【京都】南禅寺の見どころをご紹介。三門・水路閣の魅力やアクセスまで徹底解説

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京都市左京区にある南禅寺は、紅葉の名所としても有名な歴史ある寺院。広大な敷地を誇る境内には、石川五右衛門の名セリフ「絶景かな、絶景かな」で有名な重要文化財の三門や小堀遠州作と伝わる枯山水庭園、フォトジェニックな水路閣といったみどころがたくさんあります。今回はそんな南禅寺のおすすめ参拝ルートをご紹介します。

Summary

700年以上を誇る南禅寺の歴史

京都市営地下鉄東西線の蹴上駅から徒歩10分の場所にたたずむ南禅寺。鎌倉時代後期の正応4年(1291)に、亀山法皇が自らの離宮を禅寺に改め無関普門禅師(大明国師)を開山に迎えたことが始まりで、正式には太平興国南禅禅寺(たいへいこうこくなんぜんぜんじ)と号します。

室町時代に入ると三代将軍・足利義満の考えによって京都五山及び鎌倉五山の最高位の寺格である五山之上に昇格。以来、傑出した禅僧が住持となり、五山文化の中心地として隆盛を極めました。応仁の乱で伽藍のほとんどが焼失しますが、徳川家康の側近として活躍し「黒衣の宰相」と呼ばれた第270世住職・以心崇伝禅師(金地院崇伝)によって復興されました。

絶景かな、絶景かな!楼上から大パノラマを楽しみたい重文の三門

それでは、早速、南禅寺のおすすめルートを歩いてみましょう。

南禅寺に訪れた人をまず迎えてくれるのが、重要文化財の三門です。三門とは、仏道修行で悟りに至るために通らなければならない三つの関門を表し、「空」「無相」「無作」の三解脱門を略した呼び方です。高さ22mと日本最大級の高さを誇る三門は別名「天下竜門」と呼ばれ、京都三大門の一つにも数えられています。

初代の三門は、永仁3年(1295)年に西園寺実兼の寄進によって創立され、応安年間(1368~1375)には改築されましたが、文安4年(1447)に起きた火災により焼失しました。現在の三門は、寛永5年(1628)に藤堂高虎が大阪夏の陣で倒れた家来の菩提を弔うために再建したもので、禅宗様式独特の圧倒的な大きさと力強い列柱群が特徴です。

「五鳳楼(ごほうろう)」と呼ばれる三門の楼上にも登ることができます。受付で拝観料を支払い、靴を脱いであがります。急な階段を上った先、目に飛び込んでくるのは、寺院周辺の木々と京都の街並みが織りなす圧巻の光景。歌舞伎『楼門五三桐(さんもんごさんのきり)』で石川五右衛門が「絶景かな、絶景かな」と見得を切りますが、この絶景を眺めれば叫びたくなるのも納得です。

楼の内陣には金色に輝く宝冠釈迦坐像が本尊として安置され、その脇には月蓋長者や善財童士、十六羅漢を配置。本光国師(以心崇伝禅師)や徳川家康、藤堂高虎の像と一門の重臣の位牌も安置されています。また天井に描かれた鳳凰や天人の極彩色の図は、江戸時代初期に活躍した狩野探幽や土佐徳悦の筆によるものです。南禅寺と同じ形式の三門は他の寺院にもありますが、楼上に登って拝観できるのはここだけ。ぜひ訪れてほしいスポットです。

三門の近くには寛永5年(1628)の三門落慶の際に佐久間勝之が供養のために奉献した石灯籠があります。三門があまりに大きいため小さいく錯覚しがちですが、高さはなんと6mもあり、東洋一といわれる大きさです。

三門の奥に立つ法堂は、法式行事や公式の法要が行われる場所で、南禅寺の中心となっている建物です。創建当時のものは応仁の乱で焼失しましたが、文明11年(1479)頃に復興。その後豊臣秀頼の寄進によって大改築されましたが、明治28年(1895)の火災に遭い焼失。現在の法堂は明治42(1909)に再建されたものです。堂内には本尊の釈迦如来と文殊菩薩、普賢菩薩の三尊像が安置され、天井には明治から大正にかけて活躍した画家・今尾景年による幡龍(とぐろを巻いた龍)の絵が掲げられています。堂内に立ち入ることはできませんが、南禅寺を訪れたらぜひお参りしておきましょう。

名庭園や障壁画を鑑賞できる国宝の方丈へ

続いて訪れたいのは、法堂の右脇に伸びる道の先にある方丈です。方丈とは、仏間や応接間などを兼ね備えた多目的建築物のことで、南禅寺の方丈は大方丈と小方丈で構成。昭和28年(1952)に国宝に指定されました。現在の方丈は、慶長16年(1611)に御所の建物の下賜を受けて再建されたもので、天正年間(1573~1592)の内裏清涼殿を移築したものと伝わっていますが、女院御所の対面御殿を移築したという説もあるそうです。

方丈内にはみどころがたくさんありますが、ぜひ一度見ておきたいのが、小堀遠州作と伝わる国名勝の枯山水庭園です。横並びで配された6つの石と庭園に広がる白砂の光景が、大河を悠々と泳ぐ虎の親子を表現していることから「虎の子渡しの庭」と呼ばれ、サツキの刈り込みやマツ・モミジが美しく調和する景色は、季節ごとに表情を変える美しさ。他にも狩野探幽作の「水呑みの虎」など、大・小の国宝の方丈164面の襖に描かれた障壁画も必見です!

写真に収めたい美しさ!レトロなアーチ建築が見事な水路閣

禅宗建築の美に彩られた南禅寺ですが、境内には趣の違った美しい光景があります。それが、明治時代に造られた全長約93m、幅約4mのレンガ造りの水路閣。TVドラマや映画のロケ地としても登場することが多い、京都を代表するフォトジェニックなスポットです。

古代ローマの水道橋を思わせる水路閣は、琵琶湖と京都を結ぶ運河・琵琶湖疎水の一部を構成する建物です。疎水事業は、東京への遷都によって疲弊した京都を活性化するために明治18年(1885)~明治23年(1890)にかけて行われました。疎水の設計を担当したのが、当時弱冠21歳だった田辺朔郎です。田辺は当時最先端の水力発電をアメリカで学び、琵琶湖の水を利用した日本初の水力発電所・蹴上発電所の創設にも貢献。この発電所のおかげで、いち早く京都に路面電車が走るようになり、西陣織の機械化をはじめ京都の産業が振興する足がかりとなりました。

レンガ造りのレトロな建物と自然が調和した景色は、南禅寺を訪れるならぜひ見ておきたいもの。秋の紅葉シーズンは多くの人が足を運びますが、それ以外の季節も趣があって違った美しさに満ちています。

南禅寺へのアクセスは?

京都駅から地下鉄を利用して南禅寺へ行く場合は、烏丸御池駅で東西線に乗り換え、蹴上駅で下車。「ねじりまんぽ」と呼ばれるトンネルを抜けると境内への近道です。

また、市バスを利用する場合は、5系統の「南禅寺・永観堂道」バス停、または、5系統・32系統・203系統・204系統などが通る「東天王町」バス停下車。各バス停から徒歩10分で向かえます。

特に秋の紅葉シーズンは周辺の道路も混み合うことが多いため、地下鉄蹴上駅から歩いて行くのがおすすめです。


■南禅寺(なんぜんじ)
住所:京都府京都市左京区南禅寺福地町
TEL:075-771-0365
拝観:8時40分~17時(12月~2月は~16時30分)
料金:方丈庭園600円、三門600円

Photo:鈴木誠一
Text:津曲克彦

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