横浜・ホテルニューグランドの幻のレストラン 「ダイニングルーム フェニックス」で横浜発祥メニューを堪能する

横浜・ホテルニューグランドの幻のレストラン 「ダイニングルーム フェニックス」で横浜発祥メニューを堪能する

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関東大震災の復興のシンボルとして昭和2年(1927)に開業し、海外からの要人の迎賓館として多くの著名人をもてなしてきた「ホテルニューグランド」。その本館2階にあり、普段は宴会場として使用されている「フェニックスルーム」が、月に数回「ダイニングルーム フェニックス」としてレストラン営業をしていて一般利用が可能なことをご存じでしょうか?絢爛豪華な店内では、ホテル発祥のあのメニューが食べられるんです!

Summary

横浜の街とともに歩んできた歴史あるホテル「ホテルニューグランド」

本館2階へと続く大階段。開業当時から変わらないたたずまいが歴史を物語っている
本館2階へと続く大階段。開業当時から変わらないたたずまいが歴史を物語っている

みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩すぐ。緑豊かな山下公園のすぐそばに立つ「ホテルニューグランド」は、横浜の歴史とともに歩んできたクラシックホテルです。 関東大震災発生後、瓦礫の山と化した横浜を復興させるため、経済界の有力者たちが「横浜市復興会」を発足。貿易の重要拠点である横浜に、外国人賓客用の新しいホテルの建設を要請したことにより開業しました。

横浜市の歴史的建造物にも指定されている本館の設計を手がけたのは、東京国立博物館などを担当した渡辺仁。西洋風でまるでお城のような雰囲気ですが、館内をじっくり観察してみると、ところどころに和のテイストが取り入れられていることに気づくでしょう。

これは、外国人が多く宿泊するため洋風な造りで落ち着いて滞在してもらいつつ、少しでも日本を感じてほしいという思いがあったから。大階段を上がったエレベーターの上にあるのは、京都の老舗川島織物の「綴織(つづれおり)」の「天女奏楽之図(てんにょそうがくのず)」。
ホテルのロゴにも描かれている「復興」の意味が込められたフェニックスのモチーフも館内に点在しているので、ぜひ探してみてください。

こちらは本館2階のザ・ロビー。一部のインテリアなどはアップデートしているものの、レトロな照明や柱などは当時のままだといいます。ザ・ロビーが醸し出す独特な雰囲気は、まるでそこだけ時間が止まっているかのようで、ほかとは違う新しさも感じることができる唯一無二な空間。宿泊者以外も訪れることができるので、ぜひこのリッチな空間を味わってみてください。

月に数回しかオープンしない幻のレストラン

「ダイニングルーム フェニックス」があるのはそんな2階ザ・ロビーのお隣。こちらがなぜ「幻のレストラン」とよばれているかというと、現在は宴会場として使われており、ウェディングパーティや団体貸切のみでしか入ることができないから。かつてはホテルニューグランドのメインダイニングとして宿泊客をもてなしていた場所でした。

そんな「ダイニングルーム フェニックス」ですが2021年の夏から一般利用がスタート。営業は宴会や貸切の利用がない日のみとなるため不定期ですが、公式サイトから営業日を確認することができます。営業時間は11時からで、予約の必要はなし(アフタヌーンティーは要予約)。季節によりますが、だいたい月に平均10回ほど営業しているそうです。

天井が高く絢爛豪華なインテリアで調えられた店内は息をのむ美しさ。開業当時の趣を存分に残しながら、決して色あせることのない上品なラグジュアリーさに心を奪われます。ホテルのロゴが入ったオリジナルのカトラリーや食器、クラシックなチェアなどに囲まれていただく食事はおいしさもまたひとしお。大きな窓からは山下公園の四季折々の美しい景色を一望できます。

ホテル発祥メニューを思う存分堪能して

「ダイニングルーム フェニックス」でいただけるのは、ホテル発祥の伝統メニューの数々。それぞれの料理にストーリーがあり、どれもホテルニューグランドのおもてなしの精神から生まれた特別な料理なんです。

「シーフードドリア」2909円
「シーフードドリア」2909円

こちらはホテルニューグランド初代総料理長サリー・ワイルが考案した「シーフードドリア」。もともとは、体調を崩してしまった宿泊客から、何かのど越しのよいものをというオーダーを受けて作った「シュリンプドリア」だったそうです。

その後ホテルニューグランドの名物メニューとなり、現在ではエビに加え、ホタテ、マッシュルームを加えた「シーフードドリア」として提供しています。黄金色に輝くグラタンソースが運ばれてくると、クリーミーで濃厚な香りが漂い食欲を刺激します。

グラタンソースはベシャメルソースとオランデーズソースをブレンド。その下は濃厚なエビのクリーム煮、バターライスという3層構造が特徴です。ライスはひと粒ひと粒がソースに適度に絡むようベストな炊きあがりに仕上げているそう。
エビのクリームの濃厚な風味とコクのあるグラタンソース、ほんのり香るバターライスが三位一体となり、止まらないおいしさ。また、エビやホタテなどの具材がゴロリと大きめに入っているのもポイントで、どの部分にスプーンを入れても具材を必ず食べることができるようこだわっているそうです。

「スパゲッティナポリタン」2277円
「スパゲッティナポリタン」2277円

「スパゲッティナポリタン」もホテルニューグランド発祥メニュー。かつて進駐軍にホテルが接収されていたころ、軍の保存食であったスパゲティにケチャップをかけて食べている軍人の姿を見た2代目総料理長の入江茂忠が、それでは味気ないとオリジナルソースを考案。

濃厚で味の濃いナポリタンを想像しているとびっくりします。トマトのすっきりとした酸味が利いていて、さわやかな味わいなんです。

それもそのはず、ケチャップは使用せず、生のトマトや水煮したトマトを使用したオリジナルソースを使用しているからだそう。茹で置きした麺はもちもちで、ソースによく絡み、食べごたえも充分。これが真のナポリタンか…と感動せずにはいられないひと品です。

“洗練された”デザートやロマンティックなストーリーのデザートも

「プリン・ア・ラ・モード」1897円
「プリン・ア・ラ・モード」1897円

デザートではこちらの「プリン・ア・ラ・モード」が発祥メニュー。戦後の接収時代に多くのアメリカ軍将校とその夫人たちが宿泊していたそう。甘いもの好きな夫人たちのために、「見た目が華やかで、満足できるボリュームのものを」と考案されました。

当時から提供していたバニラアイスとクラシックな硬めのプリンはホテルオリジナル。この見た目にも美しく斬新で洗練されたスタイルから、“洗練された”といった意味の「ア・ラ・モード」という名前が付いたそうです。フルーツはあえて旬があるものは使用せず、1年を通して楽しめるものや、軍の保存食だったプルーンがのっているのも特徴。

ここまでご紹介した発祥メニュー3つはホテルニューグランド本館1階にあるコーヒーハウス「ザ・カフェ」でもオーダー可能です。

「ピーチメルバ」1644円
「ピーチメルバ」1644円

「ダイニングルーム フェニックス」でしか食べられない限定メニューもあります。

こちらはバニラアイスの上に桃のコンポートをのせ、ラズベリーソースをかけた「ピーチメルバ」というデザート。“近代フランス料理の父”とよばれるオーギュスト・エスコフィエが19世紀後半〜20世紀初めに活躍したオペラ歌手のネリー・メルバのために考案した、知る人ぞ知るデザートなのだそう。ひとりのオペラ歌手に捧げられた、ロマンティックなデザートもぜひ味わってみてくださいね。

「ホテルニューグランド」の歴史が気になった人はぜひギャラリーへ

「ダイニングルーム フェニックス」で極上の体験を堪能してそのまま帰るのはもったいない!1階にあるギャラリーではホテルニューグランドが歩んできた道のりや、ご紹介した発祥グルメのより詳しいストーリーなどが展示されています。昭和から平成、令和と横浜を見守ってきたホテルニューグランドの背景を知り、思いを馳せることで、自分は今歴史的な場所にいるのだという気分に浸ることができますよ。

ホテルニューグランドの「ダイニングルーム フェニックス」では、ご紹介したメニューのほかに、季節のアフタヌーンティーも開催中。1日限定20食の予約必須メニューですが、より優雅な気分で贅沢なひとときを過ごせること間違いなしです。

■ダイニングルーム フェニックス(だいにんぐるーむ ふぇにっくす)
住所:神奈川県横浜市中区山下町10 ホテルニューグランド本館2F
TEL:045-681-1841(代表)
営業時間:11〜16時(15時LO)
開催日:不定期(公式サイトを要確認)

Text&Photo:Maui Hara

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