港の見える丘公園

【横浜】西洋庭園と横浜港の絶景に感激!異国情緒あふれる「港の見える丘公園」を散策しよう♪

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外国人居留地として多くの西洋人が暮らした横浜市の山手地区。当時の西洋館が残るノスタルジックなこのエリアに、横浜港の大パノラマが楽しめる「港の見える丘公園」があります。園内にはバラが咲き誇る英国風庭園やかつての英国総領事公邸などみどころがたくさん。四季の花々や草木に彩られた公園へ出発!

Summary

「港の見える丘公園」の歴史と行き方をチェック

港の見える丘公園
かつての英国総領事公邸で現在は「横浜市イギリス館」として一般公開している

横浜が国際貿易港として開港した安政6年(1859)以降、山手地区は外国人居留地となり、現在あるこの場所も幕末から明治の始めにかけては、丘の上にイギリス軍、ふもとはフランス軍の駐屯地として使われていました。接収解除後に英国総領事公邸やフランス領事館も建設、その後は昭和37年(1962)に公園一帯を整備して、「港の見える丘公園」が開園。フランス領事館跡地を「フランス山」、英国総領事公邸が立つ周辺を「イギリス山」の名称として当時の面影を残しています。「イギリス山」エリアは1991年にバラ園が造られ、2016年にはバラを中心に一年草・宿根草を植栽した沈床花壇「香りの庭」、「イングリッシュローズの庭」としてリニューアルしています。

「港の見える丘公園」へのアクセスはとっても簡単。みなとみらい線元町・中華街駅出口6から歩くとすぐにフランス山入口です。入園口はイギリス山にもあるので、散策コースや目的に合わせてチョイスしてください。

階段を上ってフランス山を散策!

港の見える丘公園
港の見える丘公園
フランス橋には領事館外壁にはめ込まれていたメダリヨン(円形飾り)を見ることができる。RFとはRépublique française(フランス共和国)の略

元町・中華街駅を出て歩いて行くと見えてくるのは「フランス橋」。アーチ状の石張り部分が公園の入口になっていて、この先は明治29年(1896)に完成したフランス領事館跡地です。

港の見える丘公園

フランス領事館跡地は「パビリオン・バルタール」とよばれる純鋳鉄製骨組みが建てられています。これはフランスのパリで100年余り存続したパリ中央市場(レ・アール)の地下の一部。再開発のため取り壊されましたが、パリ市当局により寄贈を受け、領事館があったこの場所に復元しています。

港の見える丘公園
港の見える丘公園
後ろを振り返ると横浜のシンボル「横浜マリンタワー」が見える

「パビリオン・バルタール」の後ろに延びる階段を上って、丘の上を目指します。フランス軍が駐屯したのは文久3年(1863)から明治8年(1875)、撤退後はふもとに領事館、丘の上には領事官邸が建てられました。


港の見える丘公園
フランス領事官邸の遺構と赤い風車

関東大震災で領事館、領事官邸とも倒壊。震災後再建されましたが、戦後に火災で焼失してしまいます。丘の上に残る遺構は、領事官邸の焼け残った一部で、1階はコンクリート造り、2・3階部分は木造、さらに4階建てに相当する屋根裏部屋もあったと推測されています。

すぐそばに立つ赤い風車も気になりますね。領事館と官邸が建てられた時、井戸水を汲み上げるために風車を設置していたようで、現在あるものは公園を整備する際に作られました。近くにはレンガ造りの井戸遺構も見ることができます。

展望広場から横浜港のランドマークを一望!

港の見える丘公園
港の見える丘公園

フランス山を抜けると展望広場に到着。海を臨む展望台が備わり、横浜港から山下公園、横浜ベイブリッジを見渡せる絶好のビュースポット。ベンチもあるので眺望を楽しみながら休憩もできます。

港の見える丘公園
『コクリコ坂から』と同じ国際信号旗が風になびく

「港の見える丘公園」はスタジオジブリ作品『コクリコ坂から』の舞台って知っていました?主人公が切り盛りする下宿屋「コクリコ荘」の庭で国際信号旗を掲げていますが、その場所は「港の見える丘公園」とされています。

イギリス山で季節の草花が咲き誇る庭園や西洋館を見学

香の庭園

港の見える丘公園
香の庭園

展望広場の隣はイギリス山地区の庭園のひとつ「香りの庭」。沈床花壇とよばれる周囲より低く造られた庭で、草花の香りが溜まりやすくなっています。この造りを活かして噴水を中心に、ダマスク、ティー、フルーツ、ミルラとバラの香りをテーマにした4つの花壇が設けられ、約100品種、約400株のバラや草花が栽植されています。

港の見える丘公園
緑のアーチ。奥にベンチが見える
港の見える丘公園
早咲きのバラもちらほら。バラは横浜市の花に制定されている

バラの見ごろは春と秋の2回で、5月中旬〜6月上旬と10月中旬〜11月上旬。訪れたのは9月中旬でバラが咲き誇る姿は残念ながら見られませんでしたが、みずみずしい季節の草花が楽しめました。4ヵ所の花壇はそれぞれ緑のアーチになっていて、その奥には植物に囲まれたベンチが備わります。ここに座って休憩していると、まるでヨーロッパの庭園に訪れたような気分に。緑いっぱいでリフレッシュにもなります。

横浜市イギリス館

港の見える丘公園
「イングリッシュローズの庭」から見える「横浜市イギリス館」。建物外にはジョージ6世時代を示す王冠入りのロイヤル・サイファーがはめ込まれている

「香りの庭」の西側は昭和12年(1937)に建てられたかつての英国総領事公邸。現在は「横浜市イギリス館」として1階はコンサートホール、2階は展示室と寝室を復元して一般公開しています。

港の見える丘公園

復元された領事夫婦の寝室と休憩室(ポーチ)を見学。隣が寝室だったことからこの休憩室は“スリーピングポーチ”とよばれていたそう。大きな窓から陽が差し込み、庭や港の景色を眺められました。休憩室の窓の一部は船窓をモチーフに丸窓になっているのがユニーク。高い天井や重厚な扉、サンポーチなど当時のモダンなデザインに触れることができます。

■横浜市イギリス館(よこはまイギリスかん)
住所:神奈川県横浜市中区山手町115-3
TEL:045-623-7812
開館時間:9時30分〜17時
休館日:第4水曜(祝日の場合は翌日)
入館料:無料

イングリッシュローズの庭

港の見える丘公園
「イングリッシュローズの庭」
港の見える丘公園
バラが映えるように、白やブルー系の草花を配植している
港の見える丘公園
バラが咲く時期の風景

「横浜市イギリス館」の入口側は英国の庭をイメージした「イングリッシュローズの庭」が広がっています。約150品種、約800株ものバラとクレマチスや宿根草など、青や白色を基調とした草花を配植しています。アーチやオベリスクなど用いた立体的な造りに小道も巡らせているので、草花をより身近に感じられます。

バラとカスケードの庭

港の見える丘公園
「横浜市イギリス館」の後庭に広がる「バラとカスケードの庭」ここにも小道が設けられ、草花のなかを散策できる

一方、「横浜市イギリス館」の南側はカスケード(小滝)や噴水、ガゼボなどが点在する「バラとカスケードの庭」。ここにも約80品種、約750株のバラが栽植されています。

港の見える丘公園
横浜水道創設記念噴水塔を再現した「噴水広場」
港の見える丘公園
「噴水広場」から続く「カスケード」
港の見える丘公園
「カスケード」の先にある「バラのガゼボ」

「噴水広場」から水が滝のように流れる「カスケード(小滝)」の両側にはガゼボに続くシンメトリーとなった小道があります。小道を下ると小さな渓流のロックガーデン、ソメイヨシノの大木も。水をテーマに変化に富んだ庭園を散策できます。

山手111番館

港の見える丘公園
赤瓦屋根と白壁が特徴のスパニッシュスタイルの西洋館「山手111番館」
港の見える丘公園
吹き抜けのホール。奥にはダイニングルームがある

「噴水広場」の隣に立つのは、日本に近代建築の礎を築いた建築家・J.H.モーガン設計の「山手111番館」。大正15年(1926)にアメリカ人両替商のJ.E.ラフィンの住宅として建てられ、地階はガレージと使用人部屋、1階は厨房や居室、2階は寝室として使われていました。現在は昭和初期の洋館を再現したり、建築家のJ.H.モーガンに関する展示を行ったりしています。

■山手111番館(やまてひゃくじゅういちばんかん)
住所:神奈川県横浜市中区山手111
TEL:045-623-2957
開館時間:9時30分〜17時
休館日:第2水曜(休日の場合は翌日)
入館料:無料

大正期の西洋館で優雅にカフェタイム♪

港の見える丘公園
「山手111番館」の入口とは別で「バラとカスケードの庭」側から入店

「山手111番館」の地階は現在、喫茶室「Cafe the Rose(カフェ・ザ・ローズ)」として利用されています。白とピンクを基調にした店内はテーブルを中心にソファ席もあり、優雅で落ち着いた雰囲気。晴れた日は「バラとカスケードの庭」に面したテラス席でのティータイムがおすすめ!

港の見える丘公園
季節メニュー、ワッフルソフトのドリンクセット(メニュー内容は変更あり)

メニューはハンバーグやビーフシチューなどの食事とスイーツ、そして香り高い紅茶まで揃えていて、ランチにもカフェ休憩にもぴったり。注文したワッフルソフトはワッフル生地のなかにソフトクリームが入ったひんやりスイーツで、花柄のティーカップが素敵。ソフトクリームは北海道ミルク、バラのペースト入り(ローズ)、ミックスの3種類から選べます。「バラとカスケードの庭」にちなんでローズをチョイス。ほんのりピンク色でバラの香りもよく、さらにミルクの濃厚さもいい!

港の見える丘公園
ローズティーはエレガントなバラのカップを使用

セットのドリンクはダージリンの茶葉にローズエッセンスを加えたオリジナルローズティー。バラの香りが豊かで午後のひとときにぴったりのフレーバーティーでした。西洋館のテラスで庭園を眺めながらティータイム…。ヨーロッパの別荘にいる気分で優雅なひとときを味わえます。店内ではオリジナルローズティーやフランス生まれの紅茶ブランド「NINA'S」のティーパック、バラをモチーフにした雑貨も販売しているのでおみやげにぜひ。

■Cafe the Rose(カフェ・ザ・ローズ)
住所:神奈川県横浜市中区山手町111番地山手111番館内
TEL:045-622-3332
営業時間:10〜17時(16時30分LO)
定休日:第2水曜(祝日の場合は翌木曜)

開港当時の面影を残す横浜市の山手地区。そのなかでも「港の見える丘公園」はビュースポットから趣向を凝らした庭園、さらに横浜生まれの作家・大佛次郎の業績と生涯を紹介する記念館、神奈川県にゆかりのある文学者の原稿や書簡などを展示する「神奈川近代文学館」もあります。みどころいっぱいの「港の見える丘公園」を季節ごとの風景を楽しみながら散策してみませんか。

■港の見える丘公園(みなとのみえるおかこうえん)
住所:神奈川県横浜市中区山手町114
TEL:045-671-3648(横浜市都心部公園担当)
開園時間:園内自由(フランス山は4〜6月6〜19時、10・11月・2・3月7〜18時、12・1月7〜17時)
入園料:園内自由

Text & Photo:木村秋子(editorial team Flone)

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