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ブナ林や棚田の眺めに癒やされて、山あいにたたずむ松之山温泉で湯と食のめぐみを堪能【ひなの宿 ちとせ(新潟県 十日町市)】

ブナ林や棚田の眺めに癒やされて、山あいにたたずむ松之山温泉で湯と食のめぐみを堪能【ひなの宿 ちとせ(新潟県 十日町市)】

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新潟県十日町市は「究極の雪国とおかまち―真説!豪雪地ものがたり―」として文化庁の「日本遺産」にも認定される日本有数の豪雪地帯。冬は長い間、雪に覆われることから、雪国で暮らすための知恵と工夫が受け継がれています。この山間の地域では、日本の原風景を残す大小の棚田巡りや、地元の方が案内するブナ林の散策などの体験メニューが充実。大自然を満喫したあとは、歴史ある温泉地、十日町市松之山の「ひなの宿 ちとせ」に滞在し、効能豊かな湯に浸かったり、滋味あふれる山の幸を堪能するなど、里山のめぐみにふれる旅を楽しみましょう。

Summary

4代続く明治中期創業の湯宿で、
新名物の棚田鍋に舌鼓

ひなの宿 ちとせ(宿泊)

「ひなの宿 ちとせ」がある松之山温泉は草津、有馬と並ぶ日本三大薬湯のひとつ。1羽の鷹が傷ついた羽を休めている場所に温泉が湧いていたという伝承や、越後守護・上杉家の隠し湯であったという説が残る歴史ある温泉郷です。「ひなの宿 ちとせ」のエントランス脇には足湯があり、旅の疲れを癒やしてからチェックインすることができます。館内は畳敷きになっていて、和のしつらえに心が和みます。

客室は全8タイプ。専用の露天風呂が付いた特別室、キッチンやランドリールームを備えた長期滞在向けの部屋など、利用人数や目的に合わせて選択できます。こちらは12.5畳の和室。窓に配された雪見障子が雪国らしさを感じさせてくれるくつろぎの間です。掘りごたつのスペースもあり、脚を伸ばしてのんびりくつろげます。

部屋に用意された和菓子とお茶でほっとひと息。山側の客室の窓の向こうは緑が迫ってくるかのよう。秋は紅葉、冬は雪景色と、季節ごとに変化する自然を楽しめます。

こちらの宿での楽しみのひとつが温泉。松之山温泉は塩分濃度が高いのが特徴で、これは約1200万年前に地中に閉じ込められた化石海水が温泉となって湧き出ているからなのだとか。90度以上の高温で自噴し、塩分作用によって体がよく温まることから「熱の湯」ともよばれ、美肌効果や温浴効果なども期待されています。露天風呂「月見の湯」からは、春は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と、季節ごとの風情ある景色を楽しめます。湯船はあつ湯とぬる湯に仕切られていて、時間制で男女入れ替えになるので、時間をおいて両方の湯を楽しむことも。

大浴場「ほんやらの湯」は男女別。雪国・魚沼地方に伝わる伝統行事「ほんやら洞(かまくら)」が由来です。それぞれ内湯と露天風呂があり、塩分を豊富に含んだ湯が体を芯から温め、日ごろの疲れを癒やしてくれます。

「ひなの宿 ちとせ」でのもうひとつの楽しみが食事。地元・松之山の食材を中心に、新潟県産のものをふんだんに使った滋味あふれる料理が堪能できます。なかでも十日町の棚田で収穫された米を使った「棚田鍋」は、松之山らしい料理を味わってほしいとの思いから温泉街のメンバーで考案したという新名物。棚田米の重湯とだしを合わせたスープに旬の野菜やキノコ、銘柄豚の妻有ポークなどが入ります。ぐつぐつ煮立ったらおこげを割り入れて完成。米のやさしい甘みとおこげの香ばしさが絶妙。素材の旨味もしっかり出て、おかわりしたくなる逸品です。

朝食は「妻有ポーク甘辛そぼろ」「雪国まいたけ辛し和え」など、6品のごはんのお供をはじめ、地場野菜を“やたら”に細かく刻んで混ぜた「やたら朝まんま」や旬の野菜やキノコなどが入る煮物「のっぺ」といった郷土の味が並びます。ご飯のお供が豊富で、雪解けの伏流水で炊き上げた十日町産コシヒカリをさらにおいしく味わうことができます。1日のスタートにぴったりな朝食で元気をチャージしましょう。

ロビーの土産処では、松之山温泉の温泉水を配合したミストやコスメセット、温泉の源泉から作った薬湯山塩など、温泉地ならではの土産物が揃っています。またラウンジで提供される松之山産のホーリーバジルを使ったハーブティーも購入可能。お土産に喜ばれるものばかり。

■ひなの宿 ちとせ
住所:新潟県十日町市松之山湯本49-1
TEL:025-596-2525
交通:関越自動車道塩沢石打ICから車で約50分、または北越急行まつだい駅から送迎あり(要予約)
チェックイン:15~18時
チェックアウト:10時
料金: 1泊2食付き2万350円~(大人2名1室利用時)

 

渓谷沿いの急斜面に拓かれた小さな棚田で、
日本の原風景の偉大さを実感

留守原の棚田(体験)

提供:(一社)十日町市観光協会
提供:(一社)十日町市観光協会

農林水産省の「つなぐ棚田遺産~ふるさとの誇りを未来に~」に選定されている「留守原(るすばら)の棚田」は、松之山天水島と津南町を結ぶ国道405号を車で走ると、紅葉の名所として知られる宝渓谷沿いの斜面にあります。目印はぽつんと建つ茅葺きの小屋とスッと伸びる杉の木。ここから見晴らしのよい景色が見渡せます。

狭い農道を降りて田んぼの近くまで散策。耳を澄ますと、遠くから鳥のさえずりや風に揺れる草の音が聞こえてきます。心地よい風にあたりながら、身も心も開放して心穏やかな時間を過ごしましょう。ちなみに畔の草刈りは毎年、地域の有志が担当し、田植えや草取り、稲刈りなどの耕作は各農家が行っています。地域の人々が協力して「留守原の棚田」の美しい景観を守っているのです。

提供:(一社)十日町市観光協会
提供:(一社)十日町市観光協会

四季折々の表情で迎えてくれる「留守原の棚田」。春は水田が鏡のように周囲の風景を映し出し、夏は濃い緑に覆われ、秋は黄金色の稲穂が埋め尽くします。国道沿いには普通車7台が停められる駐車場があるので、里山ドライブを楽しみながら、棚田を眺めてほっこり気分に浸ってみませんか。

■留守原の棚田
住所:新潟県十日町市松之山天水島
TEL:025-597-3442(松代・松之山温泉観光案内所 9~17時)
交通:関越自動車道塩沢石打ICから車で約50分(冬期期間は通行止め)

ブナの立ち姿が美しい「美人林」を散策。
緑のカーテンに包まれて身も心も爽快に

心美人ハイキング(体験)

松之山松口に広がる3ヘクタールほどのブナ林。「美人林」の呼び名で親しまれ、季節ごとに訪れたくなるほど、四季折々の表情に変化があり、圧巻の美しさです。美人林が今のような姿になるきっかけは大正末期のこと。当時の地主がすべてのブナを伐採し、木炭や薪に変えて引っ越し。原野となったものの、伐採の前年が数年に一度のブナの種の豊作だったことから、一斉にブナが芽吹きました。同時期に成長したことで、幹の太さと高さが揃った美しい立ち姿のブナが育ち、「美人林」とよばれるように。

2021年には松之山下川手集落の住民が中心となってブナ林の整備に取り組む「美人林を守る会」が「森林レクリエーション地域美しの森づくり活動コンクール」で農林水産大臣賞を受賞。清掃活動など、美しいブナの林を守る取り組みが続けられています。

「森の学校」キョロロの入口前に集合し、5分ほど歩けば、「美人林」の入口です。ここから松之山在住の里山のめぐみ案内人がガイドする約1時間30分のハイキングが始まります。

「美人林は、子どものころの遊び場でした」と話すのは、案内人の保坂清さん。ブナの種やキノコなどを見つけたり、雪椿の葉で笛を作って吹いたり、香りのよいクロモジの葉を、見て、触れて 、匂ってと子供に戻ったような気分で保坂さんと一緒に散策します。敷地内には明治期に作られたというため池も。もともと近くの棚田の農業用水として利用されていたそうで、雪解け水やブナの幹や根に蓄えられた雨水が湧き水となり、今もこの池を潤しています。

美人林のブナは樹齢約100年。枝が少なく幹が細いのが特徴です。地面がすっきりとしていて見通しもよく、手をたたいてみると、ブナの幹や葉で拡散されて、美しく響きわたっていきます。美人林の散策後は、スタート地点の「森の学校」キョロロに戻り、館内で十日町市の里山の自然や文化についての展示を見学。展望台からブナ林や棚田を眺めると、また違った趣が楽しめます。

■心美人ハイキング
住所:新潟県十日町市松之山松口1712-2(「森の学校」キョロロ)
TEL:025-595-8588(松之山温泉里山ビジターセンター)または025-596-2114(松之山温泉合同会社まんま)
交通:関越自動車道塩沢石打ICから車で約50分、または北越急行まつだい駅から車で約15分(松之山温泉に宿泊の場合は旅館で送迎あり)
体験時間:10時~11時30分
定休日:12~4月
料金:2200円(小学生1500円、小学生未満300円)
※予約は電話または松之山温泉の宿泊旅館。前日の16時まで
※「森の学校」キョロロは火曜・水曜定休のため、ハイキングのみで館内見学はなし

松之山温泉の温泉熱を利用した
湯治豚でお腹を満たす

SDGs「湯治豚づくり体験」(体験・食)

「ひなの宿 ちとせ」では、温泉熱を利用して湯治豚を作るプランが体験できます。さっそく、足湯の脇に設置された温泉調理槽に、塩・コショウした妻有ポークが入った真空パックを入れます。電気もガスも使わない、約68度の温泉熱のみを利用した低温調理。これもまた、今注目を集めている温泉エネルギーを有効活用した脱炭素型のSDGs体験です。

約2時間30分たったら、足湯横の温泉調理槽へ。真空パックを取り出してみると、妻有ポークがロゼワインのような色合いになっていました。ちなみに宿で提供される湯治豚や温泉街のラーメン店のチャーシューもこちらの温泉熱で低温調理しているそう。家に持ち帰ったらチャーシュー麺の具材にするのも◎。

■SDGs「湯治豚づくり体験」
住所:新潟県十日町市松之山湯本49-1(ひなの宿 ちとせ)
TEL:025-596-2525(ひなの宿 ちとせ)
交通:関越自動車道塩沢石打ICから車で約50分、または北越急行まつだい駅から車で約20分
体験時間:10時30分~12時30分
実施日:4~11月の土・日曜(要予約。2名から)
料金:1000円(約250g)
※予約は体験日の3日前にTEL:025-595-8588(松之山温泉里山ビジターセンター)へ

上越市・大島区に伝わる
アケビつる細工で、カゴづくりに挑戦!

あさひの里 大島庄屋の家(体験)

冬は積雪が約3mにもなるという、豪雪地域の上越市大島区。ここに1991年にオープンした「あさひの里 大島庄屋の家」では、昔ながらの手作りの暮らしを体験できます。竹細工や草木染めなど工芸品作りから、そば打ちや笹寿司・押し寿司といった郷土料理作りまで、大人も子どもも楽しめる体験メニューが満載です。どちらの体験も地元で暮らす名人がレクチャーしてくれるので、初心者も安心して参加できます。

今回はアケビつる細工体験にチャレンジ。生まれも育ちも大島区の武田十九子さんに教わりました。この地域では、農作業ができない冬場にアケビのつるで農作業に使うカゴなどを編んでいたとのこと。武田さんもお父様の手仕事を見て、覚えたそうです。どんな形のカゴを作りたいかを相談し、今回は持ち手が付いたカゴに決定。一輪挿しを入れて飾るのにちょうどよさそうなサイズが希望です。最初はつるを3本ずつ交差させて底の部分から、円形になるように編んでいきます。徐々にコツをつかみ、カゴの形になっていくと、楽しさ倍増。カゴを編む手が進みます。

ちょっと歪んだり、ゆるくて隙間ができたりした部分は、その都度、武田さんが手直しをしてくれ、初めてでも1時間30分ほどで完成しました。できあがったアケビつるのカゴはお土産として持ち帰ります。初めて作ったアケビつるのカゴは、自分だけのオリジナル。「今度は違うデザインに挑戦したい!」と、いろんなデザインにチャレンジしたくなりました。

■あさひの里 大島庄屋の家
住所:新潟県上越市大島区田麦1096-2
TEL:025-594-3848
交通:関越自動車道六日町ICから車で約1時間、または北越急行ほくほく大島駅から車で約15分(駅から送迎バスあり。要予約)
営業時間:9~21時
定休日:火・水曜
料金:アケビつる細工体験3000円(2名から)

織物の産地だからこそ生まれた、
郷土料理「へぎそば」の名店へ

越後十日町 小嶋屋本店(食)

十日町市などを含む中越エリアが発祥といわれる新潟県の郷土料理の代表格「へぎそば」。「へぎ」とよばれる四角い木の器に、食べやすいよう一口サイズに丸めて並べたものです。へぎに波を描くように盛り付けられた美しい見た目のほかに、「へぎそば」のもうひとつの特徴は布海苔(ふのり)という海藻が入っていること。

十日町市は古くから織物の産地として知られる地域。その織物の仕上げの糊付けに使われていた布海苔を、食用として活用できないかと考えて、小麦粉の代わりにそばに入れて食べるようになったのが始まりといいます。ここ「越後十日町 小嶋屋本店」は、古くから家庭で食べられていた布海苔入りのそばを、初めて店で提供したという「へぎそば」の名門。本場の味が堪能できます。

「越後十日町 小嶋屋本店」では、そばは北海道産や長野県産を中心とした国産のものを、布海苔は青森県下北半島でとれたものを使用。丁寧に石臼挽きした十割そばに布海苔を入れた「へぎそば」は、ツルツルとしたのど越しで箸が止まりません。噛むほどにしっかりとした弾力やコシの強さが感じられ、食べごたえも充分です。

そばのおいしさを引き出すつゆは、香りのよい本鰹節と風味豊かな宗田節でだしをとり、本醸造醤油とみりんで味を整えた上品な味わい。地元では冠婚葬祭など特別な日や親せきの集まりなどで食べるおもてなし料理なのだそう。長年、この地で受け継がれてきた郷土の味は、盛り付けの美しさと、そばのコシの強さの新鮮な出合いとなりました。

■越後十日町 小嶋屋本店
住所:新潟県十日町市本町4-16-1
TEL:025-757-3155
交通:関越自動車道六日町ICから車で約20分、またはJR・北越急行十日町駅から徒歩約10分
営業時間:11~20時(19時30分LO)
定休日:水曜(祝日を除く)


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●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。

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