想定外のウマさ!京都かき氷のニューフェイスは「おかず氷」。なんと肉じゃがもかき氷に
今年も猛暑日、猛暑日、真夏日、猛暑日…と暑い日が続いた京都。夏バテで食欲が落ちてきたという人も少なくないのでは。そんなときのおでかけにピカイチの新店が「氷水屋 BANKS」です。東京の和食店オーナーが憧れの京町家でオープンさせたおかず氷&BARで、新しいかき氷の世界に足を踏み入れませんか?
京町家の喫茶barの看板メニューは「おかず氷」
喫茶bar「氷水屋BANKS」があるのは、グルメ激戦区、四条大宮から徒歩8分。飲み屋街の喧騒から少し離れた住宅街に佇む2階建て町家の1階。 2022年オープンの新店ですが、食通のみなさんにはすでに知れ渡っている様子で、客足が途絶えない人気店です。
入り口の足元に目を落とすと、黒板メニューに「肉じゃがミートパイ」「ずんだみたらし求肥」「桃モッツァレラ」「ツナポタージュ」「フォアグラ奈良漬ベリー」「パンプキンパイ」の文字。どのメニューもかき氷になった姿の想像がつきません。
店内は、BARらしくバーカウンターがメイン。カウンター6席、テーブル4席、窓側のカウンター3席の計13席です。京都が好きで、歴史ある京都の町家でお店をやるのが夢だったオーナー。偶然に縁があった、この町家で店を立ち上げることにしたそう。
氷を削る様子が間近に見られるカウンター席もいいですし、向かいの町家の瓦屋根が借景になった窓際の席もおすすめです。
お袋の味代表、肉じゃががかき氷に⁉︎
さて、今回は気になるメニューが多すぎて、3種類のかき氷を実食させていただきました。まずは、かき氷になった姿が想像できない度No.1「肉じゃがミートパイ」から。かき氷機はSWAN製。見慣れないデザインは、カウンターの上で削ることを想定した別注品です。
氷を削った上に、チーズミルクのシロップをとろりとかけて、白味噌のパンナコッタを置いてさらに氷を削ります。シロップやトッピング選びは、「京都の調味料」「発酵食品」「乳製品」がキーワード。とろみのある乳製品のシロップは、かき氷に合うように通常の味の濃さの1.2倍に仕上げているそうです。
まるく盛った氷の上に重ねるのは肉じゃが。煮つけた肉じゃがの肉を抜いたものをマッシュして、ペーストに。煮汁がじんわり染み込んだじゃがいもたちのペーストが氷の上に盛られます。
じゃがいもの座布団の上に、肉そぼろをこんもり。仕上げにサクサクのパイ生地をパラパラと散らして出来あがり。
青紅葉を添えて、ひんやり涼しげに。乳製品を使って濃厚に作られたシロップは粘度があって、氷の柔らかさを引き立てます。和食店のメニュー開発をする中で、まだ多くの人が経験したことのない味で、お客様を喜ばせたいと生み出されたのが「おかず氷」。
オーナー自身、甘い物がそこまで得意ではなく、和食をかき氷で表現できないかと考えていたところ、発酵&乳製品がかき氷と相性が良いことを見出してからおかず氷の可能性が大きく広がったそうです。
さっそくいただきます。おお、確かに肉じゃが。しっかり肉と出汁の旨みを吸い込んだじゃがいもペーストのまったりとした食感、そぼろ状の牛肉、サクサクのパイ生地が絶妙のバランス。何よりも氷の下味を支えるチーズミルクシロップと中に入っている味噌のパンナコッタが最高にいい仕事をしています。それ自体にコクがあって、濃厚で、肉じゃがと氷を繋ぎます。これぞ和食屋のかき氷、といえる定番メニュー。
世界の三大珍味フォアグラが、ベリーとともに絶品かき氷に!
次は「フォアグラ奈良漬ベリー」。女性スタッフ人気No.1というこの氷。私も気になっていました。肉じゃがパイが、おかず90%なのに対して、こちらはメインがベリーのソースなので、甘い&辛いの無限ループが楽しめます。
ベースになるのは、こちらもチーズミルクと白味噌のパンナコッタ。味噌は、著名な料理人たちが指名買いする山利商店の白味噌を使用。京都市内でもごく限られた場所でしか買えない希少な味噌です。
味の主要部分はベリーとチーズミルク、そこに入ってくる高級食材フォアグラの深みのある塩っけと乾いた食感。さらに隠し味に赤味噌がほんの少し。これはおかず氷の黄金比なのでは? フォアグラがなくなってきたら、別添えの奈良漬が助演俳優賞ものの働きで、また違った味を演出してくれます。これは最高。定番メニューなので、春夏秋冬いつでも食べられます。かき氷ファンなら、ぜひお試しを。
お餅までシロップ化!デザート氷も新感覚
最後は、デザート要素強めの「ずんだみたらし求肥」のかき氷です。ずんだは、すりおろした枝豆。東北の郷土菓子ずんだ餅で有名ですね。求肥(ぎゅうひ)は餅米粉または白玉粉に砂糖(水飴)を入れて練り上げたもの。羽二重餅も求肥の一種です。
このかき氷、斬新なことに餅(求肥)がとろとろ。シロップと一体化しています。ほぼ液体の餅は初体験。やはりどこか普通じゃないというか、一筋縄ではいきません。
みたらしだれで味変すれば、2種類の氷を味わった気分に。今回は定番のかき氷のみのご紹介でしたが、いちごや桃など旬のフルーツを使った季節限定メニューもあります。ファンを飽きさせないように週替わりの新作を企画しているのだとか。
BARですから、もちろんお酒もあります。かき氷とお酒のペアリングを楽しむ人もいるそう。おかず氷ならではですね。
暑い日が続きすぎて食欲の湧かないときに、おかず氷をランチ代わりにするサラリーマンも意外と多くいるそう。かき氷ファンならば一度は足を運んでおきたいお店です。
■氷水屋 BANKS
住所:京都府京都市下京区下長福寺町276 〒600-8375
TEL:075-777-2366
営業時間:12時30分~18時30分(18時LO)
定休日:水・木曜
アクセス:阪急「四条大宮」駅から徒歩8分
Photo: photo scape CORNER.大﨑 俊典
Text:京都ライター事務所 小西尋子
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