淡路島「禅坊 靖寧」で360度自然に囲まれ空中禅リトリート【絶景プロデューサー詩歩さんが体験】
2022年4月にオープンした兵庫県・淡路島のリトリートスポット「禅坊 靖寧(ぜんぼう せいねい)」。日本杉で組み立てられた全長100メートルのウッドデッキで、360度広がる自然を眺めながら座禅を行う“空中禅”や、身体にやさしい禅坊料理などが体験できると、話題を集めています。絶景プロデューサー詩歩さんが初体験してきました!
Summary
森の中に浮かぶリトリート施設で、心と身体をデトックス
兵庫県・神戸「三ノ宮駅」のバスターミナルから神姫バスに揺られること約45分、淡路島北部の「禅坊靖寧前」で下車します。目の前に現れた「禅坊 靖寧」に早くもテンションが上がる絶景プロデューサーの詩歩さん。
詩歩さん:「まるで森の中に浮かんでいるような建物で座禅をする『空中禅』ができると聞いて、ずっと気になっていたんです!」
建築業界で最も権威のある賞のひとつ「プリツカー賞」を受賞した建築家・坂茂さんが設計した、大自然と調和する建物は圧巻。晴天の秋空の下、まるで芸術作品のような美しさと繊細さをたたえています。
リトリート体験には「日帰りプラン」と、満月と新月の日(それ以外の日の特別イベントもあり)に実施される「宿泊プラン」の2種類があり、今回は前者を体験します!
ーー念願のリトリートスポットにやってきましたが、詩歩さん、普段から疲れは溜まっている方ですか?
詩歩さん:「いつも絶景プロデューサーとして、世界や日本各地の絶景を巡りSNSで紹介しているのですが、旅中は撮影などやるべきことに意外と追われていて……普段から疲れている方かもしれませんね。今日はとことんリセットできたらうれしいです!」
「起きて半畳、寝て一畳」の精神が貫かれた宿坊へ
さっそく建物の中へ。建物の85%に木材を採用しているだけあり、廊下を歩いているだけで、杉の香りに癒やされます。
館内には、参加者一人ずつが貸し切り利用できる宿坊が、合計18部屋あります。
宿坊とは元々お坊さんが修業したり参拝者が身を清めたりする宿泊施設。こちらの宿坊も、人生に対する清貧の姿勢を表す「起きて半畳寝て一畳」の精神が宿った、シンプルな美しさが際立つ造りです。
詩歩さん:「部屋にはそれぞれ『七転八起』『大志鳳翔』『一期一会』など四文字熟語などからとった名前がつけられています。当日までどの宿房になるかは分からないので、案内された部屋の名前には、ちょっと運命を感じますね。いまの自分に必要な言葉なのかも?……と」
さらに宿坊は5.73㎡と11.20㎡の2タイプが(いずれも料金は同じ)。こちらもどちらになるかは当日までのお楽しみです。
いずれの部屋にも全面窓があり、美しい淡路島の森が見晴らせます。そして宿泊プランではここから差し込む朝日とともに目覚めることができるのです。
梅醤といただく三年番茶のウェルカムドリンク
宿坊からラウンジに移動して、3年以上熟成させた「三年番茶」のウェルカムドリンクをいただきます。
詩歩さん:「淡路島産の生姜パウダーが入っているから、ほんのり生姜の香りがして、身体の中からポカポカしてきました」
付属の梅醤(うめひしお)を加え「梅醤番茶」としても楽しんでもOK。スタッフさん曰く、梅醤の中には2500以上の酵素が入っているそうで、腸の活性化が期待できるのだとか。
【ZEN Wellness】空中禅で自分を“0ポジション”に
詩歩さん:「目線とほぼ同じ高さに森の緑があって、目を閉じると鳥のさえずりや風の音が聞こえてきます。こんなに素敵なロケーションで瞑想できるとは……!」
座禅の際に腰をおろすのは、足がしびれないよう丁寧に設計されたリトリートシートの上。この日は、インドで修業した経験をもつインストラクター・茶木先生の優しい声に導かれながら深呼吸や軽いストレッチをしたのち、瞑想へと入っていきます。
茶木先生:「ここでは決まったルールや堅苦しい作法は一切なく、無宗教ですから、ご自身が心地よいと感じるスタイルで心からリラックスすることを大切にしてみてくださいね」
茶木先生:「せわしない社会から少しだけ距離を置き、“今ここ”に意識を集中していきましょう。
自分の中の“中心線”を決め、深呼吸することで身体の内側に自然を通していくイメージで……。雑念を払い、ごちゃまぜになった考えを一度沈殿させる感覚です。忙しい人は心が忙しいとも言われています。“心のコリ”をほぐしていきましょう」
ーー「ZEN Wellness」体験は、どうでしたか?
詩歩さん:「見渡す限り360度、淡路島の自然に囲まれて、自分と自然との境界線がほどけていくような感覚がありましたね。
普段意識せずにしている呼吸を観察することで、ああ肋骨が開いて呼吸が深くなっているな……といった身体の変化を感じられました。厳しいルールがないから『私ってどんな状態が一番快適なんだろう?』とゆっくり自身と向き合えましたね。意外と自分のことって自分が一番知らないのかも……という気づきもあったり」
【禅坊料理】日本古来の調味料や製法にこだわった料理
たっぷりマインドフルネスな瞑想&ヨガに没頭したあとは、ちょうどお腹が空いてくる時間。身体にやさしい「禅坊料理」をいただきます。
料理の監修は、発酵醸造料理家・伏木暢顕シェフ。食べる前に詳しく料理を説明してくれるので、頭で理解した上で、繊細な味わいを楽しめます。
伏木シェフ:「こちらの禅坊料理にはいくつかこだわりがあって、まず精進料理ですから、卵や牛乳、鰹節など動物性食材を一切使っていません。そして昔の日本にはお砂糖文化がなく、麹を分解したものや味醂(みりん)で甘みをつけていたので、そこに“原点回帰”して、お砂糖も使っていません」
伏木シェフ:「腸の環境を整えるため小麦粉も未使用です。食材本来の油以外は添加せず「炒める」「揚げる」の調理法は選択していません。
調味料は、伝統的な製法のものだけを選びました。日本古来の調味料は4年ほどの長い歳月をかけてつくられ、その間、食材の分子が細かくなるため、食べたときに消化しやすく身体に負担がかからないと言われているのです」
「禅坊料理」のメインは、淡路島の野菜や花で彩られた美しい「山の芽吹きバラちらし、竹包み」。下に敷かれた地元の相原米とコンニャクをまぜたごはんも絶品です。精進料理というと味の薄いものばかりをイメージしがちですが、このバラちらしはしっかり味がついており、初心者でも食べやすそう。
最後は7時間かけてつくられた自家製の米麹甘酒をいただきました。市販の甘酒は過熱殺菌されていますが、これは火入れしていないから器の中でまだ発酵し続けていているそう。なんと30億ほどの菌がいて、腸の消化を助けてくれると伏木シェフは言います。
ーー「禅坊料理」、いかがでした?
詩歩さん:「最初に、味の薄いものから濃いものへと食べるよう順番を教えていただいたんですが、その通りにしてみたところ繊細な味の変化がよく分かりました。普段、どれだけ人工的で味の濃い料理ばかり食べていたのかを実感できましたね。日本古来の調味料だけで、こんなにも繊細な味の違いを出せるのかと驚きましたし、私も料理に取り入れてみたいな、と感じましたね」
【ZEN 茶】自分のために抹茶をたてる優雅なひととき
食後は、「ZEN 茶」セットを受け取り、館内の好きな場所で“お抹茶タイム”。お茶は一般的に客人をもてなすために淹れるものですが、ここでは自分自身を癒やすために一服たてます。
お茶菓子は時季によって変わりますが、この日はイノシシのうり坊をイメージした、「亥の子餅」をいただきました。
ーー「ZEN 茶」体験、いかがでした?
詩歩さん:「雄大な自然を眺めながらのんびりお茶をたてる、しかも自分自身をもてなすために……すごく贅沢な時間でしたね」
【ZEN 書】一筆一筆、心をこめて書写しよう
続いては、NHK大河ドラマ「龍馬伝」の題字で有名な書家・紫舟(ししゅう)さんのお手本を書写する「ZEN 書」体験。こちらも館内の好きなスペースで行います。
宿坊に戻った詩歩さん。心を落ち着かせ、一字一字、丁寧に筆を走らせていきます。
ーー「ZEN 書」体験は、いかがでした?
詩歩さん:「最近は筆やペンを握る機会が少なくなってきたので、こうして縦書きで文字をさらさら書いていく体験がちょっと懐かしく、逆に新しくもありましたね。 集中しているうちに、心が穏やかになりました」
【ZEN 香】アロマで感覚を目覚めさせる
最後は再び「ZEN Wellness」の時間。茶木先生のインストラクションのもと、ストレッチと深呼吸、瞑想を深めていきます。
ここで登場したのが、アロマチップを包んだ香りの袋。これを鼻下に持っていき、大きく息を吸い込みます。「禅坊 靖寧」オリジナルの「ZEN 香」体験です。
茶木先生:「アロマは脳に直接働きかけ、感覚を研ぎ澄ませたり、リラックスさせたりする効果が期待できます。香りをかいだ瞬間に、それが好きか嫌いか分かると思います。香りを“今ここ”に意識を集中させるツールとして活用していきましょう」
ーー「ZEN 香」体験は、いかがでした?
詩歩さん:「今日の香りは目が覚めるほどにフレッシュでありながら、身体がじんわりと癒やされていくような安らぎも同時に感じましたね」
その後、片鼻呼吸方などを通じて呼吸をさらに深め、呼吸に集中することで自分自身と向き合っていきました。
ーーこれですべてのリトリートプログラムが終了しました。改めて、いまどんな気持ちですか?
詩歩さん:「そうですね……4時間という短い時間でしたが、すごく自分と向き合えた濃厚なひとときでした。
個人的に腸活に最近すごくハマっているので、発酵食品をふんだんに使った精進料理は特に印象的で、身体の中からもキレイになれた気がします。
日々仕事のスケジュールに追われてバタバタしているからか、ちょっとしたことで心が折れてしまうこともあるのですが、今日はのんびり心と身体をデトックスして、しっかり0ポジションに自分を戻すことがきました!」
詩歩さん:「今の時代、どこにいてもスマホを見てしまい、心から安らげる時間って意識しないとなかなか取りづらいですよね。こうした場所にくれば半ば強制的に、デジタル・デトックスできて、自然や自分と向き合えます。特に最近お疲れ気味の人はぜひ体験してみるといいかもしれませんね」
■禅坊 靖寧(ぜんぼう せいねい)
住所:兵庫県淡路市楠本 字場中2594-5
時間:日帰りプラン、宿泊プランともに時間が異なる(一例:日帰りプラン 11〜14時、宿泊プラン チェックイン14時30分〜、チェックアウト〜10時)
電話:0799-70-9087
料金:日帰りプラン (約4時間)2万3000円、宿泊プラン一人一部屋4万8000円〜(すべて要予約)
アクセス:三ノ宮駅・神姫バス神戸三宮バスターミナルから北淡路西海岸ライン(岩屋・野島・北淡IC行き)乗車、禅坊靖寧前で下車。新神戸駅・神戸空港より40分、神戸淡路鳴門自動車道 淡路ICより5分
Text/Photo:Riyua Joe(mogShore)
Web movie :mogShore
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