【京都】平安神宮の見どころ・歴史・写真スポットまで紹介!日本最大級の大鳥居と美しい神苑を楽しもう
巨大な朱(あけ)の大鳥居があまりにも有名な、京都市左京区の平安神宮。毎年10月22日に開催される京都三大祭のひとつ「時代祭」が行われることでも知られ、社殿を囲む約3万㎡の広大な庭園は、サクラやスイレン、ハギやカエデといった四季折々の自然が訪れた人を楽しませてくれます。明治維新後に荒廃した京都のまちの復興の歴史ともつながりが深い、平安神宮のみどころやアクセスなどをご紹介します。
京都復興のシンボルとして創建された平安神宮
幕末の戦乱によって荒廃した京都のまち。さらに明治維新によって都が東京へと移ったことは、京都の人々にとって計り知れない衝撃でした。そこで京都の人々は、教育や文化、産業、生活などの全ての面において、京都のまちを新しいかたちにすべく模索。同時に1000年以上の歴史を誇る京都の伝統を維持継承すべく力を注いだのです。
こうした京都の人々の熱意が結実したのが、明治28年に東京以外の都市で初めて行われた第4回内国勧業博覧会。そして平安遷都1100年を記念し、京都の人々と京都を愛する人々の募金などで造営されたのが平安神宮です。平安神宮は、平安京以来長きにわたって栄え続けた雅やかな京都を後世に伝えるために。そして京都復興に命をかけた多くの人々の遺志を後世に伝えるため、平安京を開いた桓武天皇を祭神に創建されました。
平安神宮の社殿は、平安京が開かれた当時の正庁と朝堂院が約8分の5スケールで再現され、まるで平安時代を旅しているような気分を味わえるのが最大の魅力です。大極殿や応天門、蒼龍楼、白虎楼、歩廊、龍尾壇などは創建当時に造営されたもので、その多くが重要文化財に指定されています。昭和15年(1940)には、平安京最後の天皇となった孝明天皇が祭られ、本殿などが増改築。これまでの社殿も大修理が行われました。
大鳥居、応天門、大極殿…。平安神宮は重要文化財の宝庫!
平安神宮を訪れたらまず見ておきたいのが、神宮のシンボルともいえる巨大な朱の大鳥居(登録有形文化財)です。昭和3年(1928)に昭和天皇の御大典が京都で行われたことを記念し造営された鳥居は、高さ24m、幅18mと当時日本最大の大きさを誇り、今も京都を訪れた人のフォトスポットになっています。
大鳥居からまっすぐ進んだ先に立つのが、平安京朝堂院の應天門をモチーフに造られた応天門(重要文化財)です。大極殿などとともに平安神宮創建の際に造営され、当初は内国勧業博覧会のモニュメントとしての役割も果たしていました。
広々とした敷地を誇る大極殿の南庭に設けられているのが、平安京の朝堂院において北の大極殿と南の朝堂・朝廷との境に設けられた龍尾壇(重要文化財)。龍尾壇は大極殿南庭に一段高く造られ、左右・両端の四ヶ所に3段の石段が設けられているのが特徴です。平安時代には龍尾壇を登って大極殿に近づくことが許された人は、高い位に任じられた一部貴族のみだったといわれています。
大極殿の正面に向かって左右に立っているのが、こちらも重要文化財に指定されている蒼龍楼(そうりゅうろう)と白虎楼(びゃっころう)です。平安京朝堂院の様式を参考に造営された2つの建物は、京都のまちが蒼龍・白虎・朱雀(すじゃく)・玄武(げんぶ)の四神(ししん)によって護られていたことが名前の由来。大極殿から見て、左に立つのが蒼龍楼、右に立っているのが白虎楼です。
大極殿は平安京の大内裏の正庁である朝堂院の正殿で、天皇の即位や朝賀をはじめ国の重要な儀式が行われてきました。大極とは宇宙の本体や万物生成の根源を表す言葉で、天皇が坐す御殿を意味しています。
平安神宮の大極殿(重要文化財)は端から端まで30mと壮大なスケールなのが最大の特徴。屋根は入母屋造の碧瓦屋根で、両端には火難を避けるといわれる金色の鴟尾(しび)が置かれています。大極殿を参拝したらぜひ殿内から応天門方面を眺めてみて。朱の社殿が美しい光景に、まるで自分が平安時代のお公家さんになったような気分を味わえます!
名庭師が手掛けた神苑は必訪スポット!
大極殿の参拝が終わったら、次はぜひ神苑を訪れましょう。白虎楼側にある入口で拝観料600円を支払って入場します。明治時代の代表的な日本庭園にも挙げられる神苑は、社殿を取り囲むように東・中・西・南の四つの庭で構成されているのが特徴。総面積は約3万3000㎡(約1万坪)にも及び、明治時代の有名な造園家・七代目小川治兵衛らが作庭を手掛けました。昭和50年(1975)には、国の名勝に指定されています。
最初に訪れる南神苑は、平安時代の庭園の特色である入り組んだ細い道筋の「野筋(のすじ)」と幾重にも流れ込む小川を意味する「鑓水(やりみず)」が特徴で、散策路の側には平安時代に著された伊勢物語や源氏物語、古今和歌集などに記されている200種余りの植物が植栽されています。春には一面に空を覆う紅しだれ桜を求めて多くの人が訪れる人気の場所でもあります。
ちなみにこの南神苑の一角にはチンチン電車(重要文化財)の車輌が、その役割を終えてひっそりとたたずんでいます。チンチン電車は平安神宮の創建と同じ年に京都市内に敷設された日本で初めての電車です。その縁から廃止になった年から神苑の一隅に展示されています。庭園を散策中に突如現れるチンチン電車に驚く人も多いそうですが、緑に囲まれてたたずんでいる姿をじっくり眺めてみると、なんだかエモさすら感じます。
お次は西神苑です。白虎池を中心とした庭園は、初夏を彩るハナショウブや、秋口にかけて花を開かせるスイレンなどが有名。池の西側には出島、北側には神苑で唯一の滝も流れ、さながら一枚の美しい絵画を眺めているような気分に浸れます。
西神苑と東神苑を結ぶ散策路には琵琶湖疎水が流れ、魚が泳ぐ姿を見られることも。庭園外の景色と隔絶されているため、まるで森の中を散策しているかのような気持ちに。
西神苑と同じく平安神宮創建時に作庭された中神苑では、秋には紅葉が美しい蒼龍池を中心に苑内を巡ります。
池の東側の大島(珊瑚島)から北岸にかけては、天正年間(1573~1592)の三条大橋や五条大橋に使われていた古石柱が配された臥龍橋(がりゅうきょう)が配され、石柱を渡って向こう岸まで行くことも可能です。「龍の背にのって池に映る空の雲間を舞うかのような気分を味わっていただく」という小川治兵衛の作庭の意図が織り込まれているのだとか。石柱の上から眺める景色もまた格別なので、足腰に自信のある方はぜひチャレンジしてみてください!
3つの庭園を巡り最後にたどり着くのが、こちらの東神苑。大きな栖鳳池(せいほういけ)の辺に立つ尚美館(しょうびかん)は、大正元年(1912)に京都御所から移築されたもの。同じく移築された泰平閣と合わせて、東山の山並みを借景とした雄大な眺めにきっと心打たれることでしょう。
池の東西を結ぶ泰平閣は「橋殿」とも呼ばれ、渡ることも可能。橋の上から眺める景色も美しく、いつまでも眺めていたい気分になります。
神苑の散策時間は約30分程度を目安に。写真を撮ったり美しい花々を眺めながら歩いたりする場合は、40~50分程度かかるでしょう。
平安神宮へのアクセスは?
京都駅から平安神宮へ向かう場合は、市バス5系統もしくは洛バス100号・110号系統に乗って約30分。「岡崎公園 美術館・平安神宮前」バス停で降りて北へ徒歩5分で到着できます。また阪急京都河原町駅からは、市バス5系統、46系統、32系統に乗って約20分。「岡崎公園 美術館・平安神宮前」バス停または「岡崎公園 ロームシアター京都・みやこめっせ前」バス停で降りて北へ徒歩5分のアクセスです。
平安神宮へ向かうバスは車内が混み合うことも多いので、混雑を避けるなら地下鉄または京阪の利用がおすすめ。地下鉄東西線東山駅1番出口からだと徒歩10分、京阪鴨東線三条駅または神宮丸太町駅からは各15分で平安神宮に到着できます。
■平安神宮(へいあんじんぐう)
住所:京都府京都市左京区岡崎西天王町
TEL:075-761-0221
営業時間:6~18時(神苑は8時30分~17時30分)
料金:拝観無料(神苑は600円)
Photo:橋本正樹
Text:津曲克彦
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