日光東照宮のみどころを紹介! 三猿や眠り猫からパワスポまで解説|栃木
2024年12月で世界遺産登録25周年の「日光の社寺」。その世界遺産の構成資産の一つ「日光東照宮」は、国宝や重要文化財が豊富でみどころが目白押し! 豪華絢爛な彫刻やパワースポットなど、拝観前に知っておきたいポイントもチェックして、境内を効率よく回りましょう。
Summary
「日光東照宮」ってどんなところ?
「日光東照宮」は、徳川家康公を祀る霊廟です。「一周忌を過ぎたら日光山に小堂を建てて勧請せよ」という家康公の遺言を受け、元和3年(1617)、2代将軍秀忠公が「東照社」として造営。その後、3代将軍家光公による「寛永の大造替(かんえいのだいぞうたい)」で、現在のようなきらびやかな社殿群に建て替えられました。
広い境内には国宝8棟、国指定重要文化財34棟を含む55棟があります。表参道から家康公が眠る奥宮まで、所要約2時間。坂下門から奥宮へ続く207段の石段など、参拝コースには階段が多いので、履きなれた歩きやすい靴がベスト。東照宮についてより詳しく知りたい人は、ガイドツアーや音声ガイドを利用するのもおすすめです。
三猿や眠り猫など個性的な彫刻にも注目
東照宮の建物の多くには極彩色の彫刻が施されており、その総数は5000以上ともいわれています。江戸時代の匠の技が光る彫刻を観賞できるのも東照宮の魅力。なかでも、三猿や眠り猫など動物たちのユニークな彫刻は必見です。
●見ざる・言わざる・聞かざる「三猿」
東照宮で最も有名な彫刻といえば「三猿」でしょうか。誰もが一度は聞いたことがある「見ざる・言わざる・聞かざる」の猿のトリオは、神厩舎にいます。神厩舎とは日光東照宮に仕える神馬の馬屋のことで、昔から猿は馬を守るとされ、本物の猿の代わりに彫刻が施されたと伝わります。
猿の彫刻は全8枚あり、8枚で猿の一生を描きながら、人生を諭しているといわれています。三猿の彫刻は2枚目にあたり、分別のつかない幼少時代を表現しています。その後、青年時代、結婚、妊娠とストーリーが展開されるので、じっくり見てみましょう。
●表情が変わる?!「眠り猫」
東回廊にある「眠り猫」も代表的な彫刻です。東回廊は御本社から奥宮へ通じる回廊で、潜り門の上部に彫刻があります。東照宮のなかでは唯一の猫の彫刻で、江戸時代に活躍した名匠・左甚五郎(ひだりじんごろう)作と伝わります。東回廊の先には家康公の墓所があり、横入りして悪事をしようとする人を通さないように門番として彫られたといわれています。
正面から見ると眠っているようですが、斜め下から見ると威嚇しているような姿に。さまざまな角度から眺めて、表情の変化を楽しむことができます。
そして、眠り猫の裏を見るとスズメの彫刻が! これは、猫が眠っているとスズメも安心して遊べることから、平和な時代になるようにとの願いを込めて彫られたといわれています。
●狩野探幽の「想像の象」
上神庫(かみじんこ)の軒下の彫刻「想像の象」にもご注目。絵師の狩野探幽(かのうたんゆう)が象を知らず、想像で下絵を描いたと伝わります。そのためか、実物の象と異なる個所が。2体の象が彫られており、左側の象は毛がふさふさで尻尾が3つに分かれ、右側の象は目が三日月形で耳の付き方が少し変わっています。
ほかにも、見れば見るほどおもしろい彫刻があちらこちらにあるので、探してみてくださいね。
陽明門や五重塔など国宝と重要文化財の社殿群
現在の社殿群のほとんどは、寛永13年(1636)の「寛永の大造替」で建て替えられたものです。現在の金額で400億円相当もの工費が投入されたといわれ、徳川家の栄華を随所に見ることができます。数ある建造物の中から、絶対に見ておきたいポイントを厳選してご紹介。
●東照宮のシンボルとして知られる国宝・陽明門
一つ目は東照宮のシンボルとして知られる国宝・陽明門(ようめいもん)。江戸時代初期の工芸・装飾技術の粋を集めた豪華絢爛な門で、508体もの精巧な彫刻が施されています。一日中見ていても飽きないことから「日暮(ひぐらし)の門」ともよばれています。
彫刻は、麒麟や龍馬など、霊獣とよばれる不思議な形をした動物から、中国の聖賢や仙人、唐子までさまざま。さらに柱にもヒミツが。陽明門の12本の柱のうち、門をくぐってすぐ左の1本だけ「グリ紋」という渦模様が逆さに彫られています。
「完成した瞬間から崩壊が始まる」という言い伝えから、グリ紋を逆さにしてわざと未完成の状態にしているそう。確かに一日中見ていても飽きません。
●御本社の正門「唐門」
陽明門をくぐると正面に見える唐門も必見! かつては将軍や大名のみ、現在も国賓級の参拝者しか通れないという御本社の正門で、御本社を守るためにさまざまな霊獣の彫刻が施されています。彫刻の数は、陽明門より多い611体!
唐門では家康公が尊敬し、目標にしていた古代中国の皇帝・舜帝が中央に彫られた「舜帝朝見の儀」などを見ることができます。唐門の奥に続く御本社は、本殿・石の間・拝殿からなる権現造の建物で、東照宮で最も神聖な場所。建物内を拝観することもできますよ(内部は撮影禁止)。
●内部も必見「五重塔」
境内でひと際目を引く五重塔も見逃せません。現在の建物は文政元年(1818)に再建されたもので、初層から4層までは和様の平行垂木、5層目だけが唐様の扇垂木という珍しい造りです。現在は初層内部が公開され、心柱などを見学できます。
初層の軒下には、東西南北を示す十二支の彫刻が施されています。入口正面(東)には、家康公の寅、秀忠公の卯、家光公の辰と、東照宮にゆかりのある徳川3代将軍の干支が並んでいます。
神秘的!パワースポットや鳴龍(なきりゅう)も要チェック
●東照宮随一のパワースポット 青銅鳥居の手前の石畳
押さえておきたいポイントはほかにも。東照宮随一のパワースポットといわれるのが、陽明門前にある青銅鳥居の手前の石畳。鳥居、陽明門、御本社、家康公が眠る奥宮、さらに北極星が一直線に並ぶポイントなんだそう。家康公のパワーを死後も江戸城へ送り続けるためだとされています。鳥居越しに陽明門を眺めていると、なんだかパワーが湧いてきそうです。
●家康公の墓所「奥宮」
拝殿・鋳抜門・宝塔からなる家康公の墓所「奥宮」も神秘的な雰囲気が漂う場所。宝塔には家康公の分骨された骨が納められているといい、その前には鶴の燭台、獅子の香炉、花瓶といった三具足が置かれています。
宝塔のそばには、願い事が叶うといわれる樹齢約600年の叶杉(かのうすぎ)があります。拝殿で授与されている眠り猫や叶杉など奥宮限定のお守りも注目です。
●まるで龍の鳴き声「鳴龍」
東照宮境内の中で最大の建物・本地堂(薬師堂)には、天井に縦6m、横15mの大きな龍の絵が描かれています。龍の頭の上で拍子木を打つと、「キィーン」と甲高い音が響き、まるで龍が鳴いているかのように聞こえることから「鳴龍」とよばれています。響き渡る美しい音に耳を澄ませましょう。
そのほか、日光東照宮美術館や日光東照宮宝物館に立ち寄るのもおすすめ。東照宮や徳川家康公の歴史にふれると、さらに理解度も深まりますよ。
アクセス情報
●東京からのアクセス
【電車の場合】
・東武特急「リバティけごん」「けごん」「スペーシアX」で浅草駅から約1時間50分の東武日光駅下車
・東武特急「スペーシア日光」「日光」で池袋駅から約1時間50分、新宿駅から約2時間の東武日光駅下車
・JR東北新幹線「やまびこ」「つばさ」「なすの」で東京駅から宇都宮駅まで約50分、JR日光線に乗り換えて約45分の日光駅下車
日光東照宮までは、東武日光駅またはJR日光駅から世界遺産めぐりバスで7~10分、バス停表参道から徒歩5分。世界遺産めぐりバスは日中15~20分に1本の間隔で運行。
【車の場合】
東京(川口JCT)から東北自動車道・日光宇都宮道路で約1時間20分の日光ICから約6分
Text:加藤亜佳峰(ムーブ)
Photo:宮地工・中村宗徳
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