヶ池
住所:宮崎県児湯郡新富町日置(「湖水ヶ池公園」と検索)
交通:東九州自動車道西都ICから車で約20分
営業時間:見学自由

宮崎県の茶農家から茶葉を厳選。
世界に誇る日本茶を試飲して選べる

日本茶専門店 新緑園(食)

「日本茶専門店 新緑園」は宮崎県の茶の生産者とともに、おいしい日本茶を届けている茶園。全国茶品評会「玉緑茶部門」において、日本一である「農林水産大臣賞」を4度受賞(出典:農林水産大臣賞受賞者一覧)するなど、素晴らしい経歴を持っています。代表の黒木信吾さんは全国に10名ほどしかいない「茶鑑定緑9段」のひとり。茶匠として茶の甘み、苦み、渋み、香りなどあらゆる品質を見極めてブレンドし、宮崎県が誇る日本茶を生み出しています。

緑に囲まれた新富町の店では、季節ごとのおいしい日本茶が販売されています。茶の種類も豊富なので、味が気になったらスタッフへ声をかけて。季節のおすすめのお茶を試飲しながら選ぶことができます。特に目を引くのが「まれもの」。2018年 の「Great Taste Awards (英国)」で「3つ星」を受賞するなど、世界に認められた逸品です。稀にしか手に入らない茶葉だけを集め、黒木茶匠が厳選して仕上げています。

こちらのお茶の中には、全日空国際線のファーストクラスで採用されている本格的な煎茶もあります。店内ではこの煎茶を、新富町を象徴する動植物がデザインされた「空飛ぶお茶ミニ茶箱」1836円として販売。ティーバッグですが、まるで急須で淹れたような味わいと高い評価を得ています。

また、4~10月限定で味わえる「抹茶ソフトクリーム」450円は、宮崎県の生乳と宇治の抹茶がコラボしたもの。ひと口がとにかく濃厚で、大納言小豆と抹茶の粉末が絶妙なアクセントに。

■日本茶専門店 新緑園
住所:宮崎県児湯郡新富町新田15530-2
TEL:0983-35-1057 
交通:東九州自動車道西都ICから車で約10分
営業時間:9時~17時30分(土・日曜、祝日は~17時)
定休日:第1・3・5日曜 (4・5・8・12月は除く)


●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。

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