大阪「はり重 道頓堀本店」。洋食、カレー、すき焼きまで全紹介!
大阪で一度は行きたい名店といえば、「はり重 道頓堀本店」。なにわっ子がお肉を食べたい時に訪れる牛肉料理専門店で、創業は大正8年(1919)、百年越えの老舗です。観光地・道頓堀の木造3階建てのお屋敷に、すき焼きが名物の日本料理店、洋食店、カレー専門店、精肉店が一堂に会しています。今回は手軽に味わえる洋食やカレーなどを中心に、「はり重 道頓堀本店」の魅力をたっぷりご紹介します!
Summary
老舗の牛肉料理店「はり重」の道頓堀本店へ
にぎやかな道頓堀商店街と御堂筋が交差する角に立つ「はり重 道頓堀本店」。昭和23年(1948)に建てられた3階建ての木造建築は、重厚なたたずまいでひと際目立っています。すき焼きやしゃぶしゃぶなどが味わえる「はり重 道頓堀本店」、洋食の「はり重グリル」、 カレー中心の軽食レストラン「はり重カレーショップ」、精肉店がこの一棟に入り、大阪人で知らない人はいない名店です。
創業は大正8年(1919)、大阪府堺市で小さな精肉店を開業したのが始まりです。数年後には、すき焼きを出す食堂を兼ね備えた精肉店を新世界に移転オープン。昭和23年(1948)に現在の道頓堀に移り、同時に「はり重グリル」を、3年後にはカレーショップを開業し、現在に至ります。
当時、道頓堀は芝居小屋や劇場が集まる場所で、洒落た旦那衆や奥様、花街の芸妓さんたちが「ハレの日」のごちそうとして「はり重」に足を運び、大盛況だったそうです。
「はり重」の最大の特徴は、黒毛和牛の雌牛のみを1頭で仕入れていること。産地や等級にこだわらない独自の目利きで、今は3・4代目のみが仕入れを行っています。雄牛に比べて派手な「サシ」入っていませんが、自然な甘さで品があり、しっかりとしたうま味が感じられます。
はり重のこだわりのお肉を気軽に味わえるのが、1000~2000円台のメニューも多い洋食の「はり重グリル」。おすすめは、戦後の創業当時からの人気三大メニューである「ハンバーグステーキ」「ビーフカツレツ」「ビーフシチュー」。
「ハンバーグステーキ」は、黒毛和牛の赤身の凝縮したようなうま味が味わえる逸品。肉汁がしたたる今流行りのタイプではなく、つなぎに頼らず、牛肉と豚肉を工夫して挽くことで、驚きのやわらかさを実現しています。スパイスの配合も絶妙!
デミグラスソースは牛のスジと骨からとったスープを使い、約1週間かけて煮込んだもの。牛のうま味や野菜が完全に溶け込んんだコク深い味わいです。
黒毛和牛のフィレ肉のうま味をダイレクトに味わえるのが、「ビーフカツレツ」。赤身の肉々しさが存分に感じられつつも、品があるのが「はり重」ならでは。こちらにもオリジナルのデミグラスソースがたっぷりかけられています。
黒毛和牛の大きなかたまりがゴロゴロ入った「ビーフシチュー」もおすすめ。繊維質がホロホロと崩れるほどやわらかく煮込まれた、赤身の濃い味に魅了されます。デミグラスソースをベースにしっかりと煮込まれたルウにも、牛肉のうま味が溶け込んでいます。
レトロな趣の店内は、ほぼ創業当時のまま。かつて道頓堀に集ったハイカラな人々の胸高鳴る様子が想像できます。
蝶ネクタイを付けたホールスタッフが、折り目正しく接客してくれるので、優雅な気持ちで食事できるのも魅力です。
写真の左手前が「はり重グリル」の入口で、右奥がすき焼きなどが味わえる「はり重 道頓堀本店」の入口。どちらもにぎやかな道頓堀商店街に面しています。
「はり重カレーショップ」は、隠れ人気メニューもチェック
「はり重 カレーショップ」は、昭和26年(1951)にオープン。初代が、一頭買いする黒毛和牛を余すところなく料理に使いたい、と「はり重」「はり重グリル」のオープンからわずか3年後に開店しました。看板メニューは、黒毛和牛のカツがのった「ビーフカツカレー」。ルウは、牛スジや骨からとったスープをベースに、野菜などを加えてしっかり煮込まれたやや甘めの中辛。カレーにも大きめの牛肉が入り、そのうま味もたっぷり溶け込んでいます。
「カレーライス」880円もありますが、ここは「ビーフカツカレー」をオーダーし、赤身の上品な旨みが堪能できる牛カツとカレーをダブルで楽しみましょう。
ほかにも「ハヤシライス」1100円や「ミンチカツ(ライス付き)」990円など、手軽なメニューが揃いますが、注目は「ビーフワン」。“椀”と“ナンバーワン”をかけた隠れ人気メニューで、いわば黒毛和牛の玉子とじ丼です。だしの味はほんのり、牛肉の濃いうま味が主役です。ほかにも精肉店で人気のローストビーフを使った「コールビーフ丼」1430円~も、甘い脂身がとろける絶品。
昭和レトロを感じさせる店構えもすてき。入口は、車が行き交う大通りの御堂筋に面しています。
「はり重」の看板メニューは、お座敷で味わう絶品すき焼き
「はり重」といえばやっぱりすき焼き!黒毛和牛特有の濃いうま味がしっかり味わえるように、厚みがあり、量も多めです。熟成肉が流行る前から牛肉を貯蔵庫で約1か月熟成させていたそうで、4代目の藤本有吾さん曰く「調べたわけではありませんが、貯蔵庫にははり重の味を生み出す酵母のようなものがいるんじゃないかと思うんです」とのこと。
そんな肉の味を最大限に生かすよう、牛の骨を長時間煮込み、少量の醤油・砂糖などの調味料で味付けた割り下を使用。甘辛い関東風の割り下とも、醤油・砂糖などを牛肉に直接かける関西風とも異なり、割り下自体はかなりあっさりしています。下味程度の味付けで、上質な肉のうま味を引き立てるのが「はり重」流です。
「はり重 道頓堀本店」の店内は2・3階で、大小の和室が17室も!まるで老舗旅館のような趣の空間でいただくことができます。
下足番(げそくばん)が靴をサッと片付けてくれる、老舗旅館のようなサービスもあります。
「はり重 道頓堀 精肉店」でグルメみやげ探し
帰りは1階にある「はり重 道頓堀 精肉店」に立ち寄り、グルメみやげを手に入れましょう。定番は贈答にも重宝される「牛肉の佃煮」。黒毛和牛の赤身そのものの味を生かす、伝統の製法で焚き上げられています。ほろほろとした食感で美味。
洋食メニューのレトルトパックは、レストランの味そのもの!“おうちではり重”が手頃な価格で実現できます。なかでもイチオシは、大きな牛肉のかたまりがゴロゴロ入った「ビーフシチュー」!
牛肉がズラリと並び、圧巻です。万単位でお肉がどんどん売れるシーンに出合い、大阪の食文化の豊かさにふれられる場所でもあります。
一見敷居が高そうに見えますが、毎日のランチには「はり重 カレーショップ」のカレー、ちょっと奮発する時には「はり重グリル」の洋食、ハレの日には「はり重」のすき焼きと、大阪人が使い分ける老舗。ぜひ訪れて、愛され続ける味を堪能してみてはいかがでしょうか。
■はり重 道頓堀本店(はりじゅう どうとんぼりほんてん)
住所:大阪府大阪市中央区道頓堀1-9-17
アクセス:地下鉄各線なんば駅14番出口から徒歩2分
TEL:06-6211-7777
営業時間:11時30分~22時30分(21時15分LO) ※2022年9月現在は時短営業中で、~21時(20時LO)
定休日:火曜(12月は営業)
■はり重グリル(はりじゅうぐりる)
TEL:06-6211-5357
営業時間:11時30分~22時30分(21時15分LO) ※2022年9月現在は時短営業中で、~20時30分(20時LO)
※住所、アクセス、定休日ははり重 道頓堀本店と同じ。
■はり重 カレーショップ(はりじゅう かれーしょっぷ)
TEL:06-6213-4736
営業時間:11時00分~21時30分(21時10分LO) ※2022年9月現在は時短営業中で、11時30分~20時30分(20時LO)
※住所、アクセス、定休日ははり重 道頓堀本店と同じ。
■はり重 道頓堀 精肉店(はりじゅう どうほんぼり せいにくてん)
TEL:06-6211-2980
営業時間:9時30分~21時30分 ※2022年9月現在は時短営業中で、10~20時
※住所、アクセス、定休日ははり重 道頓堀本店と同じ。
Text:こばやしみもざ
Photo:松本朋也
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