【神代植物公園】華麗に咲き誇るバラの庭園からユニークな植物まで、園内のみどころを解説!
都内唯一の植物公園として昭和36年(1961)に開園した、東京都調布市に位置する「神代植物公園」。ヨーロッパの庭園を思わせる「ばら園」や珍しい熱帯の植物を集めた「大温室」などが点在していて、多種多彩な植物に出合えます。芝生広場もあるので、ピクニックもおすすめです♪
Summary
神代植物公園ってどんなところ?
調布駅からバスで約15分、神代植物公園は武蔵野の面影が残る調布市の深大寺に位置します。かつては街路樹などを育てる苗園でしたが、戦後の東京緑地計画により神代緑地に、その後「神代植物公園」として開園しました。現在では約4800種類、約10万本・株の樹木が栽植されています。
約50万㎡の広さを誇る園内は、「ばら園」「つつじ園」「うめ園」「山野草園」「しゃくなげ園」など植物の種類ごとに、30ブロックに分けられています。正門入口で案内図を入手できるほか、都立公園公式アプリ「TOKYO PARKS PLAY」をダウンロードすれば、スマートフォンからデジタルガイドマップを見ることもできます。
見ごろは春と秋!約300品種のバラが楽しめる「ばら園」
園内南側の「ばら園」は開園当時からある「神代植物公園」を象徴するエリアです。「ばら園」の中心となる「本園」、歴史ある「国際ばらコンクール」の会場となる「国際ばらコンクール花壇」、日本を代表するバラ育生家が作出した名花を保存栽培する「野生種・オールドローズ園」と大きく3つに分かれていて、見ごろとなる春は約400種類、約5200株、秋は約300品種、約5000株のバラが華やかに咲き誇ります。
本園はサンクンガーデン(整形式沈床庭園)とよばれる、庭園の中央が低く左右対称になった西洋庭園様式。噴水周りの内側に樹高が低い品種、外側には樹高が高い品種を栽植することで立体的に広く見渡せるようになっています。バラは品種によって春と秋に咲き続ける「四季咲き」、春から初夏にかけて年1回咲く「一季咲き」、春から初夏にかけて繰り返し咲く「返り咲き」などがあります。訪れた10月上旬は秋バラが咲き始めの時期で、「ばら園」の本園でさまざまな品種を見ることができました。
バラの品種は「プリンセス・ミチコ」「クリスチャン・ディオール」「エレガント・レディ(ダイアナ・プリンセス・オブ・ウェールズ)」など、有名人の名を付けたものもあるので見つけてみて。
「神代植物公園」のバラの基礎となるのが、昭和34年(1959)にロサンゼルス市から寄贈された80品種のバラ。『日米親善のバラ』として植えられましたが、現在残っているのは13品種ほど。そのひとつがローズピンクの「フロリック」です。
「大温室」の正面、噴水の先にはギリシャ神殿のような「ばら園テラス」があります。イスを設けた休憩所で、本園と噴水を望む絶景スポット。ヨーロッパの庭園に訪れたような優雅な気分に浸りながらひと息つきましょう。
熱帯・乾燥地植物がいつでも観察できる「大温室」
熱帯花木室、熱帯スイレン室、乾燥地植物室など6つの展示室からなる「大温室」には、約1300品種の植物が集まります。日本国内では自生しない、ユニークで珍しい植物がたくさんあるので、じっくり観察しましょう。
「熱帯花木室」は熱帯・亜熱帯地方原産のバラエティー豊かな草花が年間を通して鑑賞できます。写真の池に浮かぶものは南米パラグアイ、アルゼンチン、ボリビアに生息する「パラグアイオニバス」。直径最大1.5mの大きな葉で、体重30kgまでの子どもなら乗ることもできるとか(イベント開催時のみ)。
SF映画に出てくる悪役に似ていると話題になったのが、エルサルバドル原産の「アリストロキア・サルバドレンシス」。悪役とは映画『スターウォーズ』に登場するダース・ベイダー!地面に沿って細い花茎に花を付けているので、目線を下げて探してみてください。
サトイモ科の「モンステラ・デリシオサ」は、アメリカの熱帯地域原産の植物。芯のような部分は熟すと食べられるようで、バナナとパイナップルを合わせたような味なんだとか。
こちらは熱帯アジアを中心に分布する食虫植物(肉食植物)の「ウツボカズラ」。昆虫や小さなネズミなど小動物を捕らえて袋のなかで消化して、その養分を吸収します。
「乾燥地植物室」にはサボテンや多肉植物、チリの国立植物園から贈られたチリ原産の植物を展示しています。このほかにも600種近くのラン科植物を展示するラン室、300を超えるベゴニア品種を鑑賞できるベゴニア室、約30種・品種の熱帯スイレンが池に植えられた熱帯スイレン室、世界自然遺産の小笠原諸島の希少種や固有種を展示する小笠原植物室とみどころ盛りだくさん。
巨大ススキがお出迎え♪「芝生広場」
園内中央に広がる「芝生広場」にも行ってみましょう。芝生が気持ちいいピクニックにも最適なエリアなので、レジャーシートやお弁当を持参するのもおすすめ。広場には売店も備わります。
「芝生広場」の真ん中に伸びる巨大なススキに注目!南米アルゼンチン原産のイネ科の多年生植物で「パンパスグラス」といいます。大きなものは高さ6m近くまでなるそうで“お化けススキ”なんてよばれることも。ぜひ正面に立って巨大さを体感してみてください。見ごろは9月から10月です。
ツツジやサクラなど、園内に咲き誇る季節の花たち
園内にはまだまだたくさんの花咲く庭園があります。どれも季節ごとの彩りなので、開花時期をチェックして訪れましょう。写真は入園口(正門)からすぐ近くにある「つつじ園」。280品種、1万2000株もの赤やピンク、白色のツツジの大群が色鮮やかに咲き誇ります。
「神代植物公園」はサクラの名所としても有名で、園内各所に約60種・約750本のサクラが植えられています。なかでも「芝生広場」の隣に位置する「さくら園」に多く、3月中旬のカンヒザクラから始まり、オオカンザクラ(大寒桜)、ソメイヨシノ(染井吉野)、ヤエベニシダレ(八重紅枝垂)などが続き、園内を春色に染めます。
ランチ、スイーツ休憩は「グリーンサロン」で
園内にはランチやスイーツ休憩ができるカフェレストランもあります。正門入口近くの「パークス神代ガーデンビューロー店」では2022年10月から地元、深大寺養蜂園の無添加・無加工の非加熱ハチミツを使ったメニューが新登場。
写真は深大寺養蜂園のハチミツをかけて味わう「神代はちみつのホットケーキ」。ふかふかのホットケーキとハチミツの自然な甘さは最高の組み合わせで、ナッツの食感もいい感じです。ほかにもフレンチトーストや1日限定10食のアフタヌーンティーセット、さらにカレーにもハチミツをかけて味わえます。ハチミツをちょい足しすることでカレーにコクが出て濃厚な味わいになるようです。
無料区域「水生植物園」も行ってみよう
園内南側にある深大寺門から徒歩5分、「神代植物園」の分園でもある無料区域の「水生植物園」も訪れてみましょう。深大寺の裏山から湧き出る水によって湿地帯となった場所で、木道を整備したのち公開されました。ハナショウブをはじめ、カキツバタ、サクラソウなど水辺の植物が生息しています。敷地内には深大寺城跡も見られます。
四季折々の植物を鑑賞して、花の少なくなる時期は「大温室」の熱帯植物を観察。一年を通じて楽しめる「神代植物公園」へ何度でも足を運んでみてはいかがでしょうか。隣接する都内屈指の古刹「深大寺」と合わせて訪れるのもおすすめです。
■神代植物公園(じんだいしょくぶつこうえん)
住所:東京都調布市深大寺元町5-31-10
TEL:042-483-2300(神代植物公園サービスセンター)
開園時間:9時30分〜17時(最終入園16時)
休園日:月曜(国民の祝日や振替休日、都民の日の場合はその翌日)
入園料:500円(水生植物園は無料)
■パークス神代ガーデンビューロー店
TEL:042-484-0917
営業時間:9時30分〜17時
休み:月曜(国民の祝日や振替休日、都民の日の場合はその翌日)
■水生植物園(すいせいしょくぶつえん)
開園時間:9時30分〜16時30分
休園日:月曜(国民の祝日や振替休日、都民の日の場合はその翌日)
Text & Photo:木村秋子(editorial team Flone)
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