銀座の老舗洋食屋さん「煉瓦亭」で古きよきオムライスに舌つづみ
明治28年創業、銀座の一等地に店を構える「煉瓦亭」。日本で初めて「洋食屋さん」という名前でよばれ、今なお愛されるいくつかの洋食料理を生み出したお店だといわれています。必食メニューはオムライスとポークカツレツ。どちらも多くの人が慣れ親しんできたどこか懐かしい味ですが、プロの技が光る絶品なのです。
日本で初めて「洋食屋さん」といわれた、愛され続ける名店
銀座線・銀座駅のA12出口から徒歩2分。ガス灯通り沿いという銀座の一等地に店を構え、2022年で創業127年を迎える洋食屋さんが「煉瓦亭」です。お店のレトロなたたずまいは、歴史を感じさせ、存在感があります。
こちらの「煉瓦亭」、日本で初めて「洋食屋さん」といわれたお店とされているそう。その発端を社長を務める4代目の木田さんにお聞きすると、煉瓦亭はもともと西洋料理をもっと気軽に味わってほしいという思いから、フランス料理を出すお店「西洋御料理店」としてオープンしたとのこと。その名前が変化して、お客さまからついたあだ名のような呼び方が「洋食屋さん」だったといいます。
西洋料理をもっと気軽にという思いは今なお引き継がれており、店内の雰囲気に表れている気がしました。社長の木田さんをはじめ、店員のみなさんもフレンドリー。肩ひじ張ることなく、気軽に訪れておいしい洋食を食べられるお店なのです。
「明治誕生オムライス」は、懐かしくもプロの技が光る逸品
こちらのお店、いくつかの洋食メニューの元祖だといわれています。その一つが「明治誕生オムライス」2400円。正確にはこのお店だけで始めたものではなく、近隣のお店と同時期にスタートしたものだそうです。茶巾ずしから着想を得たというオムライス。当初はご飯に卵を混ぜて炒めることで作られていたそうですが、今は卵を巻いたこのスタイルに落ち着いているそう。
食べてみると外側はしっかり、中はふんわりとした薄めの卵に、ふわふわとしたご飯がよくなじみ、これぞオムライスというどこか懐かしい味わい。新鮮な卵を絶妙な火加減で調理することでこの卵の食感が生まれているそうで、銀座の地で客をうならせてきたプロの技が光ります。
ご飯に混ぜられている具は、合いびき肉とタマネギとマッシュルーム。タマネギはしょうゆを入れたほんのり甘辛い味付けがされており、ちょっと和風な味わいが舌になじみます。
秘密は油にあり!さくさくジューシーな「元祖ポークカツレツ」
次にご紹介するのは「元祖ポークカツレツ」2300円。「仔牛肉のコートレット」という西洋料理をもとに、「煉瓦亭」で生み出されたこちらのメニュー。今や和食の定番メニューとなっている「トンカツ」の原点になったものです。キャベツの千切りとともに提供されるこのスタイルも「煉瓦亭」が考案したもの。
食べてみてまず驚いたのは、そのサクサクさ。生パン粉を使っているという衣は、まったく油っぽさを感じさせない揚げあがりになっています。秘密は3種類の油を混ぜて使っていることにあるそうですが、詳しくは企業秘密とのこと。そして豚肉は揚げる前の下ごしらえの段階で丁寧にたたくことで筋をよく切っているため、柔らかくジューシー。お肉の下味は最短でも一日は漬け込んであり、しっかりと味が感じられます。
どちらのメニューも多くの人に愛されてきたことに納得のおいしさでした。
懐かしいけれど、上質な味が楽しめる「煉瓦亭」。社長の木田さんに創業当時からまったく同じ味で出しているメニューがあるのかを聞いてみると、ないとのお答え。お客さまに愛される料理を提供するという思いに変わりはありませんが、時代に合う味を常に追い続けているといいます。変わらない思いと、進化を続ける味を、ぜひ体験してみてくださいね。
※店名の「煉」の字は正しくは旧字体。スマートフォンの場合正しく表示されません。
Text&Photo:上野郁美(エフェクト)
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