伊根湾をぐるっと囲む舟屋の風景に溶け込み、すぐそこに海がある暮らしを体験する【伊根の舟屋 風雅(京都府 伊根町)】
京都府伊根町は人口約2000人の小さな漁業の町。周囲約5kmの伊根湾に沿って、海に浮かんでいるかのように立ち並ぶのは、1階が船置場、2階が居室になっている「舟屋」。もともとは、風雨や虫から船を守るための収納庫で、約230軒の舟屋が連なる珍しい景観は、国の重要伝統的建造物保存地区として選定されています。そんな伊根町には、新鮮な海の幸をはじめ、刺身作りやクルージングなど、海のめぐみを享受できる体験が盛りだくさん。ゆったりと流れる時間と舟屋が並ぶ美しくも懐かしい風景の中で、海の街ならではの暮らしや文化にふれてみませんか。
Summary
舟屋を露天風呂付きの宿にリノベーション。
一棟貸切で贅沢な時間を過ごして
伊根の舟屋 風雅(宿泊)
伊根町を訪れるなら、風景を楽しむだけではなく、舟屋に宿泊するのがおすすめ。現在、伊根町にある舟屋のうち、約20軒が宿として利用できます。なかでも「舟屋の宿 雅」は、「雅」「風雅」「香雅」の3棟からなる1日1組限定の温泉付きの宿。今回は昔ながらの舟屋を活用した「風雅」に滞在し、伊根の人々の生活に溶け込むような体験をします。
「風雅」は、1階がリビングと露天風呂、2階がベッドルームになっています。こちらのリビングは、大きな窓から伊根湾が見える開放的な空間。かつては漁師たちが船を収納する“船のガレージ”として使っていた場所です。木の板に囲まれた趣のある空間で、ゆったりとくつろげます。
そしてここの最大のポイントは、1階の海に開かれた露天風呂! 船の収納庫の形を生かしているので、とにかく海との距離が近く、遮るもののない海と空を望みながら心置きなく入浴できます。お湯は奥伊根温泉の天然温泉で、つるつる・すべすべの肌ざわり。穏やかな波音と爽やかな潮風を感じながら、旅の疲れを癒やしましょう。
ベッドルームは、木の温もりを感じる落ち着いた雰囲気。ふかふかのベッドが2台用意されていて、夜もぐっすり。海側にはリビングと同様に大きな窓があり、海をすぐそばに感じることも。窓際のリラックスチェアに腰かけて、伊根の風景を独り占めしながら、時間を気にせずぼーっとしたり、読書をしたりするのもいいですね。
部屋の窓からは、伊根湾と入り江の奥に舟屋が並ぶ様子を見ることができます。何もせず、ただ美しい景色に身を委ねる時間は最高の贅沢。夕暮れ時には、海の向こうに沈む夕日がロマンチックな雰囲気。穏やかな伊根の海を眺めていると、身も心も開放的になって、友達との仲もさらに深まりそう。
こちらの宿は基本的には素泊まりですが、予約をすれば追加料金1980円ですぐ近くにある舟屋のカフェ「雅」での朝食をとることもできます(1日2組限定)。日替わりの朝食には、その日の朝に水揚げされた地魚を使った焼き魚や、シロイカの造りなど、新鮮な海の幸が満載。朝からしっかり食べて、旅のエネルギーを補給しましょう。
■伊根の舟屋 風雅
住所:京都府与謝郡伊根町平田552
TEL:0772-32-0280(受付時間:9時30分~17時)
交通:京都縦貫自動車道与謝天橋立ICから車で約40分、または京都丹後鉄道天橋立駅から伊根線・蒲入線・経ヶ岬線バスで約1時間、伊根下車徒歩約6分
チェックイン:15~17時
チェックアウト:10時
宿泊料:1泊素泊まり2万5300円~(4名利用時)
伊根湾を船で巡りながら、
カモメの餌やりにもチャレンジ!
伊根湾海上タクシーAQUA(体験)
伊根町で人気を集めているアクティビティのひとつが、伊根の舟屋を船上から観賞する伊根湾巡り。現在4艘が運航しています。地元の船頭さんたちが自分の船でガイドをしながら、約30分かけて伊根湾内をゆったりと周遊。船に乗ると、舟屋のかなり近くまで行くことができ、地上とはまた違った舟屋の風景に出合えます。
有名なドラマのロケ地になった舟屋や、ブリを養殖する定置網、伊根祭の舞台となる舟屋など、主要なスポットを眺めながら伊根湾をぐるりと一周。各ポイントで船頭さんが伊根町の歴史や文化などを丁寧に教えてくれます。船頭さんは、ユーモアたっぷり。ジョークを交えながらクルージングを盛り上げてくれますよ。
伊根湾巡りの醍醐味といえば、船上デッキでのカモメの餌やり体験。餌を差し出すと、たくさんのカモメが群がってきて、上手にキャッチしていきます。その愛らしい姿を見ていると、餌やりに夢中に。カモメたちとたわむれていると、日々の喧騒を忘れられます。
■伊根湾海上タクシーAQUA(アクア)
住所:乗船場所 京都府与謝郡伊根町平田505-4 七面山駐車場
TEL:090-7360-9323(当日)、090-1022-1252(事前)
交通:京都縦貫自動車道与謝天橋立ICから車で約40分、または京都丹後鉄道天橋立駅から伊根線・蒲入線・経ヶ岬線バスで約1時間、伊根下車徒歩約5分
営業時間:9~17時
定休日:無休
料金:1000円 、小学生以下無料
海を独占するカフェテラスで、
極上のティータイムを!
INE CAFE(食)
レストラン・カフェ・ショップなどが並ぶ複合施設「舟屋日和」の敷地内にあるカフェ「INE CAFE(イネ カフェ)」。海や空の色をイメージした青色のタイルやファブリックが印象的な店内は、リゾートのようなゆったりした空間。コーヒーやケーキなどのスイーツを楽しみながら、目の前に広がる海を眺める時間は格別です。フォトスポットもあるので記念撮影も忘れずに。
こちらは、「クリームソーダ」550円と「ベイクドチーズケーキ」660円。ずっしり濃厚なチーズケーキは、甘酸っぱい木苺ソースと相性抜群。アイスクリームがのった昔懐かしいメロンソーダも乙女心をくすぐります。ほかには「クレームブリュレ」400円や「ガトーショコラ」550円などの人気メニューも。
スイーツをいただいたあとは、海に面したテラスへ。撮影を楽しんだり、くつろいだりして過ごします。店内のドアからテラスに出ると、すぐそこに一面の海! 見渡す限り絶景の海と心地いい潮風に癒やされます。テイクアウト用のドリンクメニューを注文して、テラスでティータイムを楽しむのも一興。
■INE CAFE
住所:京都府与謝郡伊根町平田593-1 舟屋日和施設内
TEL:0772-32-1720
交通:京都縦貫自動車道与謝天橋立ICから車で約40分、または京都丹後鉄道天橋立駅から伊根線・蒲入線・経ヶ岬線バスで約1時間、伊根下車徒歩約7分
営業時間:11~17時
定休日:水曜
美しい夕日も最高のご馳走。
最高のロケーションで海の幸と地酒を満喫
鮨割烹 海宮 WADATSUMI(食)
複合施設「舟屋日和」の敷地内にある寿司割烹「鮨割烹 海宮 WADATSUMI」。その日に揚がった鮮魚料理を味わえると評判です。店名は、龍宮城のようにおいしい海の幸を食べてもらえるようにという意味を込めて、伊根町に残る浦島伝説の「龍宮」と海の神様「ワダツミ」から命名。伊根湾を一望する店内で、昼は寿司ランチ、夜は寿司やコース料理が味わえます。
季節の御膳「魚見(いおみ)」6600円は、地魚の造り、煮魚、焼き魚、油物、寿司5貫など、計9品からなるボリューム満点の夜のコース。どの料理も料理長自らが伊根町の漁港で仕入れた新鮮な魚介がふんだんに使われています。その日の漁でネタが変わるのも海の街の寿司処の醍醐味。夜が待ち遠しくなります。
伊根町の造り酒屋・向井酒造の日本酒をはじめとする地酒でまずは乾杯。口の中がスッキリして地魚のおいしさが引き立ちます。また、穏やかな海を一望するロケーションもこの店の人気の理由。特に夕暮れ時は格別な美しさです。時間によって表情や色合いを変える伊根湾を眺めながら、心落ち着くひとときを過ごしましょう。
■鮨割烹 海宮 WADATSUMI
住所:京都府与謝郡伊根町平田593-1 舟屋日和施設内
TEL:0772-32-1710
交通:京都縦貫自動車道与謝天橋立ICから車で約40分、または京都丹後鉄道天橋立駅から伊根線・蒲入線・経ヶ岬線バスで約1時間、伊根下車徒歩約7分
営業時間:11時30分~14時30分、17時~21時30分(最終入店は20時) ※季節により変動あり
定休日:水曜
舟屋の開放的な調理場で、
伊根町の地魚を刺身にしていただく
伊根のとれたて旬の地魚刺身作り体験(体験・食)
漁師の町・伊根町では、ブリやマダイ、カンパチなど、1年を通してさまざまな魚が水揚げされます。そんなとれたての旬の魚を使った刺身作りが体験できると聞き、いざ挑戦。地元の人たちは、舟屋の海に面した部分に簡単な調理スペースを設けて、魚をさばいて食べていたとか。舟屋の暮らしぶりを肌で感じながら、海沿いに設けられた調理スペースで魚をさばいていきます。
さばき方を教えてくれるのは、舟屋の宿「WATER FRONT INN与謝荘」の板前さん。やさしく親切に教えてくれるので、初めてでも安心。なにより、伊根の魚を知り尽くしたプロから教えてもらえるのがうれしいですね。何も処理をしていない状態の魚を使うので、鱗や内臓をとるところからスタート。最後は盛り付けをして仕上げます。
完成したお刺身は、その場でいただきます。開放的なロケーションで、海を見ながら味わうお刺身は格別。自分でさばいたということもあり、より一層おいしく感じます。使用する魚の種類はその日に水揚げされた魚によって異なりますが、新鮮な魚はどれも満足のいくおいしさ。+200円でご飯とお漬物を付けることもできるので、お腹を空かせて行きましょう。
■伊根のとれたて旬の地魚刺身作り体験
集合場所:京都府与謝郡伊根町平田491
TEL:0772-32-0277
交通:京都縦貫自動車道与謝天橋立ICから車で約40分、または京都丹後鉄道天橋立駅から伊根線・蒲入線・経ヶ岬線バスで約1時間、伊根下車徒歩約1分
営業時間:10~11時、または14~15時 (5日前までに要予約)
定休日:不定休
料金:4500円
女性杜氏が作る独創的な日本酒と、
酒粕スイーツを自分土産に!
向井酒造(食)
舟屋の並びにたたずむ創業約260年の「向井酒造」は、伊根町で唯一の造り酒屋。女性杜氏が作る独創的なお酒は、お土産としても人気です。近年では、伊根町産の古代米を使った赤い日本酒「伊根満開」がG20大阪サミットで提供されたことでも話題を集めました。伊根の魚には、伊根の酒がよく合います。ぜひ鮮魚と日本酒のマリアージュを楽しんで。
看板商品の「伊根満開」720ml 2200円は、果実酒のようなフルーティーな飲み口で、女性にも人気。海外にも輸出され、デンマークやベルギーの著名なレストランで提供されています。「ええにょぼ」1800ml 3850円は山田錦を使用した中辛で、ほどよい旨味とすっとしたキレのいい後味が特徴の日本酒。辛口でキレのある「京の春(特別純米酒)」720ml 1540円も人気です。種類豊富な商品の中から、お気に入りの銘柄を探してお土産にしましょう。
店内では日本酒のほか、マカロンやロールケーキなど、酒粕を使ったスイーツも販売されています。夏には、「伊根満開」の酒粕を混ぜ込んだ「酒粕アイスもなか」600円も登場します。ほんのりと漂う酒粕の香りと味わいがたまりません。「伊根満開」の酒粕には乳酸菌がたっぷり含まれているので、体にもやさしいのだとか。酒蔵が作る酒粕スイーツを堪能しましょう!
■向井酒造
住所:京都府与謝郡伊根町平田67
TEL:0772-32-0003
交通:京都縦貫自動車道与謝天橋立ICから車で約40分、または京都丹後鉄道天橋立駅から伊根線・蒲入線・経ヶ岬線バスで約1時間、伊根下車徒歩約6分
営業時間:9~17時(12~13時は休業)
定休日:木曜
●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
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