【神戸】兵庫県立美術館のみどころをチェック。安藤忠雄建築から屋外アートやカフェ、グッズまで!
開館から23年を迎えた西日本最大級のミュージアム・兵庫県立美術館は、今や兵庫のランドマークの一つといえる存在。しかも館内外にはアートを身近に感じることができるポイントが盛りだくさん!ということで、今回はアートビギナーにもうれしい兵庫県立美術館の楽しみ方をご紹介します。
安藤忠雄による洗練された建築デザインを体感!

兵庫県立美術館の設計を手掛けたのは、世界にその名を轟かす建築家・安藤忠雄さん。
コンクリートの打ちっぱなしと光を効果的に演出する建築スタイルは、この建物でもおおいに堪能できます。
まずは、第1展示棟とギャラリー棟の間にある山側の入場口へ。巨大な建物の狭間は深い谷底のようでもあり、異国の神殿に迷い込んだかのようなワクワク感とともに館内へと誘います。

1階エントランスホールから地下駐車場やギャラリー棟、2階の屋外スペースなどに続く円形テラスは、美術館のシンボル的スポットで、カタツムリの殻のような渦を巻く造形が特徴的。
フォトスポットとしても人気で、最深部から天を仰いだり、最上段から俯瞰で見下ろすなど、さまざまなアングルで撮影する人がSNSでも多く見受けられます。

3階で海側のテラスに出ると第1展示棟、第2展示棟、ギャラリー棟が並び、壁面いっぱいに広がるガラスのカーテンウォールを一望できます。
阪神・淡路大震災より以前の阪神間を御影石、復興後の未来をガラスで象徴。建物そのものを「過去」と「未来」を結ぶ復興のシンボルとしています。

第2展示棟の2〜3階には、阪神・淡路大震災からの復興のために安藤さんが行った活動やこれまでの実績を紹介するAndo Galleryを併設。
初期の代表作である「住吉の長屋」から直島の文化プロジェクト、「こどもの本の森 中之島」といった近年の作品の模型なども展示されており、関西が生んだ建築家の偉大な足跡を貴重な資料とともにたどることができます。

壁一面に世界各国の建築にまつわる書籍を収納した本棚。ラベルを貼っている書籍は閲覧可能で、こちらも撮影スポットとして人気です。
敷地内に点在する美術家たちの彫刻・オブジェを探そう
兵庫県立美術館でのお楽しみは、館内だけにあらず。屋外にも国内外の作家が制作した彫刻が展示されており、間近で鑑賞することができます。
館内マップを手に屋外彫刻めぐりへと繰り出してみましょう。こちらは、1階の海側で風を受けて回る新宮晋の「遙かなリズム」。
山側からの入場口の奥に立つのは、フランスの彫刻家・セザールがエッフェル塔の廃材を利用して製作した「エッフェル塔-板状」。
阪神・淡路大震災からの復興を願ってセザールから直々に寄贈されました。
2階の海側テラス展示されているのは、1978年に製作された今村輝久の「不在の中のかたち 26」。
今村氏は大阪を拠点に活動していた金属彫刻作家で、「不在の中のかたち」は、複数のナンバリングがある連作。
本作品は、第6回神戸須磨離宮公園現代彫刻展で兵庫県近代美術館賞を受賞しています。
海側テラスの茂みからひょっこり姿を現すのは、前衛美術だけでなく絵本の分野でも活躍した元永定正の「くるくるきいろ」。
実は、このタイトルは2009年に展示される際、一般公募で決まったもの。愛らしいフォルムとイエローの配色が、草の緑、青空と絶妙なコントラストを描き出しています。
ここでは一部のみの紹介となりますが、まだほかの作品が建物をとりまくように配置されているので、ぜひ探してみてください。
約1万3000点の収蔵作品を厳選したコレクション展もチェック
兵庫県立美術館が国内外で収集した作品は、じつに1万3000点超え。
ロダンやマイヨール、柳原義達などの彫刻やカンディンスキーやアンディ・ウォーホルなど先進的な表現で制作された版画、兵庫にゆかりの深い村上華岳の日本画、国内作家による近代〜現代の絵画など、幅広いジャンルを網羅しており、定期的にコレクション展が開催されています。
独自の切り口でアートファンの注目を集める特別展も要チェック!
開放的な海のデッキで巨大青りんごと記念撮影

2階の海側テラスに出ると、何やら遠目に巨大な物体の影が。
とても気になるので、3階に上って確かめに行きます。
現れたのは、巨大な青りんご!
これは、安藤さんがアメリカの詩人サミュエル・ウルマンの「青春の詩」にインスパイアされて2019年に設計・寄贈したオブジェ。
傍らには安藤さんの言葉で「目指すは甘く実った赤りんごではない、未熟で酸っぱくとも明日への希望に満ち溢れた青りんごの精神です。(一部抜粋)」と綴られ、安藤さんの創作に対する情熱を感じさせます。
もちろん、フォトスポットとして撮影OKで、大半の来場者がここでとっておきの1枚を撮影しています。
ヤノベケンジの巨大オブジェ「なぎさ(愛称)」にご挨拶
海側の大階段の下でひときわ異彩を放っているのが、ヤノベケンジさん作のオブジェ「Sun Sister」。2015年、阪神・淡路大震災の発生から20年目の節目に製作されたもので、巨大な少女像が光り輝く銀のワンピースとブーツをまとい、右手に「輝く太陽」を持って神戸の海を見守っています。
また、来場者に親しみを持ってもらうため愛称が募集され、「なぎさ」という名前に決定。高さ約6mにもなる“なぎさ”の迫力を、ぜひ間近で体感してください。
ミュージアムショップでオリジナルグッズをゲット!

館内もひととおり巡り、最後はミュージアムショップでおみやげ探し!
世界各地から集められたアート関連のグッズを取り揃え、豊富なラインナップは見ているだけで楽しくなってきます。

敷居が高いと捉えられがちなアートの世界を身近に感じさせてくれる兵庫県立美術館。
神戸散策のコースの一つとして気軽に立ち寄れば、きっと楽しみながらアートの奥深さを知ることができるはずです。
兵庫県立美術館へのアクセスは、JR神戸線「灘駅」南口から徒歩約10分。もしくは、阪神電車「岩屋駅(兵庫県立美術館前)」から徒歩約8分。ぜひ遊びに行ってみてくださいね。
■兵庫県立美術館
住所:兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1
TEL:078-262-1011
営業時間:10~18時(入場は17時30分まで)
定休日:月曜(祝休日の場合は翌平日)、年末年始
料金:コレクション展 個人一般550円 他、特別展は内容により異なる
Text&Photo:伊東孝晃
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